第9話

陶子と咲子は、桃香が目に入れても痛くないほど、可愛くなってきていた。この子が孫だったらどんなにいいだろう。でも、やっぱり他所の子なんだ。あの桃香の祖父母に返すのがやはり本当だったのだろう。あの時は意地になって、預かると言い張ったが。

 仮にこの子を育てるとして、何歳まで一緒にいられるのか。そして、養母がこんな老婆二人で、この子は幸せだろうか。どんな教育が果たして自分たちにできるのだろうか。

 桃香は手のかからない子だった。よくミルクを飲み、お腹が膨れればよく眠り、よく笑う赤ん坊だ。もうすぐ生後二ヶ月になろうとしていた。

「赤ちゃんのうちは、私たちでもお世話ができるけど、この子が物心つく頃は、私たちおばあちゃんじゃ手に負えないわ。祖父母にお願いしたほうがいい。」

「うん。私もそう思った。」

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