ヘモシアニン

@morugen

1話目

僕は、桜が嫌いだ。だってある期間にちょとだけしか咲かないし自分の力だけで咲いてますよ顔して、虫や植物に害のある毒を出して自分が1番綺麗に咲こうとしてら所とかどう足掻いても春の間しか咲けないのに自分を主役にする事に躊躇がない所が嫌いだ。その癖に毒の名前は「クマリン」って言うらしい。なんで皮肉で可愛らしい名前なんだ、人間は桜に甘すぎる。



桜は、人間で例えると女の子だと思う。コンビニに出かける時や、ちょっとした時間の外出でも綺麗に見せようとする所とか、虫をすり潰して出た液体を唇に塗って自分を綺麗に見せたり、可愛くない子の近くにいて引き立て役にしたり。桜も女の子も両方とも雨に弱いし、違うところなんて光合成できるかできないかだけだと思う。けど僕は、桜が嫌いな癖に男に生まれた性か女の子は好きだ。黒板の文字をノートに写すときに見える薄い背中毛、無印良品のシャーペンを持ってる手の指毛、そんなのがみれた次の日は決まって寝不足になる、けど眠そうにクマを作って学校に行くと僕の寝不足の原因が「ちゃんと寝てる?」と心配してくれる時僕は女の子が好きと言う事に確信を持てる。だけどたかが中学生たかが人間だからそんな日を続けていると成長期の身体は毒に犯されたように体調が悪い。



「ビクッ」3時間目の終鈴の音4時間目はマッド運動か→保健室でサボろう。掃除ロボットぐらい最適化された選択肢。終わりの挨拶と同時に人の流れに逆らいながら保健室に向け息を止めながら歩き出した、背後からは、花火の余韻のようにパラパラと明るく途切れ途切れの声と自分から我慢していた呼吸を吸う「ヒュ〜」と言う音が耳に入る。保健室に近づくにつれ何か忘れているように思い、思い出した時には保健室の扉の前、「本だ、」教室に本を忘れてきた、保健室に来ただけで息が上がってるのにまた階段を登って教室に着く頃には、、シャツとの境目がわからないほど白くさらっと伸びた首と直毛の髪と額の間に教室に戻る事を考えるだけで大粒の汗が吹き出ていた、教室に戻る途中にクラスメイトに会っても厄介だし今日は諦めよう、そう考えながら両手でそっと保健室の扉を開けた、「ラッキー先生いない」と小さくガッツポーズしながら、小窓に置いてある観葉植物に目を向けながらベットに寝転んだ、そして瞼を下ろし瞼の裏の夜景を見ながら体の力を抜き呼吸を整えた、少しすると扉の向こうから足音が近づいてきた、「コツ、コツ、コツ、」先生や大人にしては重みがないなと思いつつも靴をベットの下に滑りこまし頭まで布団を被った、「ガラガラガラ、コツコツ、ガラガラガラ、コツ、コツ、コツ、」足音が止まったとほぼ同時に左腕にずっしりとした物が乗ったと思った途端左腕がすぐに圧迫感から解放され「きゃ」と言う甲高い声が静かな保健室に響いた。体感数分経った頃僕は恐る恐る頭を布団から出すと、一つ右の席の小野さんがタコぐらい顔を赤め体を縮こめてこちらを見つめていました、小野さんは、僕の好きなタイプとは真逆で毛穴すら見えない常に日焼けしたような赤い肌でおちょぼ口の小柄な女の子でした。時計の秒針が2、3回なった時僕は「小野さん、体調悪いの?」「うん、ちょっとね、人が居ると思わなくてごめんね大丈夫?」「うん、大丈夫」「となりいい?」僕は頭を風で荒れてる日の風力発電機のようにフル回転させたが気が利いた最適解の答えが出ず喉が詰まりそうな程の唾を飲み込みながら頷いた、僕は端に寄り小野さんがベットに寝転んだ僕は、あることに気づいた。なぜか心臓から血が下の方に流れ込んでいた。不思議におっもたが、血の行き先がわかった。わかったと言うよりその部位が自ら主張してきたのだ、僕はその部位を右手で必死で抑え気を紛らわす為に「小野さんなんかあったの?」「内緒にしてね、、、」僕はコクリと起きもしないこの後の事に妄想と下腹部を膨らまれながら頷いた。「今日朝、お母さんと喧嘩しちゃったの」思っていた妄想の中のセリフと違い過ぎて僕はつい「なんだそんなことか、」と口走ってしまった。「ぐすん、ぐすん、」と小野さんは泣き出してしまった。慌てて「ごめんそんなつもりじゃ、」「おかしいよね、この歳になって喧嘩なんかで泣いちゃって、」「ううん、それだけ小野さんはお母さんを大切に思ってるって事だよおかしくないよ、どんな喧嘩しちゃったの?」「あのね、昨日橋から川に飛び込んだのって言う話をお母さんにしたらねお母さんが、最後の命なのにもっと大事にしてよ、って泣きながら叱られて「そんなんで死なないし」って言い返しちゃってそしたらお母さんがもう知らないって言われて気まずくて昨日から喋ってないの私はただ褒めて欲しかっただけなのに」「そっか、けどお母さん間違えてないと思うよ命は大事だし一つしかないんだしお母さんは小野さんが大切で死んで欲しくないと思ったから言ったんだと思うよ、だから今日帰ってお母さんと話してみたらどうかな、私は褒めて欲しかっただけだよって自分の気持ちを伝えてみたら?伝えないとお母さんもわからないと思うから」「うん、頑張ってみる、ちょっと気持ち楽になったありがとね!じゃ私教室戻るね!」「うん、頑張れ!」小野さんは起き上がり教室に向けて保健室のドアを閉めずに走り出したのを横目に見ながら緊張感からとけたからか眠気が襲ってき意識がなくなりかけた時「ドチャ」と遠くから鈍い音が響いてきて意識が朦朧としながら廊下に目をやると小野さんは青い液体を頭から出して倒れていた。救急車のサイレンで目が覚めた、廊下には救急隊員のコスプレをした救急隊員と先生たちがブルーシートにぐるぐる巻きにされた担架を救急車に運び込んでいた。


         次の日        


小野さんは出血多量で死んだらしい。出張から帰って来た保健室の安達先生が見つけたらしい。あと五分早ければ後遺症は残っても生きていたらしい。


僕があの時夢じゃないと気付いていれば。

僕があの時の妄想通りに襲っていれば。

僕があの時苦し紛れで出した。質問をしなければ。

僕があの時保健室に行かなければ。


後悔だけが残る、 



       桜が3回散った

同窓会で中学の同級生と中学校に行く事になった。思い出のある場所を回った、最後に保健室に行き小窓にある観葉植物に目を向けながらベットに寝転んだ、思い出したけどいい思い出もたくさんあるなーとうつ伏せになり懐かしんでいるとマットに黄ばみかかったシミがあった、凝視してみていると鼻にツンと海水の匂いが鼻を刺激した。

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