第8話 湯上がりバニー

どんちゃん騒ぎも無事に終わり、俺は意気揚々とダッチがいる部屋に向かって走った。理由?そりゃ決まってる。チハ討伐のご褒美をもらうためだ。とうとう俺の頑張りが報われる瞬間ってやつだな。


ドアを勢いよくバンと開けると、そこには湯上がりのダッチがいた。頬が少し赤らんでいて、なんだかいつもより可愛く見える。


「よっしゃ! なら、いつもみたいに赤ちゃんプレイでおぎゃらせてくれよ! バブーッ!」


俺はベッドに寝転びながら、テンション高めにお願いしてみた。ところが、ダッチはちょっと困ったような顔をして言った。


「あー、非常に言いにくいんだけど……今回はパスしてもらいたいなー」


その言葉に思わず身を起こし、俺は拗ねた顔で言った。


「なんでぇ!?」


「うん……実はね、来ちゃったんだ」


「来たって何が?」


「わたしさ、もともとダッチワイフだったから来ないと思ってたんだけど……生理が来ちゃったんだ」


その言葉に、一瞬頭の中が真っ白になった。生理……?


「そっかぁ」とだけ返すと、ダッチがさらに説明してくれた。


「うん、食事もできるし、トイレもちゃんと出るし……肌も明らかにシリコンじゃなくなってるし、どうやら私、本当に人間になっちゃったっぽいのよ。だから、もし私たちがこういうことをしたら……ほら、赤ちゃんの問題とかも出てくるでしょ?」


その話を聞いて、俺は少し考え込んだ。


「……わかった。今回はいいよ」


するとダッチは少し意外そうな顔をして、肩をすくめながら言った。


「あら、珍しいじゃない。私がダッチワイフだった頃は、好きなだけ腰振って終わりだったのに」


「そうだな。でも、俺はダッチが好きだからさ……ダッチを傷つけたくないって思うようになったんだよ」


ダッチは少し驚いたように、俺の顔をじっと見つめてくる。


「その『好き』は、友だちとして? それとも……」


その瞬間、なんだか俺の体が急に重くなって、気がつくとまぶたが下りていた。さっきまでの宴会疲れが一気に襲ってきたらしい。


「うわぁ、やりたいことやったら、さっさと寝るのは相変わらずね……」


ダッチの小さなため息を聞きながら、俺はそのまま深い眠りに落ちていった。そして夜はゆっくりと更けていくのだった。

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