第6話 重戦車AB-51アサルトバニー

瓦礫の森に入って少し歩いたところで、目の前に突然チハが姿を現した。こっちに気づいた瞬間、そいつは容赦なく砲撃を開始。地面がえぐれ、飛び散る土砂が目の前に飛び込んでくる。しかも、周りにはゾンビのようなアンデッドの歩兵がわらわらと湧いてきて、どうにも近づけない。


それどころか、そのアンデッド共はこっちの退路を断つように、背後にも展開を始めやがった。完全に包囲される寸前じゃねえか……このままじゃ本当に死ぬかもしれん。


「仕方ないなぁ、ポイント消費しちゃうけど、死ぬよりマシだしね。重戦車AB-51アサルトバニーを召喚するわ!わたしが運転するから、キヨシは砲手ね」


ダッチの言葉が終わると同時に、巨大な重戦車が目の前に召喚される。これがアサルトバニーか!車体にうさぎの耳が生えたような見た目だけど、そこそこいかつい感じだ。俺は砲塔に乗り込み、ダッチが操縦席に収まる。


目の前のチハに向かって激しい砲撃戦が始まる。だがチハのやつ、なんだか動きがキビキビしていて、こちらの装甲に次々と命中弾を与えてくる。それに比べて、こっちはまったく当てられない。正直、俺の腕前じゃ当てるのは無理じゃねえかこれ。


「くそっ! チハ強いじゃん。誰だよ、チハがやられメカとか言ったやつは!」


ダッチが苛立ちを隠せずに叫ぶ。俺は焦りながらも弁解するしかない。


「だってインターネットではみんなそう言ってたんだよ!」


ダッチは俺の言葉を聞いて、何かを決意したように叫んだ。


「なら、外しようがない至近距離まで近づくしかないわ! チハに突撃する!」


「ま、待てって! 動きが速すぎて、俺吐きそう……」


必死にしがみつきながらも、迫りくるアンデッドの随伴歩兵が、手榴弾らしきものを放ってくる。アサルトバニーは重戦車だけど、履帯が破壊されれば動きが止まってしまう。そうなったら四方八方から攻撃されてアウトだろう。俺は心の中で叫ぶしかなかった。


そして……ついにアサルトバニーとチハが衝突する。ダッチが見事な操作で至近距離に迫り、俺は120mm滑腔砲の引き金を引いた。


「うおおおっ!!」


ドカン、と大きな炸裂音が響き、チハの砲塔が吹き飛び、火の玉を上げて沈黙した。それと同時にアンデッドの歩兵たちはチリヂリに逃げていく。


「勝った……」


ダッチが呆然と呟く中、俺は興奮して叫んだ。


「やったぜ! これでラブラブだぁ!」


ダッチは少し呆れたような表情を浮かべて、ため息をついた。俺があまり活躍してないことはわかってるけど、そんなことは気にしない!


こうして、俺たちは無事に依頼を達成し、アサルトバニーに乗って村に戻った。

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