第4話 冒険者ギルド

しばらく歩き続けると、遠くに村の姿が見えてきた。俺とダッチは思わず目を輝かせる。文明の匂いがする!やっと食事や宿を取れる場所にたどり着いたんだ!ただし……村に入った途端、俺は人の多さに気後れしてしまい、ダッチの後ろに隠れるようにして歩く羽目になる。


周囲の村人たちがざわついてるのが、視線の端でもわかる。俺とダッチのことをじろじろ見ながら、何やらヒソヒソ話している声が聞こえる。


「なんだあれ……呪いでもかかってんのか?」「あの美少女の腰に、変なおっさんが貼り付いてるぞ」


くそっ、やっぱり目立つか。恥ずかしいし、不安もあるが、ダッチの後ろに隠れるしかない。意外にも村の中は活気があって、店もそこそこ立ち並んでいる。食い物や道具が売られてるのを見て、腹も減ってるし何か買いたい……が、よく考えたら一文無しなんだよな、俺たち。


「あー、金がないのかー。どうするかね」とぼやくと、ダッチがうなずく。


「そーだね。んじゃ、バニーガールロケットでも試してみる?」


ダッチが指を鳴らすと、目の前にドンッと長さ2メートルはある巨大なロケット型ニンジンが出現した。続いて「バニーキッチン」っていう野外調理器具まで召喚してくれて、二人でキャロットステーキを作り始める。香ばしい匂いが立ち込めてくると、村人たちがあっという間に集まってきた。


「な、なんだこの匂いは!?」「ニンジンを焼くのか?」


見た目のインパクトもあってか、キャロットステーキは飛ぶように売れる。俺たちにとっては普通の味のニンジンでも、この村じゃ珍しいらしく、客は次から次へとやってくる。気づいたら完売していて、手元にはそれなりの金が残っていた。


ただ……バニーガールロケットで11、バニーキッチンで8ポイント。残りラブポイントは280……やっぱり結構消費しちまったな。


まあ、とりあえず金は稼げたし、ダッチと二人で温泉宿に泊まることにした。村の温泉はなかなかのもんで、ほっとした気分で一緒に風呂に浸かるが……ダッチは水着を着たまま入ってきやがる。俺は不満たらたらだが、ダッチが強情だから仕方がない。文句は言いながらも、何だかんだで二人で洗いっこしてから布団で熟睡する。


翌朝、俺がまだぼーっとしてると、ダッチが宿の女将さんから聞いてきたことを話してきた。


「この村には冒険者ギルドがあるんだって。二人で冒険してお金を稼げるんじゃない?」


「はあ?そんなの面倒くせぇよ。ダッチと俺がラブラブしてラブポイント貯めれば、そもそもそれでウハウハだろ?」


俺の言葉に、ダッチはジトッとした目でこっちを見て、しっかりと決意を述べた。


「それじゃ、キヨシのヒキニート気質は治らないからね。甘やかしません!」


俺は少しブツブツ言いながらも、ダッチの言うことに逆らえず、結局二人で冒険に行くことにした。

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