共謀共同正犯

 平たく言うと、複数人で犯罪を共謀して、実行犯がその中の一部の人であっても、共謀した全員を「正犯」として、実行犯と同じ様に裁く。そういう法律だ。


(相変わらずど素人が書いているエッセイなので、間違っている所、補足などあればコメント欄からご教授いただきたい)


 近年の事例だと、上野の資産家夫婦が殺害され、那須で遺体で発見された事件があった。


 この事件の全貌は未だ明らかになっていないが、首謀者、協力者(?)、指示役、実行役等と、多くの人が金銭で繋がりながら、計画的に加害に関わっていたのが印象的だ。

 実行役はそもそも「遺体の運搬役」として雇われていて、現場に行ったら殺害に加担する事になったと言われている。そういう意味ではSNSを介していないとは言え、昨今の闇バイトに近しいものも感じる。


 凄惨な事件なので内容を詳細に語るのは控えるが、重要なのは、

「直接殺害に関わっていない、殺害現場にも居なかった人間が、殺人容疑で逮捕された」

という点である。指示役の男や夫妻の長女等がこれに当たる。


 裁判の結果はまだ出ていないので多くは語れないが、「夫婦の殺害を共同で共謀した」と言うことで逮捕された訳だ。


 殺人罪は「死刑、無期懲役、または5年以上の懲役」2人以上殺害されているので、死刑も十分有り得る。

 たとえ有期刑になっても、死体損壊罪等もかかってくるとかなり長い刑期だろう。……というか、素人の感覚だが、きちんと立証されれば共謀者の殆どが死刑か無期懲役となるんじゃないだろうか。

 まあ、まだ取り調べの最中だろうし、何とも言えない事件だ。



 今回の首都圏広域強盗事件だとどうだろう。シグナルやテレグラムで、リアルタイムに指示役から指示が飛んでくる。通話を繋ぎながら強盗に押し入るケースもあるらしい。

 強盗に入った人間は勿論「強盗(致傷、致死)罪」となる訳だが、遠方から指示をしている人間(闇バイター)も主犯と共に犯罪を計画しているわけだから、当然「犯行を共謀した」と見なされるだろう。


 日本の警察は優秀なので、秘匿性が高いとされるシグナルやテレグラム等のアプリも、通信内容を復元、解析されているのが実際の所だ。


 じゃあ、犯行現場ともっと遠い闇バイター達はどうだろうか。

「下見役」や「現金運搬役」等だ。


 指示役がどういう形で指示を飛ばしていたかにもよると思うが、実際問題「現金運搬役」は強盗殺人の容疑で逮捕されている。前回話した三十代の主婦がそうだ。

 本人は、

「犯罪で得た収益と認識していたが、強盗殺人には参加していない」

として容疑を否認している。との事。

 あくまで容疑なので、裁判でどう判断されるかは分からない。

 しかし強盗殺人となると、求刑は死刑か無期懲役だ。


 下見役だとどうだろう。

 下見役というのは、リフォーム業者なんかを装って、住んでいる人のリストを作成する闇バイトだ。


「屋根がズレて落ちそうになっていますよ」

 なんて謳い文句でドアを開けさせる。

 リフォーム業者の飛び込み営業というのは、基本的に有り得ないらしい。

 もし家に来たら「強盗の下見に来た」と思った方が良い。決してドアを開けず、警察に通報して欲しい。

 下見役は、水道局やガス会社、電力会社を名乗ったりもする。あとは「市役所の者ですが」とか。

 基本的に、役所の人間が事前の連絡無しで家に来るのは税金の取り立てくらいだ。あとは強いて言うなら国勢調査の時期だが、これも今日日はインターネットから回答できる。

 何にしても、身に覚えが無いなら開けてはいけない。


 下見役が何をするのかと言うと、家族構成なんかを聞き出して、空き巣や強盗に入る家に目星を付ける訳である。

「リフォーム業者ですよ」と言えば、会話の中で家族構成、間取り、防犯体制など、色々な情報を聞き出せる。内装などを見れば、資産があると判断できるかもしれない。作業をすると偽りスケジュールを聞けば、家に居ない日も分かる。

 リフォーム業者だけが怪しい訳では無く、身に覚えが無い人が家に来るのは怪しいと思った方が良い。


 下見役は「共謀共同正犯」になるのだろうか。

 これについて明確な記事を見つけられなかったのだが、送迎役の闇バイトに応募したタクシー運転手が、指示役の指示で「事前被害者の家に電気がついているか下見をし、実行役を送迎した」として逮捕されている。

 空き巣をする計画は知っていて、その上で参加していた。となるとやはり「共同共謀正犯」となる可能性もありそうだ。


 本当に大雑把にざっくりまとめてしまうと、「闇バイトで簡単な仕事をしただけでも、何年も、下手をすると生涯刑務所に入る可能性がある」となってしまう。


 結局の所、やらないのが一番なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る