終わりに 闇バイトの見抜き方と皆様へのお願い
結局、闇バイトって何を基準に見抜いたら良いんだろう。
「自分は経営者で、今海外に居るのですが、どうしても急ぎで、日本でやらなければならない仕事があるので、一日だけ手伝ってくださる方を募集しています。力が要る作業なので、男性の方お願いします。状況が状況ですので、日給10万円お支払い致します。既に2人は確保出来ていて、あともう1人だけお手伝いしてくださる方いらっしゃいませんでしょうか。本当に困っています!どうかよろしくお願いします! まずはDMください」
これは闇バイトの募集の一例だ。
若干捻って同情に訴えかける系である。
色々ツッコミどころ満載だが、見てみよう。
★面接不要
★男性のみの募集(振り込め詐欺の人員など男性のみでは無い場合もある)
★仕事内容が不明確
★高すぎる時給
★応募を急かされている
色々怪しいのだが、一番注目したいのは「高すぎる時給」だ。
東京都の最低賃金は2024年12月現在、時間額1,163円。1日8時間働いたとして、1万円弱。
スペックも資格も問われず面接も無く、動く体があれば良いというだけのバイトで、上記金額より遥かに高い金額……例えば日給2万円とか10万円とか書いてあるんだったら、ほぼ確定で闇バイトだ。
貰える報酬自体は多くなくても、時給計算するとやたら高いのもダメだ。
何をさせられるか分からない上、使い捨てにされると思った方がいい。
「家に来た荷物を指定された住所に転送するだけのバイト、1件3000円」
パッと見、安い報酬な気もする。だがコンビニから家まで往復しても15分くらいだったら、時給換算すると1万円を超える。危ないバイトである。
ちなみに提示された給料は満額どころか1円も貰えない事もままある。
「闇バイトをしたのに約束の給料が支払われない! 詐欺だ!」
と言って警察に相談し、逮捕された闇バイターも居た。なんてこった。
SNSから応募した後、シグナルやテレグラムといった秘匿性の高いアプリをインストールする様に誘導され、そこでやり取りするのも特徴だ。
一定時間でやり取りが消えるサービスで、犯行後、警察にスマートフォンを押収されても足が付きにくくなる……と言われていたが、今はかなりの確率でデータの復元ができるとの事。日本の警察は優秀なのだ。
シグナルやテレグラムを使って、巧妙な話術で個人情報を渡すように誘導されるのも特徴である。
身元の確認をしなければならない等と言って、「免許証かマイナンバーカードを撮影して送ってください」なんて言うのだ。
それで個人情報を送った後に怖気付いて仕事を断ると、自宅に不審な郵便物が届くようになったり、放火や暴行をチラつかされたり、家族を手にかけるなどと脅されたりする。
「人生一発逆転!」
「効率のいいお仕事」
「限られた時間を有効に使いたい方にオススメ」
「あと1枠!」
「ホワイトバイト」
耳障りの良い言葉で募集される、応募者の人生を使い捨てにする闇バイト。
警察の捜査が及んだ途端、闇バイトをしていた大学生が自殺したという報道もあった。
両親も友人も、亡くなるまでその人の異変に気が付かなかったと言う。「ごく普通の明るい若者だった」と言う。
周りは案外気が付かないのだ。
うちの愚弟もそうだが、案外隠せてしまうのも怖い所だ。
闇バイトに応募する子供達……10代〜20代の若者に、必要な情報が届かない現在。
この読み物で、「これは知らなかった」「こういう事もあるのか」と思ってくださった読者様はいらっしゃるだろうか。
あなたが知識を得て誰かに共有する事で、共有した誰かがまた別の人に共有してくれるかもしれない。それが少しずつ繋がり、「犯罪を犯す前の追い詰められた人」に届くかも知れない。
自分に子供が居なくても、共有先の誰かの子供に伝わる事で、また子供が友人に共有する事で、加害者を減らし、被害者も減らす事ができるかも知れない。
情報が伝わりづらい子供達の中で情報が広くシェアされる事で、「闇バイトの危険性とリスクの大きさが伝わり、集団免疫的に加害者が減り、被害者も減る」様にしたい。
ネットスラング的に言えば「闇バイトwオワコンww」的な雰囲気に出来れば、かつての「バカッター」や「迷惑系YouTuber」の様に、根絶は出来なくても極端に数を減らす事はできるのでは無いか。
そんな事を考えて、こんなエッセイを書いてみた。
さてさて。
何気ない日常会話の中で、「闇バイト流行ってますけど、応募すると酷いらしいですよ」なんて軽くお話をしてみてほしいのです。
離れて暮らしているお子さんや親戚が居たら、「最近大丈夫か? 何か困ったらすぐ相談しろよ」と連絡してあげて欲しいのです。
「ネットに転がってる上手い話に迂闊に乗るんじゃ無いぞ」と声をかけてあげて欲しいのです。
情報が必要なところに正しく伝わる事で、身近な人や、回り回って沢山の人を守ることに繋がると、筆者は信じています。
終
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