かつて犯罪に巻き込まれた愚弟と共に、子供達を「加害者にしない」術を考える
縦縞ヨリ
首都圏連続強盗事件・ごく普通の子供達が「加害者」になり得る時代
※この記事は2024年11月現在のものです。
※被害に遭われた方におきましては、心よりお見舞い申し上げます。また、お亡くなりになった方におきましても、心よりお悔やみ申し上げます。
通称、首都圏連続強盗事件。又は関東広域強盗事件と呼ぶこともある。
所謂トクリュウ(匿名流動型犯罪グループ)の犯行で、2024年8月から発生し、11月6日現在、未だ収束せず、述べ50人以上が逮捕、あるいは警察に保護されている。
現在は一都三県とされているが、今後とも更に被害地域が増える可能性が高い。あるいはもう被害が出ているかもしれない。
全貌は未だ明らかにならない。
ちなみに私の生活圏でも、何件か発生していて恐ろしい。
悪化する治安の中、自分の子供を「被害者にしない」様に対策を考えている親御さんは多いだろう。
しかし、今本当に子供たちの保護者や家族、周囲の人々に求められるのは、子供達を「被害者にしないよう保護する」と共に、「加害者にならないように話し合い、教育する」事であると思う。
子供達を、決して犯罪に巻き込ませない。
親御さんや、周囲の人々の強い意識が必要なのだ。
加害者が減れば、被害者も減る。傷つく人も減るのだ。
このエッセイで言う「子供」とは、10代〜20代の若者の事だ。
中高生も居るし、既に就職している若者も居るだろう。読者さんの中にも勿論居るだろう。
「20代は子供では無いだろう」
と感じる人も多いと思うが、8月時点での首都圏連続強盗事件の年代別逮捕人数を見てみて欲しい。
10代:4人
20代:27人
30代:8人
40代:1人
合計:40人
実に77%が十代、二十代。
(三十代も多い……が、流石に自分自身で情報を得られない世代では無いと思う。ちなみに私も三十代だ)
二十代の人の全てを「子供」だとは思わないが、「判断力が足りない、また、スマホばっかり触っている割には情報弱者」な人はそれなりに居る、と思う。
理由は後々詳しく書くが、平たく言うと「ニュースを視聴しない」世代なのだ。
警察がいくら「闇バイトやめて!」と広報しても、届かない人達が居る。
無論、全員では無い。
しかし言わばスマートフォン・ネイティブな世代、テレビを見ない、むしろテレビが家に無い人も多いだろう。
(だってテレビつまんないもん、YouTubeで推しを観てた方が楽しいもん。分かる。私もあんまり見ない……)
習慣的にネットニュースをチェックする人も多いと思うが、そうでは無い人も居る。
昔は、情弱というのはお年寄りに使いがちなスラングだった。しかし今日日、一部の若い人も「情報弱者」に陥っている。
若い人が悪いのでは無く、単に「陥りやすい環境」なのだ。この辺りも後々。
さて。
関東広域強盗事件の加害者の人となりを見ると、多くは一見「普通の若者」だ。
中には派手な外見の人も居るが、言ってしまえば何処にでも居そうな人が多い印象がある。画像を見ても、地味と言うか、大人しそうな人が多い様に見える。
実際、「個人情報を握られ、指示役に脅されてやってしまった」という様な供述も沢山出ているらしい。
最も、それで人に危害を加えたら紛れも無く「凶悪犯」だ。言い訳にはならないだろう。
ならば犯罪を未然に防ぐ為に、子供達とその家族は何ができるだろうか。
今回の事件で「凶悪犯」となったのは、穿った見方をすると、「流されやすそうな人」「脅されると萎縮して言う事を聞いてしまう人」。
あるいは、「借金で首が回らなくなって、追い詰められヤケクソで参加した様な人」。
借金や生活費の不足で焦り、判断力の鈍った「普通の人」が、Twitterで「高収入のホワイトバイト」を探し、リクルーターの甘い言葉で個人情報を渡した挙句、捨て駒として利用されてしまっている。日々情報を追っていると、そんな人が多い印象を受ける。
たかだか五万円の住民税が払えなくて、SNSで見つけた「安心安全即日払い高時給のホワイトバイト」に応募し、流されるままに人を襲う。
さて。
同時期に、北海道で複数人の加害者が起こした残虐な傷害致死事件(今後強盗致死に変わるかもしれない)があったが、そちらの犯人の人となりと、「使い捨ての闇バイター」の人となりは真逆のものにすら見える。
北海道の事件の犯人は、分かりやすく「血気盛んで善悪の判断がつかない若者の、行き過ぎた残虐な行為」だったのではないだろうか。
被害に遭われた方、またそのご家族の方、心よりお悔やみ申し上げます。
首都圏連続強盗事件はというと、捕まった多くの犯人が、「上手く言いくるめられて個人情報を渡した挙句、脅されて強盗に入ってしまった」と言う。どうやら本人には主体性が無く、指示に従い流動的に動いており、気が付いたら強盗になっていたという人が多いらしい。
これだけ見ると、「そんな馬鹿な」とも思う。
一体どうしてそうなった。
彼らは「ホワイトバイト」に応募した筈だし、当初の仕事内容は「物品の輸送(違法薬物、詐欺で得た現金等)」や「(振り込め詐欺の)受け子、出し子」「ちょっと(詐欺の)電話をかけるだけ」だったはずだ。
「安全で絶対捕まんないって聞いてたのに!」
(言うまでもないが、上記の時点で全くホワイトなバイトでは無い)
一例だと、「簡単なお仕事ですよ!」→「現地集合で指示しますね!」→「この家に空き巣に入ってください」→「人が居たら制圧してください」この様な流れで、「気が付いたら強盗になっていた」らしい。
書いていてゾッとする。
更に口車が上手いと、「この家の住人は元々俺達の仲間で、金を奪って逃げたんです。元々俺達の金だし、相手も警察には言えないから、ボコボコにして大丈夫です」と言われる事もあるらしい。無論嘘だ。中々巧妙ではないか?
ちなみに「指示役」「リクルーター」「下見役」「強盗後現金を運ぶ係」なんかも闇バイトがしている。らしい。
仕事が細分化している。
強盗にされなかっただけマシな仕事だと思った人も居るかもしれないが、「共同共謀正犯」というものがあり、平たく言うと、参加者皆仲良く「強盗をした人」という扱いになる場合がある。
この辺りの話は今後私の解る範囲でお話したいと思う。
とは言え、私は法律に明るくもなければ警察関係者でも無い普通の専業主婦だ。
お詳しい方がいらっしゃったら、コメント欄で教えて頂けると大変ありがたい。
さてさて。
今までのお話で、「うちの子は闇バイトなんて絶対しないし、させない」と思われた人が多いのでは無いだろうか。
流されるまま犯罪者になるなんて、馬鹿な人だと思うだろうか。
でも、自分の子供がこう言われたらどうするか、考えて見て欲しい。
「こっちはお前の住所も分かってるんだ、お前がやらないなら家族がどうなるか分かってるんだろうな?」
あなたのお子さんが何かの拍子に巻き込まれ、あなたを盾に脅される。その時お子さんはどうするだろうか。
そういう風に脅された時、どうすべきか。
あなたは今、お子さんに教えられるだろうか。
それでもまだ、こう思う人も居るだろう。
「うちの子は優しいし、お小遣いもあげている。闇バイトなんて絶対に応募しない」
そうだろうと思う。でも、例えばこういう事もある。
「怖い先輩に誘われて、断れなかった」
とりあえずこれだけ直ぐにお子さんに言って欲しい。
「変なバイトに誘われたり、もしも闇バイトに関わってしまう様な場面があれば、直ぐに警察に電話して保護してもらうこと」
ーーーー
相談先
警視庁総合相談センター
相談内容に応じて相談窓口等を案内してくれる。
電話:#9110 又は 電話:03-3501-0110(代表)
ヤング・テレホン・コーナー(警視庁少年相談係)
電話:03-3580-4970
勿論最寄りの警察署でも、交番に駆け込むでも大丈夫。とにかく警察だ。
ーーーー
警察は大々的に「闇バイトに応募してしまったら申し出てください。あなたも家族も保護します」とメディアでも言っているのだが、肝心の子供達には届いていない現実がある。
さてさて。
次回からは、私の家族のリアルな話も交えていく。とは言え、重大な個人情報なので、事件の詳細は分からないようにぼかす。
ちなみに何年も前の話だ。その時はまだ「闇バイト」という言葉は無かった。
しかし、気が付いたら犯罪に巻き込まれていたという生々しさは共有できるのでは無いかと思う。
身内の事でお恥ずかしい限りだが、あなたの大切な家族を守る為にも、良ろしければお付き合いいただきたい。
私の弟は数年前、TwitterのDMで声をかけられ、気軽に参加し、結果とんでもない目に遭っている。
一体どんな愚弟だと思われるだろう。まあ愚弟なのは間違いない。
彼は、極めて愚かな、ごく普通の明るい青年だ。
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