生徒の口癖

小学校教諭のマーサは教壇で授業していた。

黒板の問題を解かせようと一人の生徒を指名した。

「では、ユフィさん。この問題を解いてください」

するとその生徒は勢いよく返事して立ち上がった。

「はい、お母さん!」

その言葉に一瞬呆気にとられたマーサだったが、すぐに笑い飛ばした。

「先生はお母さんじゃないでしょ」

すると教室中で笑いが起こった。

授業が終わり職員室に戻ると一人の教師がマーサに話しかけた。

「さっきの授業すごく盛り上がってましたね」

マーサは苦笑いしながら応えた。

「実は、ユフィさんが私のことを『お母さん』って呼んじゃいまして……」

「ああ、小さい子にはよくあるかわいい話ですね」

微笑ましく笑う教師に対し、しかしマーサは少し顔を曇らせると呟いた。

「そうですよね。でも……どこまで知っているのかしら」

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