ゲーム開発

目の前で奇しく光るブルーライトに瞬きしてアルベルトは作業を続けた。

一瞬、伸びをした時にカレンダーが目に入る。

発売日と書かれた日付まであと1週間をきっていた。

「はあ……」

思わずため息をすると後ろから肩を叩かれた。

「進捗はどうだ?」

振り返るとそこにはアルベルトの上司が立っていた。

「いや……プロンプトはかろうじて出来上がりそうですが、デバッグを入れるとあと1週間じゃあ……」

次第に弱々しくなるアルベルトの姿を見て上司は腕組みをしながら頷いた。

「なるほど……コードは1週間あれば出来上がるんだな?」

「え? はい。まあなんとか」

アルベルトがそう応えると上司は「よし」と意気込み今度は全体に向かって投げかけた。

「みんな聞いてくれて! もう時間はない。デバッグはいいから、とにかく形として完成させてくれ!」

上司のその言葉に、遠くのデスクからすぐに反論が飛んできた。

「待ってください! デバッグをしないなんてゲーム開発としてありえません!」

アルベルトもその反論に納得し上司を仰いだ、しかし上司は変わらず強気な態度で言い張った。

「大丈夫だ、俺に任せろ!」

上司の自信満々な態度を疑いながらもアルベルト含め全社員は期日通りデバッグ抜きでゲームを開発してみせた。

そして、とうとうゲームは発売され、初週から100万本のヒットとなった。

発売したゲームのレビュー欄を熱心に見る上司にアルベルトは訊ねた。

「すみません。本当にデバッグしなくてよかったんですか?」

アルベルトの質問に上司は満足そうな顔をして、手に持ったスマホをこちらに向けてきた。

「今まさに、100万人のデバッガーが働いてくれてるよ」

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