面会

ロメロは警察署の面会室に座っていた。

「入っていいぞ、面会の時間は5分だ」

外から看守の声が聞こえてドミーが入ってきた。

憂鬱そうな顔をするドミーにロメロはできるだけ明るい声で言った。

「やあドミー、調子はどうだい?」

「……まあまあだよ」

ロメロはドミーの顔色を伺うと何か言いたそうにしていた。

「何か言いたいことでもあるのか?」

そう聞くとドミーはポツリと語り始める。

「捕まったのはとても残念だと思っているよ」

ロメロは安心させるように柔らかい声で答えた。

「たったの1年だろ、すぐに出られる」

「……まあ、そうだな。でもお前の方が慣れるのに時間がかかりそうだ」

「……聞いた話によるとここの飯は外より美味しいらしいじゃないか」

「でも……」

「反省はしてるし、一時的な感情の昂りだから常習性はないって判断されてる。そうだろ?」

ロメロがそう言うとドミーは「そうだな」と納得し笑顔を浮かべながら言った。

「とにかくここを出てまた酒でも飲める日を楽しみにしてるよ」

「まったくその通りだ」

ロメロが応えて後ろにいる看守に面会の終わりを告げた。

「よし、じゃあ房に戻るぞ。ロメロ」

そう言われてロメロは独房へと連れて行かれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る