ホームレス

マルコが歩いていると道端で喧騒が起こっているのを見かけた。

喧騒の実態を確かめようと近づくと真冬にシャツ一枚で段ボールに座るホームレスがおり、

そのホームレスが若者に虐げられているのであった。

ホームレスの足元には「Please Help」と書かれている。

マルコは正義感からホームレスのそばへ駆け寄り若者を制止した。

「やめなさい。弱者をいじめてどうするのですか」

「一芸を仕込んでいるんだ、うまくできたらお金を恵んでやるのさ」

憤りを覚えたマルコは群がる民衆にも聞こえるような大声で叫んだ。

「あなたたちはこんな可哀そうな人を見捨てるというのですか!」

「一度失敗した人間にはもう一度やり直す権利すらないと言うのですか!」

「今の私にはこれくらいしかあなたを助けることはできませんが、どうかこれでまずは身なりを整えてください」

そう言うとマルコはホームレスに100ドルを渡した。

そしてマルコはまたも民衆に向かって呼びかけた。

「このホームレスを助けたいと少しでも思った方々、どうか私と共に立ち上がってはいただけませんか!」

そう訴える姿に感銘を受けた群衆は次第に集まり始めホームレスにお金恵み始めた。

「これくらいしかないけれど……」

「暖かい物でも食べてください……」

「どうか頑張って……」

そうして10分と立たないうちにホームレスのもとには1000ドルものお金が集まった。

「ありがとうございます。ありがとうございます」

深くお辞儀をしたホームレスは路地裏へと消えていった。

マルコは満足げに頷いた。

「今日の給料は500ドルか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る