第7話
玄関を開けると、美味しそうな匂いが鼻をかすめる。
自室に荷物を置きに行き、制服から部屋着へと着替えてリビングに向かう。
「ただいま」
料理をする母に声を掛けてからキッチンで手を洗う。
「おかえり、杏璃」
母は、料理をする手を止めることなく目線だけ杏璃の方へ向けると笑顔で返事をした。
杏璃は、どちらかというと母親の真璃(まり)に似ている。...身長以外は。家族の中で低身長なのは何故か杏璃だけなのだ。あまり身長のことで嫌だなと思うことは無いけれど強いて言えば洋服選びに困ることだ。
最近は、低身長向けのブランドもたくさん出ているが自分好みの物を見つけるのはなかなか難しい。
「何か手伝うことある?」
母に声を掛けると、何かあったら声をかけるから大丈夫よと言われたのでソファに座っている兄の横へと腰かける。
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