第6話

最寄り駅につき、それぞれ帰路へと向かう。




ーー今日はたくさん林くんと話せたな。


今日の出来事を思い出し頬が自然と緩む。

最寄り駅から家までは徒歩10分の距離で着く。見慣れた景色を横目に歩いていると前から見慣れた人物が歩いてきた。




「帰りが遅いから心配したよ」





杏璃の姿を見つけると走って駆け寄ってくるのは、2つ歳が離れた兄の桃璃(とうり)だった。





「図書室で勉強してたら遅くなっちゃった。心配かけてごめんなさい」




「そっか。何事も無くて安心した」





兄の桃璃は昔から妹の杏璃のことが可愛くて仕方がない。幼少期の頃から共に一貫校に通う兄の友人たちの間では、重度のシスコンと有名である。




そんな心配性の兄のことを杏璃は嫌がる様子もなく、普通に接している。




「今日の夕飯何かな?」




「確か、冷蔵庫の中に肉があったから肉を使った料理じゃないかな」




「楽しみだね」




「そうだな」




重度のシスコンと有名である桃璃だが、仲の良い兄妹としても有名な2人。ご近所さんたちはそんな2人をいつも微笑ましい姿で見守っている。

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