第3話

終業のチャイムが鳴り下校時間になった。

教室から慌ただしく出て行くのは、部活動に所属している生徒達だろう。



この学校は、生徒数が多い為たくさんの部活動が存在する。しかし、所属は自由なので勉強を優先させたければ部活に所属せず励むようにという方針なので杏璃は後者を選択した。




「杏璃、また明日ね!」




「うん、また明日。紗希ちゃん、部活頑張ってね!」





「ありがとう!」





バスケ部に所属している紗希も、杏璃に笑顔で手を振ると足早に教室を後にした。




チラホラと教室に残っている生徒達は、部活動に所属していない者が多く、時間にゆとりがある為帰り支度を後回しにし会話に花を咲かせている。杏璃は、帰りの支度を済ませてクラスメイト達に挨拶をしながら手を振り教室を後にした。



その足で向かった先は、校舎内にある図書室。

進学校なだけあって、受験対策の参考書がたくさん並んでいるのだが参考書以外にもさまざまなジャンルの書籍が並んでいる為、多くの生徒達が図書室を利用していると担任が校舎説明の際に言っていた。





杏璃は、図書室に着くと参考書がある本棚へと向かう。目的の参考書を見つけ手を伸ばすも、背の低い杏璃にはなかなか届かない。辺りを見渡してみると近くに脚立は置いていないので、自力で取るしか無さそうだ。よし!と気合いを入れ精一杯背伸びして腕を伸ばすがあと少しが届かない。





どうしたものかと考えあぐねていると、頭上から伸びた腕が目的の参考書を本棚から引き抜く。





「あっ..!」





「これで合ってる?」





杏璃は驚きつつも大きな声を出さまいと口元を手で塞ぎこくりと頷くと両手で参考書を受け取る。







「ありがとう」

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