第9話 桜舞う

――――――――冬が過ぎ、雪が溶け、少しづつ春の匂いがしてきた。



「大丈夫か?」

「うん。」

「いいんだよ。俺なんか相手しなくて。」

「好きで相手してんだ。黙ってろ。」


僕が微笑むと…も微笑む。




「…なぁ。」

「ぁん?」

「……。」

「座っとけよ。押してやるから」


僕は車椅子から立ち上がって…に身を任せた。


「ったくお前は…。」

「耐えられない」

「…じっとしとけよ。今くらい。良くなんねーぞ。」

「良くなるまで我慢しなきゃいけないなら俺は今を選ぶ。嫌なら消えろ…。」

「どうなろうが俺はお前のそばに居る。そういう事言うな。馬鹿が。」

「俺より寂しがりだもんな。」

「……あたりめぇだろ。二度とお前失いたくない。」

「幸せだな…。」



―――――――――――――――――――――。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る