第7話 ずるい男

――――――――――――。


『お前に何がわかる?!わかんねぇだろ?!わからず屋!!…』

『はいはい。わめきたいだけわめけ。』

あきらの馬鹿が!!明は馬鹿だ!!』

『ついでに『大嫌い』とか言うか?』

『言うわけねぇだろ!!なんでそんなこと言うんだよ!!…言うわけねぇだろ!!』

『そうだな。お前は言わねぇな。』


あきらは僕をきつく抱き寄せて、

頭を撫でて落ち着かせてくれていた。



―――――――――――――――――――――。


「……」

「浮気者。」

「あぁ?…」

「『明』って元彼氏?」

「…。」

「引きずってる?」

「別に…」


「!!……」




ある日の夜中、夢が覚めて目を開けるとかけるが起きていた。


そして……抱きしめてきた。


「…ねぇ、りょうた、僕は『明』にはなれない。でも『明』以上にはなれる。」

「……埋めて欲しい。」

「埋めなくていい。僕でいっぱいにしてあげる。」


かけるは昔から言葉は柔らかいのに行動が強引な所がある。

力もバカ力な男ほどは無いが女性よりはあるのでたまに気を抜くとやられる。


でもそれがまた可愛くて面白い。

まるで自分の力が分からない犬のよう。


でもかけるは基本僕を見て笑う。

本当に黒い翼の生えた綺麗な顔した悪魔だ。


でも愛しくてたまらない。


明の手を振りほどいたのもかけるだから。




でもたまに夢に出てくる明は1番好きな時のアイツ。本当にズルい。



最後は俺じゃなくて女を選んだ。当然と言えば当然。だけど記憶の中のアイツが未だに消えない。


……かけ。どうにかしろよ。



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