2人の実力
「やっぱり!派手と言えばぁ!」
「「炎だぁ!」」
と2人で大声で発した後、間髪入れずに
ユイカはその魔法1つで家1つ吹き飛ばせる
『ファイアボム』を使い、
カシアは辺り1面を焼き尽くさんとする黒い炎の
『ヘルフレア』を使う。
「『ファイアボム×10』!」
「『ヘルフレア』!」
2人が違う場所で広い範囲の魔法を使ったため、
洞窟内は阿鼻叫喚の嵐となった。
2人は合流し、
「爽快!」
お互い本気で魔法をぶっぱなしたのであまりの気持ちよさについ叫んでしまった。
気がつけば目の前に賊が集まって来た。
「おい!これはお前らがやったのか!?」
賊は怒り狂っているが、カシアは煽る様に
「えぇ〜?私たち以外に犯人がいるの〜?」
と返す。ユイカも後ろで「ふっ」と悪い顔で笑っている。
「お前ら!小せぇからって情けはいらねぇ!奴らをぶっ殺せ!」
オォォォォォォォォ!!
と沢山の賊がそこかしこから湧いて出てきた。全員集合しているレベルだ。
「さ、もういっちょド派手なの行くよー!」
カシアが『ファイアバレット』を無数に展開し始めた。
「えぇい!『ファイアバレット×いっぱい』!」
恐らく50発くらい展開されたであろう『ファイアバレット』は、賊を1人残らず貫いた。
目の前には死体の山が出来ていたが、罪悪感は無かった。こいつらは悪い人間だから。
「よし!後はボスを探すだけだね。」
「そうですね。行きましょう。」
行動しようとしたその時。
「いやぁ、凄いねぇ。感激だ。」
拍手をしながらやってくる人が1人、
とても大きい斧の様なものを持った寡黙な大男が1人こちらへ向かってきた。
「へぇ。奇襲も無しに真正面に来てくれるなんてねぇ。」
カシアはニヤニヤして言った。
その態度に1人の男が、
「ははははっ!君たちは本当に面白いねぇ!」
と高笑いをした。
「まさか、俺達が君達に負けるなんて思ってるのかい!?」
有り得ない、という様子でこちらを見ている。
もう1人の大きい男は、何も言わない。
「ここは大人しく1対1でやろうじゃん!」
そう言うと男は鉈を取り出し、カシアとの距離を詰める。カシアは『グラディオス』で生成された剣で弾き、ユイカと距離をとる。
「ユイカ、そっちの大きい人任せた!」
と言い残して鉈と剣を打ち鳴らして離れて行ってしまった。
「任されました…と言いたいですけど、流石に大きいですね…」
ユイカが弱音を吐くのも無理はない。男は2mを超えていそうなくらい大きい。
すると男は口を開く。
「ま、ガキにはわりぃが…死んでくれや」
瞬間、凄くでかい斧が物凄いスピードでこちらに向かってきた。
「ツッッ」
間一髪避けた。ユイカ自慢のつやつやロングヘアーが少し切れた。
「危ないですよ。急に切りかかるなんて。」
少し煽ってみたが、男は変わらず斧を振り回す。
「『ロックスピア』」
地の利を生かし、壁から無数の鋭利な土を男に向けて放った。が、全て肉体によって弾かれてしまった。
「かっっったいですね!貴方の体!」
「これでも、伊達に鍛えて無いんでな…」
と言うと、男も魔法を展開してきた。
「…『大地の怒り』」
男が抉った地面から、岩が飛んでくる。地面を抉った時の岩なので、サイズがばらばらだ。
「ちょ、ちょっと多すぎませんか!?」
そう言いながらも、『シールド』で体を守りながらも、『ロックシュート』で岩同士を相殺しつつ、距離をとっていた。
「ちッ…うっとおしい奴だ…」
痺れを切らしたのか、男は突っ込んでくる。
「それを待ってたんですよ!」
準備していた特大の『ファイアボール』を男の斜線上に展開する。
「『特大ファイアボール』!」
「…こいつぁ、1本取られたな。」
射出された『ファイアボール』に男は為す術なく、直撃した。ユイカの目の前には焼け焦げた斧だけが残った。
「では、カシアさんの所へ行きましょう。」
てくてくと、向かっていった方向に歩いて行った。
ちょうど、ユイカ達が戦い始めた時。
カシアと男はドーム状の開けた場所に来た。
「ここなら、邪魔も入らないだろう。君と僕の1体1だ。」
男が笑い、鉈を構える。
「…はぁ。」
カシアは眉間を摘みながらため息をついた。
「どうした?構えないのか?」
男が煽ってくる。その態度に、さらに呆れた。
「なにが1体1ですって?こんなにお仲間を待機させておいて?」
と、カシアは周りを一望する。1つ、カシア達が来た通路とは違う通路がある。そこに
『サーチ』を使ったが、ざっと30人はいるだろう。どうなってんだこの組織。人多すぎでしょ。さすがに。
「なんだ…気付いていてここまで来たのか…愚かだな。若いからってなんでも出来る気になるなよ。」
男が笑うと、周りも通路からぞろぞろと出てきて笑う。
「しょうが無いなぁ…それじゃ、お望み通りにしてあげるよ。」
カシアが手を上につきあげる。
「は?何を言って…」
「『2式結界魔法・世絶の壁』」
そう詠唱すると、2人の周りにドーム状の結界が出来た。
「はぁ!?なんだこの結界はァ!?」
「おいお前ら!この結界をぶっ壊せ!」
そう言われ周りの賊が矢やら魔法やらを打つが、ビクともしない。
「無駄だよぉ。この結界は私が許可するまで壊れませーん!」
もちろん嘘だ。この結界以上のエネルギーをぶつければ壊れる。そんな魔法は、禁忌魔法以外に見たことが無い。よって、この嘘もあながち間違いでは無い。
「くそっ!こんな事になるなんて思ってなかった!」
男は焦りを見せていたが、すぐに落ち着いた。
「…ははっ。良く考えれば、所詮はガキ1匹じゃねぇか。すぐぶっ殺して僕のコレクションにしてやるよ!」
そう言い、斬りかかってきた。向こうは遂に本気を出したのかもしれない。
「なんでこの組織は、変態が多いのかなぁ!」
2人の獲物同士がぶつかり合う。
「やっぱり、力は無いようだな!」
男が力を強めてきた。当のカシアは、
(……うーん?この力で本気?…いやまさかね。
奥の手とかあるでしょ。なんか、こう、鉈がオーラを纏って刀身が伸びるとか。)
そう思い、男の鉈を軽く弾いた。
「ねぇもっと本気出しなよ。私の事殺すんじゃないの?」
カシアは純粋に疑問を問いかける。
そうだとも。男は思っていた。こんなガキ1匹に手間取ることは無いと。だが、自分の全力を叩き込んでも、軽くいなされた。
「…なんでそんな力が強いんだよ!クソガキのくせに!」
男は声を荒あげる。
「もぅ!うるさいなぁ!そんなに見たいなら見せてあげるよ!」
面倒くさい!と、カシアはフルパワーで行く事にした。
「よーく見てなさいよ!私の今の本気!」
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