反撃ですって?出来るのかしら?

魔術師のミツルをリーダーとするグループ、いやここはパーティと呼ぼう。

最初のパーティが出発していく・・・残ったクラスメイトたちの見送りを受けて。


ダークエルフの先導で暗い洞窟を進むパーティ。

やがて道は二手に分かれる。

「なぁどっちへ進めばいいんだ?」ミツルが聞くと・・・

「お前たちで選ぶんだ」

「だって、先が解んないじゃん!」


ダークエルフは諭すように話す。

「おまえは重要な決め事があった時でも他人に、自分の選択を託すのか?」

「いやぁ・・・そういうわけではないけど」

「先も解らないし、行った先で死ぬかもしれないんだよ」とミイナ。

「例えば、自分が重病になったとき、余命いくばくも無くなった時、

 延命治療を望むか、それをせずに自然な死を選ぶか。

 こういう場合でも自分の意見はないのか?それが人間なのか?

 人間は、自分の意見を、考え、信念をもって進んでいくのではないのか?」

「そんなこと考えたこともないし」

「他人がこれと選んだ道を進んだ結果がいいのならば、その選んだ他人を有難がる

 だが悪い結果となったらば、選んだやつを恨むことになるだろう。

 自分の考えがしっかりさえしていれば、人を恨んだり妬んだりすることは無い」


「わかった、じゃあここは俺たちで決める」

「そうだ。その結果が悪いことになったとしても、この男を恨んではいけない」

そういうとダークエルフは来た道を戻って行った。



二つの洞窟は同じような大きさ。

「どっちへ進む?俺は右へ行きたい」

「なんで右なの?」

「いつもなにか右側に進んだり、選んだりするといい結果が得られるんだ」

「ふぅ~~~ん。あんたが選んだならそれでいいよ。みんなは?」

「任せた。俺たちのリーダーだからな」



右側の洞窟を進む。


しばらく進んでも何も出てこない。


「このまま出てこないといいね」

「それならいいけど」


歩いて行くうちに、暗闇にも目が慣れてきたのか、前方がやや開けてきたのが解る。

すると・・・


ザッザッザザッと足音がする。

10体ほどのゴブリンがこちらへ向かってくるのが解った。

「来たぞ!怯むな!」


「レイナ!弓を使え!俺たちを援護してくれ!」

「OK!」


ひゅんひゅんとレイナが放った矢が飛んでいく。

アタッカーのリナとケントがゴブリンの群れに立ち向かう。


だが・・・


ゴブリンを一体を斃すことも出来ず、キズばかりが増えていくアタッカーの二人。

「ミイナ!もっとパワーを送ってくれ!」

「ごめん!これが限界!」

「くそっ!」


ようやくゴブリン2体を斃すことが出来た。

だがまだまだ多数のゴブリンがパーティに攻撃を仕掛けている。


はぁはぁ・・・こんなところで殺られる訳にはいかない!


「リナ!大丈夫か?」

「まだ平気よ」と言いつつも息が上がり気味。


戦い始めてから3時間

やっとすべてのゴブリンを斃すことが出来た。


「ちょっと一休みしようぜ」

メンバー全員、疲労の色が濃く、特にミイナの疲労度はピークに達しているようだ。


クラスの中では物静かに、いつも窓際の席で読書していたのがミイナだった。

「大丈夫・・・みんなのために。がんばるよ」


「よし!じゃあ行くぞ!」

ミツルの掛け声で再び動き出すパーティ


ウルフやグールの襲撃を受けながらも、なんとかやってきた今までよりも広い空間。


「あ!福田!福田がいるぞ!」走り出すケントだったが・・・


「あぶない!」リナたちが言うのも聞かず走り出すケントに

シュッ、シュッシュッ、ズバッ!ドッ!!ドバッ!

四方八方から飛んでくる弓矢が次々にケントの身体に突き刺さる!


広い空間の上には

ダークエルフたちが弓矢を構え、パーティ突入を今か今かと待ち構えていたのだ。


空間の奥にいた魔王=理子の指示だ。

パーティ突入の瞬間に、メデューサのレカセがダークエルフたちにアイコンタクトで射撃を指揮していたのだった。


身体中に弓矢を突き刺されたケント。


えっ?うそだろ??マジか・・・お、おれは・・・ここで・・・死・・・・・・

ドサッ・・・


「ケント!」走り出そうとするリナたちだが「やめろ!」「だってケントが!」

リーダーのミツルに制止されるレイナやミイナ。


つぎの犠牲者を”生む”ためにダークエルフたちが、レカセの指示を待っている。

「だめだ!行ったらケントの二の舞になってしまうぞ!」と言われ

しぶしぶケントの傍へ行くのをやめた二人。


空間の最奥にいた理子=魔王はメイドのミリアと参謀のメレイと控えている。

セーラー服に黒いマント、黒タイツの足を組んだを付けた理子

「よく来てくれたね!みんな」


「もう辞めようぜ!もうクラスメイトは俺たちを入れて15人くらいになった。

 本当に悪いことをした。すまなかった」

「・・・」

「いじめたことは本当に悪いと思ってた。ごめんなさい」

「悪いと思っていながら何で、あたしに対するイジメをやめなかったの?」

「そ、そそれは・・・」

「楽しかったよね?一人の女子をイジメてさ。さぞかし面白かったでしょ?」

「ごめんね理子、ホントごめん!もう二度とやらない!だからさ帰して」

「あんた達だけ帰ろうっていうわけか?わかったよ帰してあげる」

「ホント?」

「ここを出られたらね」と理子=指さす先に少し明るくなっている穴があった。

「あそこを抜けたら現世だよ」

走り出そうとすると、レカセの指示で再びダークエルフから弓矢が射かけられる。


グサッ・・・うっ

アタッカーで前衛を任されたリナの右足に矢が刺さる!

倒れるリナ「待って!待ってよ!置いて行かないで!」

ミツルを先頭にレイナとミイナは走り出していったのだ・・・


「魔王さま良いのですか?」

「ふっ、楽しみはこれからよ・・・メレイ頼むわ」

「はっ!テレポーテーション!」

魔王=理子の足元に魔王陣が現れ、足を置くと・・・



ッ・・・・



どっ!

「お待たせしました!」

「理子!なんで?」

ミツルたちの前に立ちはだかる理子は大剣を携えているが鎧は着ていない。

「さぁ学校で私にしていたことをしなさい!さぁ」


ううううーーーーーくそっ!

ミツルの魔法は効果が無い。

そう魔王には魔法攻撃に対する免疫が出来ているのだ。

「なに!この攻撃が効かない!?」

レイナは懸命にパワーを送っているが、そろそろ疲労の限界を超えたようだ。


体勢を立て直そうとするミツルに理子は一気に間合いを詰め、

その大剣をミツルの身体に突き刺した・・・


え?うそ!俺刺された?マジかぁぁぁぁぁ・・・・・・


シュワァァァァと

音を立てて真っ赤な血を吹き出しながらミツルは無残な死を遂げた


その様子を見たレイナとミイナは恐怖のあまり、その場に座り込んでしまった。

「ほら!あそこよ、あの穴を抜ければ学校で楽しいことが待っているよ!」

理子=魔王の言葉も聴けないほど衰弱してしまったのか・・・

だがミイナは最後の力を振り絞って歩き出そうとした。


その時


ドン・・・

あら?こんなところから血が・・・うそだ!うそだ!!!・・・・・

背後から忍び寄ったダンピールの槍に突き刺され、そのまま絶命。


残ったのは弓士のレイナだけだ。

そのレイナの前には理子=魔王が仁王立ちし上から鋭い目線で見下ろしていた。







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