最初の犠牲者はあいつ

福田理子が通っていた高校のクラスメイトが

朝起き上がると、なんだか雰囲気が違う・・・

「なんだろう?ここは・・・」

「あれ?お前は?」

「そう言うアンタは?」

「キミもか?」

「そうあなたも?」

「なんなのここ?」


そう、理子が転生した同じ世界に転生していたのだった。

ざわつくクラスメイトの前に現れたのは、

黒いフードと黒いマントを身に着けたダークエルフ。

「お前たちにこれから試練を与える。その試練を乗り越えたものだけが、

 現世に戻れるのだ」

たちまち聞こえる怨嗟の声。「やだ!こんなの早く帰りたい!」

「学校で勉強だ!いい大学いい会社に入るために!」「もうやだ!こんなとこ!」


「お前は何者だ!俺たちに試練をとか!バカにしてんの?」と言い終わらぬうちに


ヒュッ・・・

グサッ!

言った男の首にダークエルフが投げつけた短剣が見事にヒット!

シャァァァァァァ・・・・

男の首筋から真っ赤な鮮血がシャワーのように噴き出したのを見た連中は

その場から逃げ出そうと、出口に殺到するものの。

外には出られない。出口ではなくそれは、壁に描かれた絵だからだ


パニックに陥るクラスメイト


きゃぁーーーー

うわぁぁぁぁぁぁ!!!!


その部屋の中は大混乱に陥った。

出口を求めて部屋の中を動き回るけれど、どこにも出口はない。


「座れ!」ダークエルフが指示すると、

止むを得づその場に嫌々ながら座り込む。

「お前たちが言う事を聞かなければ、あの男と同じ目に会うのだ!解ったか!」

と宣言すると、ダークエルフはあっという間に姿を消した。


「どうすんだよ。これ」

「お前学級委員だろ?何か考えろよ」

「そんなこと言っても解らない」

「ったく役立たずが!」

「何を!」

「やんのか!こら」

「ちょっと、辞めなよ、そんな事してる場合?」


途方に暮れる30人のクラスメイト・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



洞窟の奥にポツンと取り残された理子

「暗いなぁ・・・なんか灯りは無いの?」

暗闇の奥をじーっと見つめると、なにやらランプの様なものを見つけた。

ランプだ・・・けどどうやって明るくするんかいな?


すると、その奥から一人メイドっぽい女子が歩いてくるのが、うっすら見えた。

それは徐々にはっきりとした姿として見えるようになると・・・


「お待たせしました、魔王さま。わたくしがあなた様の専属メイド、

 ミリアでございます。よろしくお願いいたします」

ミリアと名乗ったそのメイドは、身長は理子と同じくらい。

白い陶磁器の様な美しい肌に、真っ赤な唇、大きな黒目がちな目に丸い眼鏡。

すっと高い鼻。黒くて艶のあるロングストレートヘアが似合う超絶美少女だ。

じっと見つめると「魔王さま?わたくしの顔に何か着いていますか?」

「いやぁなにも・・・あまり美しいので見つめてしまった」

「おやめください魔王さま。これからあなた様に誠心誠意、お仕えいたします」

こんな超絶美少女がわたしのメイド?なんだかすごいことになって来た。


ミリアがランプを手際よく点灯させると、洞窟のなかの様子が解って来た。

玉座がある「こちらへお掛けください。あなた様しか座ることが出来ない椅子です」

促されて座る理子「なんか落ち着かないね」「じきに慣れますよ」

「これは何?」椅子の横の机の上には地球儀大の比較的大きな水晶玉が置いてある。


「魔王さま。これに手をかざしてみて下さい」

言われるがままに手をかざすと、何かの画像が映りだすのだ。

「あ!こいつらはあたしをイジメいていたクラスの連中だよ!」

「そうでしたか、では魔王さまの初めてのお仕事をされては如何でしょうか?」


ミリアが説明するには、この水晶玉に映し出されるのは、例のクラスメイトが軟禁

状態に置かれた部屋の様子が逐一わかるものなのだ。

理子が指さした相手をダークエルフが連れ出し、魔王の手下と戦わせるというのだ。

「もちろん選ぶのは魔王さま次第、手下もあなた様次第ですし一人ではなく

 複数選んでも構いませんよ。ではまず連れ出す人間をお選びください」


それなら・・・まずあいつかな?あーでもこの男もぶっ殺してやりたいな。

えーなかなか選べないな。

「お悩みですか?お気持ちは良く解ります。でもあなたをイジメていた奴らに

 復讐することを、ご所望のようですし」

一番親し気にしていた、あいつを殺るか・・・


「じゃあ一番奥に座っている女子がいるだろ?あいつにしよう

 親し気にしていたくせに、いつの間にかあたしをいじめる側に回ったヤツでさ」

「そうですか、では呼び寄せますが、よろしいですね」

「頼む」


ミリアが水晶玉に向かって指をさすと、ダークエルフがそいつを連れ出した。

「やだやだやだやだ!!!!!なんで私なの?やめてやめてやだやだ!!」


そしてその女子を洞窟へ連れ込んだダークエルフが

「ここにある武器を選べ」

「やだ!何すんの!」

「これからお前に試練を与えるのだ。その試練に勝つことが出来れば部屋へ戻す」

「出来なければ?」

「死ぬ」

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!死にたくないよ!」

「死にたくなければ戦うのだ」

その女子は覚悟を決めたのか、数ある武器の中から刀を選んだ。


「帰るんだから!」

女子の前に現れたのは小さなゴブリン。

刀を大上段に構えるけれど・・・・


グサッ・・・

「あ・・・なに?これ」お腹を触ると血でグッショリ濡れている

ゴブリンが持っていた槍で身体を突き刺されたようだ。


ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


その女子は槍が突き刺さったまま、あおむけに斃れ二度と起き上がらなかった。


戦っている様子は部屋のクラスメイトが、ずっと見ていたようだ。

悲鳴を上げる者、あまりの恐怖に失禁するやつもいた。脱出しようと出口を探す者


わたしがお前らにされたことは、あれ以上だったんだぞ!解ったか!クソども!


復讐のスタートだ!










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勇者よ!英雄よ!私の前にひれ伏すのだ!! とねてつVer2 @83012086

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画