第5話:チーム結成②

 訓練場。

 セラフィムが言う。


「さぁ、エクシアさん。自分の魔導兵装を持って」

「はい」

 

 エクシアが魔導兵装に魔力を込めると待機状態から戦闘状態へ移行する。刃がせり出て銃身が露わになった。また防御結界も展開される。

 攻防一体の武器だ。

 

「ストライクイーグル、第二世代の名品ね」

 

 セラフィムも魔導兵装を展開する。

 

「鳥の羽より軽く、刃よりも鋭く、鋼よりも硬い。それが魔導兵装よぉ」


 セラフィムは、訓練場の端末を操作して、動かない的を用意する。


「まずは魔力を持たないモンスター。ゴブリン。小さく、脆くて、弱い。だけど物量がある。一匹見たら百匹はいる」


 的のゴブリンを出現させ、セラフィムはシューティングモードで撃ち抜く。そして次に端末を操作すると、百体のゴブリンが出現した。それも制圧射撃で沈黙させる。


「次の魔力なしは巨人。でかくてぇ、強い。けど魔力は持たないしぃ、少ない。ゴブリン千匹に対して一匹いれば良いほうねぇ」


 巨人とゴブリンの群れを、セラフィムは軽く掃除する。


「3番目は、一番厄介なスライム。耐久力は無いけど火力がある。魔力をエネルギーにして魔法を使うわぁ。防衛隊も魔導師が一番嫌ってると思うわぁ」

「どうして?」

「こっちの防御結界を必ず貫通する威力があるの。避け損ねれば即死するわ」

「防御結界の意味なくないですか?」

「あれは軽微なダメージ衝撃を無くすものだから。攻撃を受けたらゴブリンだろうが、巨人も、満遍なく致命傷ぉ〜でぇす」

「それは恐ろしいわね」

「あ、そうだぁ。魔導兵装はできるだけ盾に使わないようにねぇ」

「何故?」

「側面からの強度は低めだから。一度や二度なら良いけど立て続けに受けると折れて戦えなくなる確率は高いよぉ。変な癖が付く前にステップ回避を取得して回避型の戦闘スタイルを目指した方が良いかもぉ」

「わかったわ。でもステップ回避は、廃れた技術だと聞いた覚えがあるわ。今はジャンプ回避が主流だと記憶しているけど」

「そうだねぇ、主流なのはジャンプ回避だけど私はステップ回避を絶対覚えるべきだと思うんだぁ」

「何故?」


 セラフィムはエクシアに問いかける。


「そもそもこの二つの違いを説明できるぅ?」

「ステップ回避は二次元的な動きで回避距離が短い。ジャンプ回避は三次元的で回避距離が長いことが知られている……かしら」

「うん、その通り。基本的にジャンプ回避の方がメリットが多いのは確かなんだけど、ステップ回避は瞬発力が高いから咄嗟の回避に役立つのぉ。だから私はジャンプ回避よりステップ回避を重点的にやってる」

「なるほど」

「勿論、ジャンプ回避もできて損は無いんだけどねぇ。モンスターとの超高速戦闘では素早く柔軟な回避が重要だからぁ」

「ありがとう。学ばせてもらうわ」

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