第13話 vsロックゴーレム
クレア、ロアン、エマ、シグレットが居なくなった後、野原にはビビアンとクロボシだけが残された。
「……」
(なーんで、よりによってコイツと2人きりにされるわけ?)
おしゃべりなビビアンと寡黙なクロボシは相性最悪。
気まずい空気が流れる。
(つーかみんなどこ行ったの? もうっ! そもそも男3人もいて全員平民とかどういうことよっ!)
苛々とするビビアンに、クロボシが無言で近づいてくる。
「は? なに?」
「足、見せろ」
2人きりという状況もあって、ビビアンはクロボシに恐怖を覚える。
「なっ! ふざけないで! 変な気起こしたら殺すわよ!」
「……」
クロボシは無言でビビアンの右足首を掴む。
「つっ!?」
ビビアンの足首には引っかき傷のようなものがあった。
クロボシはポーチから消毒液と包帯を取り、治療していく。
「こ、こんなのただのかすり傷だって……」
「自然を舐めるな。ただのかすり傷が致命傷になりえる」
最初こそ抵抗していたビビアンだったが、有無を言わせず治療するクロボシに観念しておとなしくなる。
包帯を巻き終えると、クロボシは立ち上がり、また静かに距離を取った。
「……」
(変なやつ……)
鎮座するクロボシ。だがすぐにクロボシは瞼を開き、立ち上がった。
「避けろ!!!」
普段物静かなクロボシの怒号。
ビビアンはすぐさま背後の殺気を感じ、飛びのいた。
ビビアンの座っていた岩を、岩の拳が打ち砕く。
「ガアアアアアアアアアアアアアァァァァッッ!!!!!!!」
人型の岩石の集合体、
---
クレアたちがビビアンたちと合流したのは
「ビビアン! クロ!」
エマが声を掛ける。
クロボシは唇から血を零し、片膝をついている。
ビビアンは左腕をぶらんと下ろし、右腕だけで盾を持っている。
「エマは2人の治療を! ロアンは前線で盾になってくれ!」
シグレットが指示を飛ばす。
ロアンは前に出て、
「ぐっ!」
ロアンの剣と岩の拳が衝突する度、大気が震えるほどの衝撃が起きる。
ロアンが踏ん張っている間にビビアンとクロボシをエマが治療する。
「……2人は動けなさそうだね。クレア、僕の毒を君に預ける」
「了解! 私がクロの役割を担うわけね」
嫌な予感を察知したロアンが後ろを振り向く。
「気を付けろ!」
「クレア!」
シグレットの声。
クレアは大きく飛び上がり、岩石を躱す。
「あっぶない!」
クレアは着地し、おでこの汗を拭った。
シグレットはホッと胸を撫でおろす。
(クレアは騎士の適正も持つ錬金術師。こういう陣形が乱れた時には頼りになる……ますます惚れ直しちゃうな~っ!)
いけないいけないと、シグレットは自らの頬を叩き、呆けた心を引き締め直す。
シグレットはバッグから黄色の液体の入った瓶を出し、
「アシッド・リキッド。
クレアがシグレットから毒を受け取る。
「狙うのは胸の中心、
「私の責任重大ね」
クレアは毒にナイフを浸し、
「……うえぇ!? 無理しちゃダメだ! クレア!」
「確実に当てるにはもっと近づかないと!」
「やれやれ……我がパートナーながら世話の焼ける」
クレアに意識を向ける
「お前の相手は俺だ、でくの坊」
ロアンが引き付けている間に、クレアは必中距離に踏み込んだ。
クレアは毒付きナイフを投げる。
「いっけぇ!」
クレアのナイフが、
「がああああああああああああっっ!!?」
「よし、成功――」
「ガアアアアアッ!!!」
様子がおかしい。
(
神経が毒に反応し、激痛から悶えている。
「え……ちょっと待って!!」
騎士の適正を持つとはいえ、さすがのクレアも
(しまった……! 僕のミスだ!!)
シグレットはクレアに手を伸ばすが、クレアとシグレットの距離は10メートル近くある。
助けに行くには離れすぎているし、例え間に合ってもシグレットでは
「クレアァ!!!」
――――――――――
【あとがき】
『面白い!』
『続きが気になる!』
と少しでも思われましたら、ページ下部にある『★で称える』より★を頂けると嬉しいです!
皆様からの応援がモチベーションになります。
何卒、拙い作家ですがよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます