第二話『大事な話があるの』
第3話
12時23分
「それで名前も聞かないまま行っちゃったんだ」
「うん」
「写真撮れよ」
次の日の昼休み、私は思い切って『占い』がきっかけでできたた2人の友人に、昨日あったことを話した。
「千ちゃんの盗撮講座、もっと真剣に聞いとけばよかった・・・」
「それな。もっと後悔して」
タロットの『占い』を使っている
最近は1個上のハンドボール部の先輩が、どうやら千ちゃんの推しにそっくりらしく、姿を見つけ次第写真を撮りまくっている。この前だって――。
――千ちゃんもう授業始まるよー。
――あれ。よくウチがここにいるって分かったな。
――移動教室の度に忘れ物して教室戻ってたら流石に『占い』絡みだなって分かるよ・・・
――流石に3回目は露骨すぎたか。おけ、撮れた。
――心配して損したってかんちゃんに怒られるよ?
――いや、香音のことなら『収穫あり?』って聞くね。見てコレ。
――小椋先輩だっけ。うわ、めっちゃ笑顔じゃん。
――この
――あ、確かに・・・この写真のそらまる君
――スチルな。
――ガチ似だね・・・って千ちゃんはそらまる先輩は『占い』的にどうなの?
――推しとして好きだけど、彼女になりたいとかではない。小椋先輩は空円の副産物みたいなもん。
――めっちゃ失礼なこと言うじゃん。先輩だよ?
――推し変があるなら好き変もある。ってことだ。
――んん?
――『占い』が提示している『推し』や『理想の相手』は年取ると変わるんだよ。
――千ちゃん・・・。
――ん?
――『推し変』って何?
――この非ヲタがよぉ!
・・・なんてことがあったなぁ。昨日までは千ちゃんの執念にちょっと引いてたけど、今は。
「後悔する!制服だったからどこ高かは分かるんだけど」
「紫水この前『やりすぎると犯罪になるからほどほどにしなよ』って千に言ってたじゃん・・・」
私と同じ手相・人相の『占い』を使っている
――ううん。全然違うよ。けど、向こうの『恋占い』が私と恋人になれって言ってるみたい。
――えっ。
――『sou』にも相性は悪くないって書いてたからとりあえず付き合ってみようかなーって。
――それじゃあ、かんちゃんはその人のこと好きじゃないのに付き合うの?
――一旦ね。だって・・・私達もう16歳になるんだよ?彼氏いないほうがおかしいじゃん。
――そんなことはないと思うけど・・・。
――なら紫水は将来の旦那様に恋愛経験ゼロで会うの?不安じゃない?
――んん。
――一途な人が好きなタイプって人がいるのは分かるよ?でも私はそんな待てないな。
――な、なるほど。そういう考えもあるんだね。
――一理あるでしょ。だって、『占い』は必ず添い遂げる相手を見つけてくれるけど、いつどこで出会えるのかは『占い』の段階を踏んでやっと分かるものだから。
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