初のギルド解体部門

『解体部門』と書かれている扉を開き、中へ入るとすぐに血なまぐさい匂いが漂ってくる。中では数人が魔物の解体作業をしていた。


 色々な魔物の死体や解体が終了した後であろう素材などが壁に引っ掛けてあったり、天井から吊り下げられていたり、大きい作業机に置いてあったりしている。


 横を見ると受付のようなものがあったので、近づいてみる。


「おう、どうした坊主。何か用か?」

「すいません、自分はDランク冒険者のカイと言うのですが、魔物の解体を依頼しに来ました」

「お前さん、Dランクなのか!?どれ、ちょっとギルド証見せてくれ」


 どうせ後で【アイテムボックス】持ちだとバレるので、それなら、と、ギルド証を『収納』からテーブルの上に出現させる。


「うおっ!お前さん【アイテムボックス】持ってんのかよ。すげぇじゃねぇか!」

 そう言って男がギルド証を手に取る。


「いえ、それほどでも」

 適当にそう言っておく。


「おお、本当にDランクみたいだな。すまん、失礼した。で、解体依頼だって?初めてみたいだし仕組みとか説明したほうがいいか?」

「そうですね、お願いします」


「よし来た! この解体部門では、持ち込まれた魔物を解体して出来た素材を自分で持って帰るかギルドにそのまま売却しちまうかを選べる。持って帰るならその時に解体手数料を幾らか払ってもらう。ギルドに売ってくれるなら解体手数料は無し、買い取り価格からの手数料の差し引きなんかもない。それと素材を持って帰る場合、解体が終了した素材を取りに来るのを一週間忘れていたら、そのままギルドの物になる。まあ、このくらいかね?」

「なるほど」


(特におかしな点もないように思うので、依頼するか)


「分かりました、では解体をお願いしたいと思います。」

「了解だ。じゃ、仕舞ってる死体全部出しな」


 それに頷き返し、『収納』から、ホーンラビット2匹、オーク3匹を出現させる。

 スライムとゴブリンは収納していないのでこれだけだ。


「これで全部です。お願いできますか?」


「おうよ、このくらいすぐだぜ。料金については解体が終わった後になるが大丈夫か?大丈夫なら明日以降に来てくれ」


「ええ、分かりました。では後はお願いしますね」

「合点承知!」


 そうして解体依頼をしてから解体室から出る。


 そのままギルドを出ようとするが、あることを思い出す。


(Cランク昇格試験はパーティーでの試験って言ってたよな?それっていつ受けられるんだ?)


 気になったので、そのまま受付に足を運ぶ。



「さっきぶりですみません、1つお聞きしたいのですが、Cランク昇格試験ってどうやったら受けられるのですか?」


「そうですね、Cランク昇格試験ではギルド側で選別したDランク冒険者4人でパーティーを組む必要があるので、事前に試験に参加する旨を私共にお伝えいただければ、人数が揃い次第お知らせさせて頂く形になります」


「なるほど、では試験への参加を希望したいです」

「承知しました。では、準備が整い次第、ギルドにいらっしゃった際に通知させていただきますので、それまでお待ちください」

「分かりました。ありがとうございます」


 そう言って受付を離れ、ギルドを出る。


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