三年後(13歳)
はい、代わりまして3年後のワタクシ、13歳のセグストがお送りいたします。
今回で、年単位の時間が飛んで一気に成果を報告をするいつものやつは終わりかなぁ。
今日は待ちに待ったアウロラ魔法学園へ向かう日なので、乗り合い馬車に乗るために午前4時に家を出る予定だ。
『転移』でパッと飛べればよかったが、行ったことのない場所には行けないので断念。
なので、今回は普通に乗合馬車で行くことになっている。こんな時期に乗合馬車に乗っている13歳くらいの人はみんな魔法学園行きかなぁ。
絡まれたりしないか既に面倒な気分だ。
まあ、入学式自体はもう少し先の日だから学生候補はまだ少ないだろうから、なんとかなるか。
ちなみに入学式がまだなのにもう学園に向かってもいいのは、学園へ様々な場所から様々な人間が入学しに来るため、時期に余裕を持たせているからだと父が言っていた。
かくいう自分も、かなり早いが学園に向かうことになっているし。
理由はルーナにある。
父の話だとルーナも魔法使いとしてテルース家で教育されていたらしく、自分と同じ様に魔法学校に行くことになったんだそうだ。
だが親切心か何か知らないが、父が勝手にルーラと一緒に魔法学校に行くようセッティングしようとしていたらしく、「自分は一秒でも早く魔法学校に行きたいんです!他人を待っていたくありません!」とごまかしを効かせてまたまた回避に成功した、という出来事から出発が早まったのである。
この企みは何やらテルース家側からの打診だったらしく、なんでそんな打診が来たかといえば、父がテルース家領主に自分の話をしてしまっていたからである。おのれ。
そしてどうせ行くなら同じ乗合馬車でどうか?と言う話になったそうな。
(冗談じゃなーい!!!)
さて、ファンタジーと言えば魔法の学校、学園だろう。
これも自分は転生モノの醍醐味だと考えている。
これがワクワクせずにいられるか!
そして、どうやら属性判定石での属性確認は魔法学園側が行ってくれるらしい。
本来属性確認はその国によって実施されるのだが、魔法学園側がそれを代わりに行ってくれるので、いちいち国の属性確認に行かなくても良くなったのは素晴らしい。
さて、今回も訓練結果の確認と洒落込もうか。
魔力制御訓練、魔法訓練に最低限の基礎訓練、追加で剣術訓練もこなしてきた今の自分は、一人自活できるほどの能力が身についたと思われる。
まず魔法訓練だが、これから13歳になって初めて魔法を使うであろう人たちには申し訳ないのだが、一足先に上位魔法に足を踏み入れさせてもらった。
と言っても大概の上位魔法は、自作上位魔法になってしまうのだが。
特に空間魔法は上位となってくると明らかに強そうな魔法ばかりでテンションが上がる。
例えば、これぞ空間魔法の攻撃という感じの空間を切り裂いて攻撃する魔法。
自作なので『ブレイク』と名付けたこれ、視覚的にも空間にヒビが入り割れるアレを完全に再現できている。
そこら辺の弱い魔物に近づいてこれを発動したときは爽快感がすごかった。
もう一つ作ったのは『シャットダウン』という魔法で、指定の物体の輪郭に透明な特殊空間を発生させ固定し、敵の行動を時を止めたかのように停止させる、というものだ。
人間には試したことがないのだが、小動物程度なら完全に動きを停止させることができる。
かっけぇ!
ということで、『ブレイク』はともかく『シャットダウン』は人間相手であっても制圧などに使えそうなので重宝するだろう。
あと、極位魔法に関しては魔法学園に入ってから扱うことにしようと思っている。
それはなぜか。まず、リーベル領で発動させたくないからだ。
空間以外の属性もそうだが、空間属性の極位魔法についてアイデアとしては『ブラックホール』というものがあるのだが、こんなものどう考えても周囲に甚大な被害をもたらしてしまう。
上位魔法であれば空間魔法で何とか防げるのだが、極位魔法となるとどうも嫌な予感がしているというのもある。
【結界術】でできる限り魔力を消費した最高の強度を持つ結界でも『ブラックホール』を抑えられる気がまるでしない。
気軽に練習ができないというのは困ったものなので、どこかのタイミングで荒らしても良さそうな場所に一度足を運ばなければならない。
さて、次は武術についてだ。
剣術訓練を3年こなしてきたことによって、ヤヌス流剣術は一通りの型を一人前程度には扱えるようになった。
【武の才】と【成長促進】の恩恵も感じている。前世のままだったらこうは行かなかっただろう。
まあそれでもソールに勝つことはできなかったのだが。まあそりゃあそうだと思う。魔力特化型の自分のようにソールは剣術特化型だ。勝てるほうがおかしい。
ソールに剣一本で勝つことはできないが、こっちには魔法というアドバンテージがある。
それを鑑みれば特に問題はないと思う。そして、だからといって訓練を怠るつもりもないが。
では次にお楽しみの発現したスキルに行ってみよう!
まず、魔法訓練によって発現したのが【属性強化】だ。
効果はおそらく読んで字の如しで、魔法により発現する属性の質が高まった感覚がある。それに限らず属性に関わることなら補正してくれそうだ。素晴らしいね。
次に、剣術訓練で発現したのが、【剣術】【身体強化】になる。
【剣術】の方は言わずもがなだと思うが、効果は剣術への補正。
そして【身体強化】だが、これはファンタジー作品で見たことのある、体に魔力を巡らせ纏うことで身体能力を上げるアレを試していたら、1ヶ月後くらいに発現した。
スキルの発現までが早かったのは、魔力制御が上達したからだろうか?もしくは【成長促進】自身が成長しているとかも有り得そうだ。
そして肝心の効果は【剣術】と同じように、身体強化の補正だ。纏う際の魔力の動きみたいなものがわかりやすくなり、身体能力を上げやすくなった。
そしてお楽しみのステータスがこちら!
-本当のステータス-
<名前> セグスト・リーベル
<種族> 人間
<性別> 男
<年齢> 13歳
<スキル> 【完全隠蔽】【成長促進】【魔力自動回復】【魔の才】【武の才】【鑑定】【全耐性】【言語理解】【オーバーチャージ】【結界術】【無詠唱】【魔力制御】【気配察知】【魔力運用】【魔法石生成】【属性強化】【剣術】【身体強化】
<能力値> HP: 320/320 MP: 21032/21032 STR:113 DEX:62 VIT:89 AGI:80 INT:90 MND:180 LUK:18
<適性属性> 火・水・風・土・雷・氷・光・闇・空間
良いねぇ。13年この家で培って来たものの集大成ということになるだろうか。
魔法練習の際の『転移』を除いてあまり自主的に外には出てこなかったが、おそらくこのくらいのステータスならば世間でも苦労することなくやっていけるだろう。
魔法も剣術も、身を守る技術はしっかり身につけられたと思う。
これで心置きなく魔法学園に向かえる。
あっと、偽のステータスも忘れない内に設定しておかないと。
学園に行ったら【鑑定】を持つ人だって増えるはずだ。これからはより一層そこらへんに気をつけないとな。
-偽のステータス-
<名前> セグスト・リーベル
<種族> 人間
<性別> 男
<年齢> 13歳
<スキル> 【魔力自動回復】【魔の才】【武の才】【鑑定】【剣術】【身体強化】
<能力値> HP: 250/250 MP: 300/300 STR:81 DEX:45 VIT:65 AGI:68 INT:70 MND:110 LUK:12
<適性属性>火・水・風・土・雷
うん、これでよし。
あれだけ訓練して【剣術】や【身体強化】が発現していなかったらおかしいし、この2つなら鑑定されても特に訝しまれたりはしないだろう。
MPに関しても魔力を視れる存在などへの対策のために、【完全隠蔽】で300程度になるように調整して隠蔽している。
流石だ、【完全隠蔽】殿。
さて、準備は整った。
入学祝いで父からもらったアダマンタイトの両手剣もお金もすべて『収納』に入れられるけど、『収納』のことは基本この家では秘密でやってきたので、家を出るときは帯剣しておく。そして家を出たら全部収納する。
また、大抵の荷物は既に学園の寮に送られている。
アダマンタイトの剣だが、アダマンタイト自体は非常に高い強度を誇り、砕けないとされるほどの硬さを持つ鉱石だ。中々に重いが鍛えたので扱える。
ちなみに今更だが、この世界の貨幣についても解説しておく。
この世界ではオボルスという貨幣が主に利用されている。
世界各地に設立されている冒険者ギルドが発行しているのがオボルスで、ギルドが主に取引などに用いていることから、多くの国ではオボルスを持っていればどこでも通用する。これは非常にありがたい。
その具体的な価値は日本円とほとんど同じで、1オボルス=1円だ。
貨幣の種類は
1オボルスが銭貨(1円)
銭貨100枚で銅貨一枚
100オボルスが銅貨(100円)
銅貨10枚で青銅貨一枚
1000オボルスが青銅貨(1,000円)
青銅貨10枚で銀貨一枚
1,0000オボルスが銀貨(10,000円)
銀貨100枚で金貨一枚
100,000オボルスが金貨(1,000,000円)
金貨10枚で白金貨一枚
10,000,000オボルスが白金貨(10,000,000円)
となっている。
一般市民は普段、多くても銀貨までしか使用せず、金貨以上は商人や王侯貴族のみが使用することが大半である。
そのため、街で金貨を使おうとすると大抵迷惑がられるらしいし、白金貨なんて使おうものなら絶対に拒否されるのだとか。
街で普通に使う際は銀貨以下の使用にとどめておく必要がある。
ちなみに入学祝いとしてもらったお金は金貨2枚であり、200万円相当。
これは非常に太っ腹と言えるのだが、一応このお金は学園関係や日常生活で必要になった際のみ利用しようと思っている。
けじめというか、線引きというやつだ。
では、両親と兄に挨拶したら出発しようではないか。
自分を教育してくれたリーベル家の環境に感謝しなければな…。
玄関に向かうと3人が揃っていた。見送りか。
「セグ、準備はもういいのか?」
「はい、父様。バッチリです」
「セグ、気を付けてね。魔法学校でも頑張りなさいね」
「はい、母様。もちろん頑張ります!」
「立派な魔法使いになっておいで。そして、いざというときは領主としての僕を助けてくれたら嬉しい」
「はい。リーベル領で困ったことがあれば、僕でもなにかの役に立てるように頑張りたいと思います!」
「そうかい、それはありがたい」
そう言ってレムスは笑う。
じゃあ、行くか。
「父様、母様、兄様、では、行ってきます!」
「「「行ってらっしゃい」」」
そうして、自分は家族に別れを告げて玄関から離れ、乗合馬車の待合所に向かった。
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