4. イザベラ先生
南緯 03度 50分
西経 32度 24分
ブラジル、フェルナンド・デ・ノローニャ。午前2時52分
――こんな時間に目が覚めるなんて、珍しい。
イザベラはしばらくベッドの中で目を閉じていたが、どうにも眠気が訪れてくれないので仕方なく起き出した。
ぼんやりとした光を放つデジタル時計の数字を確認し、洗面所で水を一杯、飲み干して、それから窓を開ける。
1階で寝ている両親を起こさないように、そっとベランダに出た。
サンパウロも、リオデジャネイロも、大きな町はみんな遠い海の向こうだ。
この島は濃い、ねっとりとした夜の闇に覆われ、空には眩いばかりのきらめく星たちが瞬いている。
小テストの問題でも、作ろうかしら。イザベラは教師を務める小学校の、子供たちの姿を思い浮かべる。
今日、教えた範囲は難しくて、毎年苦戦する場所だ。授業中のあの子たちの顔、あれはよく分かっていない顔だったわ。
苦笑いしながら、イザベラは独りごちる。抜き打ちテストなんて、何年ぶりだろう?
星たちは、静かに輝いている。イザベラの視界の端で、流れ星の様に光りが灯った。その輝きは消え去ることがなく、反対にどんどん強くなっていく。
あれは、何? 頭の中に疑問符が湧くが、答えはない。
星たちはきらきらと輝き、それを圧するように一つの輝きが増してゆく。
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