都市伝説はお好きかね?
ファイセルは
そして、起きたのは夜の
少年は
ふと棚の上のビンに目をやるが、そこに妖精は居なかった。
悪い夢のような出来事だったが、フェアリーとの別れは現実だったようだ。
永遠の別れではないらしいので、気に
この辺りは冷たい空気に覆われていたので、マントを
どうやら
ヨーグの森が解放された今、酒場の客はまばらだった。
また
少年はカウンター席に座り、マスターに
「ソフトドリンク、置いてありますか?」
腕の大きなタトゥーが目立つ。
店主は
「ボウズ、まさかミルクを頼むとかいうんじゃねぇだろうなぁ? ここはヒョロガキの来る店じゃねぇぜ。おめえのおかげでこちとら商売あがったりなんだ」
マスターからあからさまに
これは
隣のカウンター席の男が店主にチップのコインを投げたのだ。
「まぁまぁマスター。彼は英雄だよ? 彼に
かなり高めのチップに、マスターは急に
「へえへえ。こりゃあ……へへっ。申し訳ねぇこって。そちらのお客さんも先ほどは
マスターは人が変わったように飲み物を用意し始めた。
「さすがに酒場ですし、ミルクはおいてねぇんでさぁ。ぶどうジュースで我慢してくだせぇ」
アルコールの飛んだぶどう汁が目の前に置かれる。
ファイセルは隣の
「すいません。ありがとうございます。いただきます」
年齢は若いように見える。20代といったところだろうか。
細目でシュッとした
帽子の下には同じような赤茶をした
腰には
おそらく都会から来たのだろう。
こんな
「時に少年、君はミナレートから来たのだろう? おっと、まずは私から名乗るべきかな。私は
この
ライネンテは
王族によって
それを聞いてすぐにファイセルも名乗り返した。
「リジャントブイル
コフォルは
「ところで君、いきなりだがオウガー・ホテルの
ファイセルはいい大人が、
「宿屋に泊まりに来る客を食べる
キツネ顔の男は首を
「この村の宿屋を経営してるお方は?」
マスターは少し考え込んでいたが、
「つ、つい最近まで老夫婦が経営してたんですが、なんでも
コフォルはファイセルの方を向き直って尋ねた。
相変わらずニコニコしているように見える。
逆にファイセルの表情は
「ファイセル君、オウガーの特徴は?」
「う、噂によればオウガーは
鬼のような
「私はね、オウガーを追ってきたんだよ。人の流れが滞とどこおって、よそ者が集まったこの村ならば、どさくさに紛れて人を喰らう事も容易よういだったというわけサ。どうだいファイセル君、心当たりはなかいかね?」
ひどい表情をしていたが、たまに見せる普段の顔は美人だった気もする。
そうだ。あの宿の主は
少年は
「言われてみればいくつか思い当たる
コフォルは
周りで飲んでいた人々は思わず、彼らの会話に聞き耳を立てて、
いい大人の
「オウガーはモンスターのくせにグルメでね。変なにおいがする肉は当然、食べたくないわけだ。今日の昼の一件で
コフォルに
「チャンスはいくらでもあった。それでも君が襲われなかったのはその香水こうすい…フォレスト・パフュメで
まさか2回もリーリンカに命の危機を救われるとは思わなかった。
もし、これが出来の良いの香水だったら……。
オウガーに寝込みを襲われ、食べられていたに違いない。
「それではオウガー
いつのまにかファイセルは
不満そうに彼が口を開こうとするとコフォルがそれをなだめた。
「なぁに。君は
気軽に言ってくれると襲われる身の少年は思った。
だが協力を必要され、「腕を買う」、「
「ハァ……やりますよ。制服を見せている以上、人助けは基本ですからね……」
それを聞いたキツネ顔の男はバチンと指を鳴らした。
「グッド!! 簡単に
男性からは
彼はとんがり帽子を被りながら立ち上がり、同じ色のマントを
そしてファイセルと
「人前では言えなかったが私は魔術局タスクフォース》の
タスクフォースの名は
なんでも
特に戦闘を中心とするミッションに強く、こういった
コフォルは少年に自らの身分を明かした。
通常では身分を明かすのはまずありえないが、命を
「それでね、私はオウガーを追いつつ、ヨーグの森のアテラ・サウルスを退治する任務についている。もっとも恐竜退治は君が
彼の
魔術局のタスクフォースの隊員になら身を任せられる。
そう思ったファイセルは改めて
そして気持ちを引き
「
コフォルは満足そうに笑った。
「おっ、
そうこうして、二人は宿屋のそばまでやってきていた。
「私は君の部屋の窓の下で待機している。オウガーが本性を現したら助けに入る。本当は君が退治してしまってもいいのだが、
そしてファイセルは宿に戻った。
例の娘が声を張り上げてどやしてくる。
「あ~クッッッサッッッ!! あんた、今度は酒かい!! 料理を作っておいたのに外食なんかして! おまけに
まだ夜遅くでないのに彼女は宿屋入口の
コフォルから話を聞いた後、宿屋の主に対する印象が
ギリギリ取り繕つくろえているが、やはりひどい顔をしている。
もはや隠し通すのも限界といったところだ。
作っておいたという夕飯にも…何が入っているか分かった物ではない。
再度、入浴するように命令された。
ファイセルは
何か音がするので耳を
夕飯の時刻はもう過ぎているのに、熱心に
少年は気づかれないように部屋に戻り、窓のカギを開けた。
「コフォルさん、お夕飯を用意していたようです。普通の宿屋なら当たり前といえば当たり前ですが、この宿の夕食は……。おまけに
窓枠からとんがり
窓の外の真下に
すぐ室内に飛び込めそうな姿勢である。
「夕飯に何か混ぜて寝込みを襲う気だったんだろう。だが、もうここも
そう言いながら帽子は上下にヒョコヒョコ
こういったトラブルには強いのか、落ち着きはらった様子でコフォルは
「やはり……この隙を逃す手はないな。まだ寝込みを襲うには時間が早い。寝込んだふりをして深夜まで待機してみてくれ。私もいつでも突入できる体勢でスタンバっている。頼んだよ」
ファイセルは
窓を長いこと開けていたので、部屋が冷え込んでしまった。
そろそろ頃合いかなと思い、ファイセルは明かりを消してベッドの中で身構えた。
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