血塗れの妖精と青臭い剣士
ファイセルは戦いを終わらせるとすぐ
大きな傷は
手立てが見つからず、みるみる
あまりの歯がゆさに少年は
これまでと
「ファイセルさん!! 液体の
少年はリーネの言っていた
「血液を
少年は女性の傷口を指でなぞると、それをビンにつっこんだ。
するとフェアリーは
「ぐぬぬぬ~~。普通の水と違うので
少しずつビンの中に複製された血液がたまっていく。
リーネの
本人から抜き取った血なら
「いいぞ!! で、人間の体内に入ったことはある?」
血の色に
「あるわけないじゃないですか!! 全然わかりませんよぉ!!」
血液の流れを説明するのは
「体内に入った後、細い血管から流れにに乗って体中を
そうこうするうちにビンは女性の血液と同じ
するとファイセルは口に
強引だが、彼には
ましてや
リーネはすぐに身体に
そして彼女は血液の流れをつかんだ。
「血管が
幸い、リーリンカの薬のおかげで、女性の心臓の動き自体は
今は意識が無いが、呼吸はしている。
血液さえなんとかなれば持ち直すはずだ。
しかし、リーネはかなり
「ハァ、ハァ……心臓に到達しました。本格的な血液の増量に入ります……」
短期間に液体の
なおかつ
その
順調に血がなじんでいる
だが、一方でビンの水位がとんどんさがった。
「無理をさせ過ぎたか!! もうちょっと
あと少し、あと少し持ちこたえれば女性は助かる。
だが、急激に液体のリーネが減り始めた。
「あとちょっと、あとちょっと!!」
ファイセルが
「残念ながら本当にあと少ししか持ちません!! しばらく
少年は
目を
「何言ってるんだい。リーネはよく
少年はにっこり笑って親指を立てた。
リーネは
「ゔぇぇぇぇえ〜〜!! ばいせるしゃああぁん!! うわああああ〜〜ん!!」
その泣き方はまんま人間の
ファイセルは村の子供達をあやしていたのを思い出した。
「よしよし。リーネ、ゆっくりおやすみ」
ビンを
すると、フェアリーは静かになった。
そして彼女は親指を口にくわえたまま、丸くなった。
「ボスン!!」
その直後、音と共にビンの中身の液体が空になった。
見る限りではただのビンにしか見えない。
ファイセルはにこやかな表情で彼女を見送った。
そして、生命を
「村に戻りましょうか。みんな待ってますよ」
彼らは目の前で起こった出来事を
だが、肌の色が正常に戻ったのを見てこれが現実であることを確信した。
帰りを待っていた商人や旅人が森から出てきたファイセル達を見て、
「おまえさんら、本当に生きとるのか?
思わず少年は
「冗談はその辺にして、早く
だが、なぜだかファイセルの周りの人たちが彼を
「ママー、あのおにいちゃんすっごい
「こらっ!!」
若い母親が娘の口を
ファイセルはすっかり忘れていたが、
キャラバンの商人たちが遠まわしに
「兄ちゃん……とりあえず風呂に入ってきた方がいいんじゃねぇか? 宿屋はあすこだからよ」
ファイセルは宿屋で風呂場を借りた。
風呂場を借りた礼を言い、カウンターの若い
「ぜ、全然臭いませんよ。大丈夫です」
(あぁ……まだ
大人しく諦めて宿の外に出ると、キャラバンの商人と旅人達が集まってきた。
しかし、妙な
ファイセルは森での
「おっ、もしかしてその出で立ち、アンタ、
少年は
「あはは……
「剣士じゃない? するってぇとアレかい? 剣を使わずにアテラサウルスを
あちこちから
どうしようかと考えていると、森からキャラバンの
「確かにアテラサウルス8体の死体を確認。
一同はそれを聞いて
キャラバンのリーダーはそれを
「足止めを食らっていた
そう名乗りを上げたキャラバンリーダーが集金を始めた。
今回は
そのリベンジマッチに打ち勝ったのである。
学院生活で実力がついた
これなら
それにしても、お金を受け取ってばかりの旅にどうにも違和感がある。
(こんなにお金持ちになるとは思わなかったなぁ。お金があって困る事はないんだけど‥‥。でも年齢には
クソ真面目な学生の感想だった。
リーダーがファイセルの元へやってきてお金の入った袋を渡した。
「よくやってくれた、これでワシらも
リーダー
ファイセルはマントで手をぬぐって
「よーし、
ファイセルはどっと疲れが出て、宿屋のデッキに
もらった
だいぶ軽くなったリーリンカのバッグが目に付き、その中身を確認した。
「
ファイセルは多くの魔力を消費したため、強い
人が死にそうになる現場にも遭遇したのだ。疲れるのも無理はなかった。
いきなり宿屋のドアが開いてさきほどの若い
「そこの
彼女は人が変わったかのようにヒステリックに
きっとこれが彼女の
気持ちはわからなくもないが、八つ当たりもいい所である。
「僕が数日の間、
宿屋の主は
「アンタがいたら部屋中に
しかし、怒り出すと顔が
この村には他に宿屋が無い。
この女性に数日間ドヤされ続けるのだろうなとファイセルは頭を
今までがチヤホヤされすぎていただけである。
本来、
「ママー!! あのお兄ちゃん
さきほどの幼い少女がまた笑いながら、
またもや母親は幼女の口を
「あはは……そんなに
再びすごい勢いで宿屋のドアが開く。
「ほら、
ファイセルは重い体をなんとか動かし、カウンターに立った。
「うわアンタ、近寄るとますますクッッサッッ!! 一泊12000シエールだよ!! あんたたっぷり
もはや、この態度は
まるでタチの悪い借金の取り立ての様だ。
その上、ボッタクリとは救いようのない宿屋である。
少年がさっさと代金を支払って部屋に行こうとすると若い女性に止められた。
「部屋のベッドに
さっき風呂に入ったので、ほとんど時間が経ってないのだが。
部屋の前で
ファイセルはグッタリ疲れながらも風呂に入った。
まだ昼だったが、あまりの
そして
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