対屍部隊編成
ザティスがバレンにボコボコにされた同日‥…。
チームメイトであるアイネは
美しい
おっとりした茶色の瞳には学院の
彼女の家はルーネス通りからは少し遠い、
朝の風を浴びようと窓枠に手をかけると、手元に何かいるのが見えた。
目を
誰かの使い魔に違いない。
それはゲコゲコと
「ゲコ。アイネ・クラヴェール。リジャントブイル魔術学院から
そう言い終えるとカエルはすぐに
アイネの場合、スローペースなせいで学院まで15分はかかる。
えっちらおっちらと学院にたどり着いて掲示板を見た。
「え~っと、下記のヒーラー専攻の学生は302号のミーティングルームに集合?」
自分の名前が掲示されていた。
ミーティングルームに入ると30人ほど学生が集まっていた。
制服の色から各学年から選ばれた面々だ。
腰ほどまである長い髪の男性教師が
「私は今回の課外活動の責任者のスヴェインだ。よろしく頼む」
この教授は
人気のある教授なのだが、
特にバレン教授との仲が悪く、彼を
そんな彼は手元の資料を元に情報を発表していった。
「え~、早速だが南のトーベ
それを聞いてミーティングルームがどよめいた。
想像以上に事態は深刻である。その場の面々は思わず息を呑んだ。
「知っての通り、トーベ
その様子を見かねてスヴェインは手を叩いて私語を止めた。
そして神経質に黒い前髪をいじった。
「ほらほら、落ち着け。なんのための
教室を見渡す限りは全員がヒーラーというわけでは無いようで、武器を持っている生徒も混ざっている。
「君らの任務は行方不明者の救出やけが人の治療だけじゃない。大量の死者は強力な
長髪の教授はミーティング・ボードに書き足した。
「正直、鉱山の
スヴェインは教室を見渡して満足げにそう言った。
「一応、我が
「坑道への進入路は十数か所ある。1チーム3人の7チーム編成の少数部隊でこの進入路を手分けて探索する。坑道は狭いから大人数だとかえってやりににくくなるからな」
鉱山の下部へ指し棒が移動する。
「最下層のあたりにまだ大勢人が取り残されている。地表から浅いところは
クラス全体がスヴェインの指示通りチーム分けされた。
アイネ達のチームは
「命を預ける仲間だ。互いの能力を把握しあい、チームとして最高のパフォーマンスが発揮出来るようにしてくれ。では、30分後、学院裏の浜辺から学院のワイバーンを使って一気にトーベまで向かう。各自準備を怠らないように!!」
生徒全員が返事をして、ミーティングは解散となった。
「初めましてッス。今回リーダーを務めさせていただく
えんじ色をした制服の小さな女子がお
腰ほどまである桃色の美しい髪が
黒い目がくりくりっとして愛らしかった。
身の丈の2倍はあるかという大剣を背負っているが、かなり身長が低い。
リーリンカと同じくらいで140cmちょいといったところだろうか。
ひどく幼く見えるが、よくよく考えればエルダー2年である。
最年少だとしても22歳にはなっている。
最初は思わず少女だと思ったが立派な大人のレディである。
だがどっからどう見ても年下にしか見えない。
「あ……あの、本当にエルダー2年さんなんですか……」
思わずアイネは口に出した。
それを聞いたアンナベリーはがっくりと肩を落とした。
彼女の反応を見てからアイネはやってしまったなと思うのだった。
「みんなから同じようにいわれるッス。個人的にその点は
微妙な空気になってしまったが、すぐにアンナベリーは立て直した。
「で、見て分かる通り、得意なのは
彼女は指出しグローブをギュウギュウいわせながらはめ直し、ニコリと笑った。
頼りになるセリフだが、見てくれからは正直とても戦えるようには思えない。
もっとも、リジャントブイルには、こういう見た目と実力のギャップが激しい生徒がゴロゴロいるのだが。
次は
「ミドル2年目のリンチェ・ティンバーです」
大きなフードがついており、それを防具にするのだろう。
背中に長弓を背負っている。
黒髪のショートカットでクール系の印象を受けた。
「ここにいる皆さん方と同じく、
そう言って彼女は微笑んだ。
第一印象とは異なり、温もりを感じられた。
心優しい人物であるのが自然と伝わってくる。
アンナベリーが任せろとばかりに首を縦に振った。
最後に残ったアイネが自己紹介を始めた。
「私は
おっとりとした彼女が一礼すると、チームメイト達は互いに視線をかわしてうなづいた。
「ん~、にしてもみんな女の子ッスねぇ。集まったのは男女半々くらいだったんッスけどね。なんか女子会みたいッスね……」
アンナベリーが冗談を言って場を
「さて、おちゃらけも程々にして、戦闘の作戦とか、フォーメーション、立ち回りの打ち合わせを出発するまでに
3人はお互いがベストを尽くせる戦い方を何度もシミューレートした。
準備が終わると出撃メンバーは学院の飛行場に移動した。
そして、翼竜であるワイバーンのゴンドラに一同は乗り込み、トーベを目指した。
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