堕天者の旅路 〜堕天した神は自由に身を躍らせるそうです〜

前座

第1話 愉快なる堕天

 神殿や建物が規則正しく、綺麗に並べられた街の中心を通る大きな道。


 そんな道を歩む数多くの使


 そしてそんな光景を見下ろす私と1柱の神………。


 神々の中でも最高峰の力を持つの一角であり、金髪ゴスロリ幼女の全知全能たる。可愛い。


 そして僕、■■レイル。語る事が少ないね。強いて言うなら白髪だよ。あと創造神ガイアが嫌い。


「呑気だね、レイル」


 恐らく私の心を読んだであろうゼウスが話しかけてくる………ここに来る前にお酒呑んできてたからね、絶好調だよ。


「そんな事は聞いてない…………」

「あっはっは、細かい事はどうでも良いんだよゼウス」


 神と天使の住まう街……………正式名称が無いから適当に街でいっか…………のど真ん中にある宮殿。この宮殿にある街をぐるりと一望出来る一室にゼウスからのお呼び出しを受けて馳せ参じてから早1時間、ずっとこの調子でダラダラと雑談をしている。


「私は本題に入りたいけど、レイルが黙らないから仕方が無く雑談してる」

「いいじゃないかいいじゃないか〜この時間を楽しもうよ〜」

「そんな時間は何時でも取れる」

「またまた〜とんだ嘘を〜」

「…………………」


 あっはっは〜、ゼウスは表情に答えが直ぐ出るからわかりやすい。今こうやってちょっと鎌を掛けただけで僕にとっては十分な情報を落としてくれた。

 うんうん、睨んでくる顔も可愛い。


「……………卑怯」

「そう思うなら顔に出さないよう頑張ってね」

「むぅ…………」


 おぉ…………ほっぺた膨らませて怒ってる幼女が居る………可愛い。


「うるさい。あと私は幼女じゃない」

「見た目は幼女そのものじゃん」


 ついでに精神年齢も。


「そういうレイルだって傍から見たらただの少女でしか無い」

「ゼウスよりもお姉さんって事だね♡」

「うわぁ……………………」


 そんな引かないでくれます?????


「はぁ…………………」

「溜息なんか吐いてたら幸せが逃げちゃうよ〜?」

「その時は私の権能で呼び寄せる」

「うわ、権力乱用だ」


 実質的な全能だからそれを実行できるのもタチが悪いね。


「レイルの方がタチ悪い癖に…………………とにかく、本題に入る」

「う〜い」


 まぁ本題の内容は知ってるんだけどねぇ…………本題の内容は単純明快なる

 なんてたって最高神達が定めた禁忌を犯してしまったからね〜!


「ん…正解。最高神達全員で話し合ってレイルの処遇を決めた」


 最高神達全員ねぇ……………まぁ十中八九、禁忌を犯した私に対する刑罰は…………


「堕天かな?」

「………あってる」


 神々や天使の中で禁忌と呼ばれる法に触れた者に与えられる刑罰の1つである『堕天』。

 その内容は対象者の能力を封印し、体の強度や魔力量を人間レベルにまで落とた上で、人間として7回転生させてその生を真っ当させるという物。

 ちなみに人間としての7回分の記憶は全て完全に保持したままであり、自害とかも許されてない。

 万が一、自害などした場合はもう一度最初からやり直し、それでもまた自害したら完全に元の存在に戻れなくなるという刑罰だ。

 にしても…


「あってたか〜」


 そうかそうか〜、やっぱあってるか〜……………まぁ控えめに言ってゼウス以外の最高神達からは毛嫌いされてるからそんなのにもなるかなぁとは思っていたけども…………。


「…………堕天先について説明する」

「あいよ〜」


 どんとこい。


「…堕天先は最も最初に創られた原初たる世界、幾度となく悪魔や邪神共との戦争が行われた世界、アルファ。ちなみに今もそこに住まう人間と魔族達が争ってる」

「わ〜お」


 一番やばい所じゃん、それ。


「ん………私としてはレイルが堕天するのは反対だったけど…」

「良いんだよゼウス、悪いのはゼウス以外の最高神の連中さ」

「…………元はと言えばレイルが禁忌に触れたのが悪いんだよ?」

「私は私が楽し………正しいと思った事を貫き通すよ」


 あっぶな、間違える所だった。


「…………面倒くさくなってきたからもう『堕天』させるね」

「ゼウスっ!?」


 ちょっと待ってまだ心の準備が出来てな――――


「罪を償え、『堕天』」

「あっty……」

「またね、レイル。 の事は私に任せといて」


 ゼウスが発したキーワードと共に僕の下に果てしない深さの穴ができ、抵抗することも出来ず僕は落ちていく……………いつの間にゼウスは僕の能力封印したの?????

 あ、ゼウスが穴からこっち覗いてるのが見える。いぇ〜い、見ってる〜???

 お〜、涙ぐんでる。

 あんな可愛いロリっ子を泣かせるなんて最低なヤツも居たもんだ。


「……………」


 あぁ、悲しいなぁ。

 まぁ全部僕が悪いんだけど。

 それでも禁忌に触れずには居られなかった。そのせいでやゼウスにも寂しい思いをさせてしまうかもしれない。

 だからこそ、


「僕は必ず天へと舞い戻る」


 たとえ、


「世界が滅びようと」


 まぁだから今回の『堕天』は、ちょっとした休暇とでも考えとこうか。

 ということでとりあえず………


「このまま落ちて死ぬ可能性という物をどうにかしないとなぁ」


 ゼウス、能力とは別でわざわざ物理的に『堕天』させる必要は無かったと思うよ???

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