第2話 目覚め②
《リオトは
《深淵文明デッキ『邪神の覚醒者』が解放されました》
深淵文明――それは、ゲーム内で敵キャラクターが使う強力なデッキであり、文明。
プレイヤーが使用できるようになったのは、ゲームリリース後、かなり後になってからだ。
文明は、各プレイヤーが操作する国家や民族であり、それぞれ独自の文化や戦略を持つ。そして、デッキとは、その文明の力や戦略を詰め込んだカード群である。
《一日目。初期手札6枚をデッキから手札に加えます》
《明日以降、日付が変わるたびに1枚、自動でデッキからカードを加えます。》
目の前には、6枚のカードが手札として表示された。
――――――――――
種類: ユニット(ハイレア)
攻撃力:4
体力:6
説明: 邪神に仕える司祭。召喚時に「
――――――――――
種類:ユニット(レア)
攻撃力:3
体力:2
説明: 邪神の力で召喚される低級な使い魔。
――――――――――
種類:スペル(レア)
説明: 指定した場所に闇の霧を発生させ、範囲内の敵ユニットの行動を一時的に
――――――――――
種類:スペル(ハイレア)
説明: ユニットの攻撃力+2、防御力+1を短時間強化するが、効果終了後にペナルティが発生する。
――――――――――
種類:スペル (ノーマル)
説明: 名に邪神と付くユニットカードをデッキから一時的に召喚し、その後フィールド上で封印。
封印が解けると、邪神はプレイヤーの味方として戦う。対象のカードがない場合、デッキからカードをランダムに一枚手札に加える。
――――――――――
種類:スペル(ノーマル)
説明:特定のエリアを破壊し、その場所に滅びの領域を作り出す。
――――――――――
「やっぱり……これはゲームの中か……?」
彼は目の前のカードを見つめながら、自分がどこにいるのか、本当にゲームの世界なのか、それともまったく別の現実なのかという
しかし、この状況で立ち止まっていても仕方がない。
彼はゲームの経験に従い、冷静に次の行動を考えることにした。
《続いて、リオトの称号:
《リオトのステータスを開示します》
――――――――――
リオトのステータス画面
名前: リオト
種族: 人間(
属性: 闇
レベル: 1
次のレベルまでの経験値: 0/1000
攻撃力:6 (4+2)
体力:14
防御力:1 (0+1)
装備
武器: 初心者用 鉄の剣(攻撃力 +2)
防具: 学生服(防御力 +1)
アクセサリー: なし
称号:
――――――――――
「……強い」
リオトは、驚きとともに自分に与えられたステータスを確認する。
この世界においてどれだけの意味を持つかわからないが、ステータスとはつまり、そのユニット、またはキャラクターの能力をわかりやすく数値化した指標のようなものになる。
リオトの記憶が正しければ、EDDの基準では、大人の人間の攻撃力も体力も「1未満」。つまりステータスに表示されないレベルであり、徴兵された兵士で一番弱いので「1」ということを踏まえ改めて自身のステータスを考えると、人間をはるかに
これはあくまでゲームの基準となるため、それが現実世界に適用された場合はどの程度なのか不明だ。特にゲームに出てくるような魔物や盗賊、強力な敵との戦いを想定すれば、圧倒的な力とは言い難い。
そういった理不尽なステータス差のバランスをとっていたのがゲームなのだから。
彼のステータスは、強者の部類に入るが、これだけでは無敵とは言えない。
彼は自分に与えられた「王ユニット」としてのステータスが体内に刻み込まれた瞬間を感じ取った。
この体は、かつての自分のものとは違う。
そう、不確かではあるが感じる。
「……これが、王の力か......っ」
青年は自分で呟いてしまった言葉に、一人であるのに恥ずかしくなりながらも、現実で「王」としての力を持つという不思議な感覚が、徐々に彼を包み込んでいく。
ふと腰に手を伸ばす。
そこには、いつの間にか装着されていた「鉄の剣」の感触があった。
重厚な
彼は恐る恐る剣を鞘から抜き出し、その冷たい輝きを眺めた。刃は鋭く光を反射し、まさに武器としての存在感を放っている。
「これ……本物?」
彼は自分が夢を見ているような感覚に襲われながら、剣の重量を確かめるように振ってみるが、ふらいついてしまう。想像よりも重心というものの大切さに気付く。
「......重い」
確かにそれは現実のもので、命を刈り取る重みと共に目の前に存在していた。
再び、慎重にその剣を鞘に収め、深呼吸する。
これから先、彼がこの剣を使うことになるかもしれない――その予感は、現実の重みを彼に押し寄せさせた。
この力と剣を使えば、自分はどこまで戦えるのか――そう考えると同時に、自分が戦わなければならない状況にあることを自覚し、恐怖も感じた。
「俺が戦うのか……? 本当に……?」
王が死ぬとゲームオーバーであるため、王は絶対に守らないといけない。
かつてゲーム内で王ユニットを操り戦ったことはあっても、現実に自分自身がその役割を果たすとなると話は別だ。
ゲームだとして、復活できるのか?どこに?
この世界では、命の重みは?現実だったら?
負ければ、すべてを失うかもしれない……。
静寂が支配する森の中、漠然とした不安が彼の胸に広がり始めた時だった。
再び「ピコンッ」と音が鳴り響き、目の前のパネルに新たなメッセージが表示される。
《第一章:新たなる旅立ち!
ミッション2: 眷属であるユニットを召喚して戦いに備えよ。
※王ユニットリオトの体力が0になった場合、リオトは死亡します。》
"死亡"という文字が浮かび上がり、リオトは背筋に冷たい感覚を覚えた。
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