第5話 サカモト 前編
気付けば俺はツヴァイ様と会った場所に1人座り込んでいた。
流れてた涙を拭い気持ちをどうにか…どうにか切り替え立ち上がる。
そんな俺にツヴァイ様が話しかけてくる。
「ぜぇ…ぜぇ…ぶっ…無事に話は…はぁ…出来ましたか…?ぜぇ…」
「…疲労困憊すぎません!?」
入ってこないんやけどなんも。
「すっはぁ…すみません…24時間だけでも…カツカツ…だったのに最後良い感じに会話してそうだったので…はぁ…5分気合いで…滞在時間を増やしたので、ぜぇ…体力が…」
「5分伸ばしてくれてたんですねツヴァイ様…ありがとうございます本当に」
あの会話の途中でこっちに戻ってきてたら未練が残るとかの次元じゃないだろうしなぁ。
「ふぅ…はぁ…よし。とりあえず未練は無くなりましたか?」
「えぇ。おかげさまで。別の世界でも頑張ろうって思えました雫のおかげで」
「それなら良かったです。では今から転生させますのであとの話はパパに聞いてください。転生したら目の前に家がある筈です。その中に居ますので何でも聞いてやってください」
「了解です」
神様のパパ…?どんな人なんだろう…普通に神様なのかな。
「頑張ってくださいね真様」
「はい、任せてくださいツヴァイ様」
そう答えると同時に辺りを光が包み込み…光が晴れるとそこは住宅街のような…いや住宅街だな普通に。住宅街に俺は立っていた。
まずは身の回りの確認をすると目の前に大きい一軒家が立っている。恐らくここにツヴァイ様のパパって人がいるのかな?
服装はなんとも懐かしい格好で高校生になる前に父さんと母さんが買ってくれた服装だった。
少し父さんと母さんの事を思ってナイーブな気持ちになりながらも他は特に情報がありそうなものが無かったので目の前の家に入ってみる。
ガチャ
なんの抵抗もなく開いたドアを潜り靴箱と思わしきものに脱いだ靴を入れる。
そういや靴は見てなかったと脱いだ靴を見てみると死ぬ寸前まで履いていた靴だった。
そんなことはまぁどうでもいいとして玄関の扉を開けて推定リビングへと入っていく。
「おっお邪魔しまーす…」
「いらっしゃーい」
リビングにあるソファに寝転がっていた何故か室内なのに帽子をかぶった和服姿の男性が俺の挨拶にそう答える。
「えーっと…貴方が?」
「初めまして真君。俺は…んーそうだなぁ…サカモトだ、サカモト。よろしく」
前髪は長くてボサボサで目元はあまり見ることが出来ないが整った顔立ちなことだけは分かるその男性がそう答えてくれる。
どことなく父さんと同じ気配がする人だった。
「あっどうもご丁寧に…桐谷真です」
「ツヴァイから話は聞いてるよ。今日からこの世界で暮らしてもらう訳だけど…えーっと雫さん?とは上手く別れられたかい?」
「涙ながらに背中押されたので俺は頑張るだけですよあとは」
「はは、良いね。未練しかない死別なんて後悔しか残らないんだから…その様子なら大丈夫そうだし安心したよ」
そう言うサカモトさんの顔は何処か影が落ちていた。未練しかない死別を経験した人なのかな?それは…辛いだろうな…。
雫と最後に話が出来なかったら俺もこうなってたと思うし…。
「未練もなさそうだしこの世界についての説明をしていっても良いかな?」
「はい。大丈夫です。」
「まずこの世界はお前が居たところと大元は同じだ。漫画もアニメも基本同じものがある。後で案内するけどお前の部屋にお前の愛読書の進撃の巨神全巻置いておいたから暇な時でも読んでいいよ」
「えっマジですか!?」
「他にも好きそうな漫画置いといたから」
「神ですか?」
「うん」
あまりにも手厚いサポートに尊敬の念が止まらない。あとサラッと言っていたがやっぱりこの人は神なんだな。なんの神なんだろう。
「元の世界との差異で大きいのはランダム症ってのがあることかな」
「ランダム症?」
「クソッタレな神の呪いみたいなもんよ。極たまに髪の色も目の色も親と全く関係無い色になったり一人称とか語尾が急に変わって戻らなくなったりとかするんだよね」
「一人称と語尾まで…」
「多分クソみたいな語尾になっていじめられた人とかもいるんじゃない?今のところ解決方法もないっぽくて…最悪だよね本当に」
「最悪ですねそれは…」
勝手に一人称とか語尾が変わっていじめられるとか理不尽すぎる…。
「ほかにも色々小さい差異があるけど…うーんあっそうだオカルトって好き?」
「普通くらいですかね」
「普通くらいかぁ…んーまぁ…言うかぁ」
「?」
「この世界妖怪も怪異も幽霊も存在するから気をつけてね」
「何を気をつけたら良いんですか…?」
「人に危害加えれるくらいの格があるやつは少ないけど…俺がこの世界来て1年で7回襲われたから…うん気をつけてね」
「どうしようもないんですけど!?」
1年で7回も襲われたら全然死んじゃうんだけど!?あの世で雫と会えた時に思い出話ある?って聞かれて「1年で妖怪に7回襲われて死んだんだよね」なんて言いたくないよ俺!
「まぁいざとなれば…ほれ」
「うおっ…。なんですか?これ」
未来に絶望していたらサカモトさんが通信機のようなものを投げて渡してくる。
「これに助けを求めてくれれば助けに行くから、本当にピンチになったら言いな」
「えっありがとうございますサカモトさん」
保険あるの心強ー…サカモトさんがどんだけ強いかは分からないけど神だし強いでしょ多分。
「んじゃ次は─」
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ようやく転生しましたね。もうそろそろ出ますよ我らが青江仁守里兵衛君が。
モチベに繋がるので感想や星や♥よろしくお願いします。
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