第15話モブがキュン感じました
「痛っ!」
崖から転落したアイラが足首を抑えながら表情を歪めて言った。
「あぁ、どうやら足首を痛めてしまったみたいね。でも足首を痛めたくらいで幸いだわ。どうやら落ちた高さが思っていたよりも低かったみたいね」
アイラは足首を抑えたまま自分が落ちたであろう場所を見上げて呟いた。
「でも持っていたランプはどうやら使い物になりそうにないわね。でも今日は天気が良かったからか月明かりがさしてるから灯りの問題はどうにかなりそうだわ」
アイラは崖から落ちた拍子に壊れてしまったランプを見て言うと空を見上げて月灯を確認しながら言った。
「落ちた高さはそれ程ではなさそうだけどこの足では登る事は難しいわね。無闇に歩くのも危険だろうしどこか座って休める所があるといいのだけど」
アイラは崖の高さを確認するも足を負傷している事を思うと登るのは難しいと判断しながら言った。
そして、どこか良い待機場所はないかと辺りを見渡しながら言った。
「あ。あそこ。小さな洞窟?穴?の様なものがあるわ。あそこなら少し休む事ができそうね」
アイラは見渡している時に穴の様なものが目に入り言った。
そして、月灯を頼りにその場所まで足元に気をつけながら歩いて向かったのだった。
※
その同じ頃、、
宿舎では。
ドンドンッ!
ドンドンドンドンッ!
「先生!大変です!話を聞いてください!」
カミラが教師用の部屋の扉を思い切り叩きながら必死で言った。
ガチャ、、
「どうしたんだ?!こんな時間に!」
部屋の中から出てき教師が何事だと言わんばかりにカミラへ言った。
「先生!大変なのです!アイラがアイラがどこにも居ないのです!」
カミラは動揺した状態で必死に教師に訴えた。
「何?アイラ嬢が?部屋でないところにいるのではないのか?」
教師はカミラの必死さを見ても慌てる事なく淡々と応えた。
「宿舎全体を探しましたがどこにも姿が見当たらないです!お願いです!先生も一緒に探してください!」
カミラは更に必死に教師に伝えお願いした。
その時、、
「カミラ?どうしたの?こんな時間にこんなところで」
たまたま飲み物を取りに向かうところだったカイルがその場を通りかかりカミラの姿が見えたのでカミラへ尋ねた。
「カイル様!!アイラが、アイラが突然居なくなったのです!私が少し部屋を出て飲み物を取りに行き戻ったらアイラが居なかったのです!宿舎をくまなく探したのですがどこにも姿がないのです!」
カミラは目に涙を浮かべて必死でカイルへ訴えた。
「なんだって?!アイラが?!」
カイルはカミラの言葉を聞き驚き声を張り上げて言った。
「アイラはカミラに何も伝えずどこかへ行ったのか?!」
カイルが焦りカミラへ言った。
「はい。私が部屋を出る時にはアイラはお風呂に入っていたはずなのですが戻ったらアイラの姿がなかったのです」
カミラはカイルへ状況説明をした。
「そうか。一先ず私も一緒に探すから手分けをして宿舎を見て回ろう!」
カイルは焦りつつも冷静にカミラへ言った。
「はい。分かりました」
カミラもカイルのお陰で少し落ち着きを取り戻しながら言った。
「カイル?どうしたの?そんなに慌てて何かあったの?」
カイルとカミラがアイラを探しに行こうとした時、、
外が騒がしいと感じたヨハネスがやって来てカイルへ尋ねた。
「それが、、実はアイラが居なくなってしまったようなんだ」
カイルはグッと唇を噛み締めながらヨハネスへ伝えた。
「なんだって?!アイラが?!どこへ行ったのか分からないのか?!」
ヨハネスはカイルの言葉を聞き驚きで表情を歪ませて言った。
「あぁ。カミラの話によるとほんの少しの間でアイラの姿が消えたようなんだ。今からカミラと手分けしてもう一度宿舎の中を手分けして探そうとしといたところだ」
カイルは悔しそうな何とも言えない表情でヨハネスへ言った。
「そんな。私も共に探そう!」
ヨハネスは心配そうな表情を浮かべながら呟くとすぐにグッと拳を握りしめながら言った。
「ありがとう。助かるよ」
カイルがヨハネスへ言った。
そして、、
カイル、ヨハネス、カミラ、教師たちも宿舎内をくまなく手分けして探した。
しかしアイラの姿はどこにもなかった。
「これだけ探してもいないということはアイラは外に出たのか?」
カイルが考えながら言った。
「あぁ。その可能性が高いな。だが何故こんな時間に一人で外へ行ったのだろうか」
ヨハネスは頷きながら応えると目を細めて何かを考える様に言った。
「そこなんだよ。アイラがカミラに何も言わずに外に行ったとすれば必ず理由があるはずだからね」
カイルも何かを考える様な表情で言った。
「一先ず外を探しに行こう」
ヨハネスがカイルへ言った。
「あぁ。カミラ、君は危険だから宿舎にいてくれ。もしもわたしたちとアイラが入れ違いになり戻ってきていたら私達の事をアイラへ説明してくれ!」
カイルはヨハネスに応えるとカミラの方を向いてカミラへ指示をした。
「先生方は全生徒を大広間に集めて他に居なくなった生徒が居ないかを確認してください!それと殿下のにも事の事情を説明しておいて下さい!」
カイルは教師たちもにも指示を出した。
「「分かりました」」
カミラと教師たちは頷きながら応えた。
カイルとヨハネスはランプを持ち外へアイラを探しに出ていったのだった。
※
その頃アイラは、、
「はぁ〜。洞窟ではなかったけど思ったより大きめの穴で良かった」
アイラは見つけた人が入れる程の岩にあいている穴の中へ入り座り込んで言った。
「カミラどうなったかな。忘れ物を取ってもう宿舎へ戻ってるかな。逆に今頃私が部屋に居ないって慌ててなければいいけど」
アイラは心配そうな表情を浮かべて言った。
「それにしてもどうして調理場に向かってたのにこんな場所まで来てしまったんだろうか。確かにちゃんと矢印の看板を見て先に進んだのに」
アイラは疑問に思いながら言った。
「ふふ。でもこんな状況に陥ってるにも関わらず冷静でいられてる自分が何だか可笑しいわ。だてに一度死を経験してないわね」
アイラはクスっと笑いながら自分の置かれている状況を考えながら呟いた。
「人って一度そういう経験をすると案外強くなるのかもしれないわね。しかも一度死んでしまって転生した先が自分がやってたゲームの世界なんだもんね」
アイラは空を見上げながら言った。
「前世を思い出して随分と時が経ったけどどうもプリラブの内容と違う部分が場面場面である気がするのよね」
アイラはどうも気になっていた事を思い出しながら言った。
「まず、ヒロインであるローズさんが攻略対象者の三人に出会ってるものの何故かゲームの中では一番最初にローズさんに失恋するお兄様が失恋どころかローズさんと結婚の話まで出てること。ローズさんもどうやらその気の様だし」
アイラはう〜んと考える様な表情で呟いた。
「それに残り二人の攻略対象者である殿下とヨハネス様もすでにローズさんには会っているのにローズさんに恋い焦がれてる様子は見られないのよね。ローズさんも特に二人に対して何とも思ってなさそうだしね」
アイラは更にこれまでの状況を思い返しながら呟いた。
「そして、悪役令嬢であるジェシカ。私が前世を思い出してから今日まで特にジェシカがローズさんに何かしてるとかもなさそうだもんねろ。今のところはだけど。そもそもプリラブは悪役令嬢に意地悪をされながらもヒロインが困難を乗り越えてプリンセスになるってゲームなのに割と内容が異なってるわよね」
アイラは頭を悩ませながら考えて言った。
「そもそもモブの私がジェシカに遭遇したのもゲームの内容とは異なるもんね。まぁあれはカミラを助けた状況で偶然遭遇したって感じだけれどね。そういえばジェシカは悪役令嬢なのに特に何かする訳でもなくなのよね。何か嵐の前の静けさって感じで怖い気もするのよね」
アイラは少し困った表情を浮かべつつ呟いた。
「しかも運悪く何故か私がプリラブの中のローズさんの状況みたいに陥ってしまってるし。はぁ〜、いくら前世での知識があるとはいえここまでゲーム内容が異なってくるとさすがに先が読めなくなりそうだわ。それにこの学校行事イベントを攻略して次のステージにいってすぐ死んでしまったから最終的な流れも実は知らないままだしね。はぁ。私はモブとしてこの世界に転生したからとにかく大好きなハンドメイドをしながらタノシク生活したいのにな」
アイラはため息混じりに呟いた。
その時だった、、
ガサガサ。
ガサガサ。
どこからか音がした。
「え?な、何?!今の音」
アイラは音をきいてはっ…となり呟いた。
ガサガサ。
ガサガサ。
音が段々と近くなってきた。
(本当に何なの?この音。何だか段々とこっちに近づいてる気がする)
アイラは音の正体が分からないまま音が近づいてくるのを感じて恐怖を感じで考えていた。
ガサガサ。
ガサガサ。
ガサガサガサガサ。
音がアイラのすぐ側まで近づいてきた。
(ゴクンッ)
アイラは息を呑んでそっと穴から外を覗いた。
アイラが覗いた先に見えたのは光る目だった。
「きゃゃゃぁぁぁあ!」
アイラは光る目を見て恐怖がピークに達して叫んだ。
(こ、殺される)
アイラは光る目を見て叫び思わずそう思いながら目を瞑って覚悟を決めた。
しかし、、
少し経っても特に光る目をした何かがアイラに襲いかかってくる事はなかった。
(あれ?)
アイラはそっと目を開けてもう一度穴の外をそっと覗いた。
「あっ」
アイラは覗いた先にいた何かを見て思わず声を漏らした。
そこに居たのはキツネだった。
「はぁ〜なんだ。キツネだったんだ。暗い中で光ってる目だけ見えたから何か怪物か何かかと思ってしまったじゃないの」
アイラは音の正体がキツネだと分かりホッとした表情で言った。
「私を見ても逃げないのね。キツネってそういう動物だったかしら」
アイラはキツネが自分を見ても逃げずその場にいるのを見て言った。
「こんばんは。キツネさん。おいで」
アイラはにこりと微笑んでキツネへ言った。
するとキツネはゆっくりとアイラの元へとやって来た。
「あらあら。本当に人が怖くないのね。こんなに人懐っこいのに驚いてしまってごめんね。逆に私が叫んでしまったから驚いたでしょ」
アイラは自分の元にやってきたキツネをそっと優しく撫でながらキツネへ言った。
(それにしてもよくよく考えたらここって森の中だし野生の動物がいてもおかしくないのよね。たまたまいたのがキツネだったから良かったけどもしもっと凶暴な野生動物だったら襲われていたかもしれないよね)
アイラはふと自分がいる状況下を理解してそんな事を考えていると急に何ともいえない恐怖が襲いかかってきたのだった。
アイラは急に怖くなってしまったのでキツネをギュッと抱きしめて少しでも恐怖心をなくそうと考えた。
「キツネさん、少しだけこうして抱きしめさせてね」
アイラはキツネを抱きしめながらキツネへ言った。
(どうしよう。いつまでもこんな場所にいたら危険よね。でも足を負傷しているせいで素早くは動けないし崖も登れそうにない。かと言ってゆっくりでも無闇に歩くのは危険だろうし。一体どうしたらいいんだろ)
アイラは恐怖心に共に心細さも同時に襲ってきながらもどうしたらいいか考えていた。
その時だった、、
「アイラーーー!アイラー!!居たら返事をしてくれー!アイラー!」
誰かの叫ぶ声が聞こえた。
(え?あの声はヨハネス様?)
アイラは叫び声を聞いて声の主がヨハネスな事に気づいた。
「ヨハネス様ーーー!私はここにいます!」
その瞬間アイラは大きな声でヨハネスに向かって叫んだ。
「アイラ!」
ヨハネスはアイラの声が聞こえたのでアイラの名前を口にしながら辺りをランプで照らした。
ヨハネスはじっくりと崖の上から光を照らしてアイラの姿を探した。
その時だった、、
そう遠くはないが崖下より少し先の所で光る何かを見つけた。
それは、アイラと一緒にいたキツネの目だった。
「アイラ!」
ヨハネスはそう叫ぶと躊躇なく崖から飛び降りた。
低い訳ではない崖だがヨハネスは上手く崖下に飛び降りて着地した。
そして、、
着地すると急いで光が見えた方へと疾走った。
「アイラ!!」
そしてヨハネスは走った先にあった人が一人入れる様な穴の中にいるアイラを見つけてアイラの名前を呼んだ。
「ヨハネス様」
アイラはヨハネスの姿を見てヨハネスの名前を言った。
するとヨハネスは急ぎアイラの元へと駆け寄りキツネがいてもお構いなしに思い切りアイラを抱きしめた。
「ヨ、ヨハネス様?!」
アイラは突然抱きしめられて驚き言った。
「アイラ、無事で良かった。本当に無事で良かった」
ヨハネスは少し体を震わせながら言った。
「ごめんなさい。ご心配をおかけしてしまって」
アイラは申し訳なさそうにヨハネスへ言った。
(ヨハネス様震えてるわ。よほど心配させてしまったみたいで本当に申し訳ないわ)
アイラはヨハネスに謝りながらそんな事を思っていた。
「アイラが謝ることじゃないよ。でも本当に無事で良かった。アイラが居なくなったと聞いた時は心臓が止まるかと思ったよ」
ヨハネスは更にアイラをギュッと抱きしめて言った。
(本当に、本当にアイラにもしもの事があったらと思うと私は今までに感じた事のない程の恐怖を覚えたんだ。本当に無事でいてくれて良かった)
ヨハネスはアイラに言いながらそんな事を思っていた。
「、、」
アイラはそんなヨハネスに対して申し訳なさでいっぱいになり言葉が出てこなかった。
「アイラ怪我はない?体調が悪くなったりしていないかい?」
ヨハネスは少し落ち着いたのかアイラを抱きしめるのを一旦やめて心配そうな表情でアイラへ尋ねた。
「あ、体調が悪いとかはありませんが少し足首を痛めてしまった様で」
アイラは少し気まずそうにヨハネスへと言った。
「怪我したのか?!見せて!」
ヨハネスはアイラが怪我をしたと聞いて慌ててアイラへ言った。
「えっと」
アイラは少し躊躇気味に言いながらヨハネスへ足首を見せた。
「これは!痛かっただろうに」
ヨハネスはアイラの足首を見て一瞬言葉をつまらせて表情を歪めて言った。
「いえ。これくらいどうってことありません。歩けるくらいの怪我ですので」
アイラは表情を曇らせたヨハネスを見て慌てて言った。
「大丈夫なわけないさ。宿舎に戻ったらすぐに手当してあげるから」
ヨハネスはアイラの足首に優しく触れながら言った。
ドキドキ、、
(ちょっ、ヨハネス様そんな触り方)
アイラは優しく自分の足首に触れるヨハネスに対して恥しさからか心臓の音をドキドキさせながら内心混乱しつつ考えていた。
「そ、そんなヨハネス様に手当してもらう訳にはいきません。そこまでご迷惑おかけする訳にいきませんので。カミラかお兄様に手当はお願いしますので」
アイラはヨハネスの顔を恥ずかしくてまともに見れないまま慌てて言った。
「そんなに私に手当されるのが嫌なのか?」
ヨハネスは残念そうな仔犬の様な表情でアイラへ言った。
キュンッ、、
(って、キュンて何よ!)
アイラは仔犬の様なヨハネスの表情を見て思わずキュンとしてしまい自分で自分に突っ込んでいた。
「あ、あの嫌とかではなくてですね」
アイラはもう困惑気味に言った。
「嫌ではないのなら私が手当するね」
ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。
キュンッ、、
(って、だから何キュンとしてるのよ!)
アイラはまたもやヨハネスにキュンとしてしまい自分で自分に突っ込んでいた。
「わかりました。ではご迷惑でないのならよろしくお願いします」
アイラはこれ以上拒否してもヨハネスは引き下がらないと判断してお礼気味に言った。
「あぁ」
ヨハネスは嬉しそうに言った。
「ところでそのキツネは何なの?」
ヨハネスが疑問に思っていた事をアイラへ尋ねた。
「あ、このキツネは急に現れたのです。はじめは何か野生の怪物か何かかと思って襲われる覚悟をしたのですが襲ってこないと思い恐る恐る見たらこのキツネがいたのです。キツネが現れた事で他にも野生動物がいるかもしれないと思うと急に恐怖と心細さに襲われたのでこのキツネを抱きしめて気持ちを落ち着かせていたのです」
アイラはキツネが現れた経緯をヨハネスへ説明した。
「そんな事が。それならばこのキツネには感謝しなければならないね」
ヨハネスはキツネを見ながら言った。
「確かにそうですね。このキツネがいなければもっと恐怖にかられていたかもしれませんので」
アイラは頷きながら言った。
「このキツネがアイラの側にいてくれたお陰で私もここにアイラがいると気づいたしね」
ヨハネスが言った。
「キツネのお陰ですか?」
アイラは不思議そうな表情で尋ねた。
「あぁ。遠くからこのキツネの目が光っていたから気づいたんだよ」
ヨハネスが理由を説明した。
「あぁ、そうだったのですね」
アイラはヨハネスの話を聞き驚き言った。
「でも、ヨハネス様の声が聞こえてヨハネス様のお姿を見た瞬間少し前まで本当に怖くて心細かったのに一瞬で安心した気持ちになりました。ですのでヨハネス様にも本当に感謝です。私を見つけてくれてありがとうございました。お陰でメソメソと泣かなくて済みました」
アイラは満面の笑みを浮かべてヨハネスへと言った。
そんなアイラの笑みを見たヨハネスはアイラを引き寄せ抱きしめた。
「え?え?ヨハネス様?」
アイラは急に抱き寄せられて驚き慌てて言った。
「こうしているとアイラが無事だった事を実感できるから少しだけこうさせてくれ」
ヨハネスがアイラを抱きしめながら言った。
キュン、キュン、キュンッ!
(ヨ、ヨハネス様刺激が強すぎるわ。いつもヨハネス様とは話をしているのにどうして今日はこんなにキュンとするのかしら)
アイラはヨハネスの行動や言葉に混乱しつつもキュンを感じながら考えていた。
「わ、分かりました」
アイラは混乱したままだったがそう応えた。
(モブな私がヒロインの攻略対象者にキュン感じる場面なんてあっていいのかな)
アイラはヨハネスに抱きしめられながらそんな事を考えていた。
※
その後、、
カイルもアイラとヨハネスの元へと駆けつけた。
カイルは無事だったアイラを思い切り抱きしめた。
アイラはカイルに心配かけた事を謝罪した。
そして、カイルが負傷しているアイラをおぶって宿舎まで向かった。
「お兄様、カミラは無事に宿舎に戻っている?」
アイラはおぶられながらカイルへ尋ねた。
「??あぁ。心配しなくてもカミラは宿舎にいるよ。カミラもとてもアイラを心配しているから早く戻って顔を見せてあげるといいよ」
カイルは一瞬??となったがアイラへ言った。
「そう。戻っているなら良かったわ」
アイラはホッとした表情で言った。
(カミラにも心配させてしまって申し訳ないな)
アイラはそんな事を考えていた。
そして、、
アイラ達は宿舎へ戻った。
宿舎に戻るとアイラを心配していたカミラが泣いてアイラが戻ってきた事に安心していた。
そしてアイラはヨハネスに怪我の手当をしてもらったのだった。
その後、、
アイラは王太子であるレオンの元へと向かい迷惑をかけた事を謝罪したのちに自分が行方不明になった経緯を説明した。
(アイラ無事で良かった。アイラが行方不明だと聞かされた時はどれほど肝が冷えたか。本当はすぐにアイラを抱きしめたいがそれよりも王太子として先にやるべき事があるからな)
レオンは無事だったアイラを見て何とも言えない表情を浮かべながらそんな事を考えていた。
その後、、
アイラはレオンに一通り経緯を話すと部屋へと戻った。
「カミラ、本当に心配かけてごめんね」
アイラは部屋に戻るなり申し訳なさそうにカミラへ謝った。
「いいのよ。こうして無事に戻って来たんだから」
カミラは優しくアイラへ言った。
「ありがとう。でも、カミラも無事に宿舎へ戻ってくれてて安心したわ」
アイラがホッとした表情で言った。
「え?私?私が宿舎へってどうい事?」
カミラはアイラの言葉を聞き??という表情でアイラへ言った。
「え?だってカミラは調理場へ忘れ物をしたからと取りに外に出ていたのでしょう?私はそう聞いたからカミラの元へと向かうために外に出たのよ?」
アイラはカミラの言葉に驚いた表情で言った。
「いいえ。私は宿舎からは一歩も出てないわ。アイラがお風呂に入っている間に飲み物を取りに部屋を空けただけよ?」
カミラもアイラの言葉に驚きながら言った。
「え?どういう事?確かに私はカミラが外へ出たと聞いて」
アイラはカミラとの会話が噛み合わない事に困惑しつつ言った。
(もしかしてカミラが外へ行ったと教えてくれたあの方たちが嘘を教えたということ?!)
アイラはハッとなり自分に声をかけてきた人達の事を思い出しながら考えていた。
「どういう事なの?」
カミラもアイラとの会話が噛み合わない事に困惑して言った。
「一先ずこの件は私からもう一度お兄様に話してみるわ。今日はもう遅いしそろそろ寝ましょう」
アイラは困惑するカミラを安心させる様に言った。
「そうね。今日はアイラも疲れているだろうから寝ましょう」
カミラは少し戸惑うもアイラへ言った。
「えぇ」
アイラは頷きながら言った。
そして、、
アイラとカミラは電気を消して布団の中へと入った。
(今回の事って故意で起きた可能性があるってことよね。一体どうなってるんだろう)
アイラは布団の中でそんな事を考えていた。
そしていつの間にか眠りについていたのだった。
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