第12話プチバトル?!

「で、殿下?!どうしてこちらに?」


アイラがとても驚いた表情をして小声でレオンへと言った。


「あぁ、先日学園でカイルからアイラが街の市に出店すると聞いてね。様子を見に来たんだよ」


レオンは笑顔を浮かべて小声でアイラへ言った。


「お兄様にですか?!ですが何もわざわざこの様な場所に足を運ばれなくても」


アイラは慌てた様にレオンへ言った。


「私が見に来たいと思ったから来たのだ。だからアイラは気にせず動いていればいいさ」


レオンはにこりと微笑みながら言った。


「気にせずにと言われても気にするに決まっています。それにこの様な場所に来られて何かあったらどうされるのですか?何かあってからでは遅いのですよ?!」


アイラは困った表情を浮かべて言った。


(お兄様ったら何もわざわざ殿下に話さなくてもいいのに。まぁお兄様もまさか殿下がこんな場所まで足を運ぶなんて思ってなかったでしょうけどね。それにしても困ったわね。一国の王太子殿下がこんな場所へ来て何かあったらどうするのかしら)


アイラは困った表情のままそんな事を考えていた。


「大丈夫だよ。私はそんなに弱くはないし護衛も一人きちんと連れて来ているから」


レオンは自信満々に言うと護衛の方を指さした。


「ですが」


アイラはそんなレオンに困りながら言った。


「アイラ!」


その時、ヨハネスがアイラの名を呼んだ。


「え?あ、はい。どうされました?」


アイラは驚きヨハネスの方を見て言った。


「少しいいかな?」


ヨハネスはにこりと微笑みながらこちらへ来てと手招きしながらアイラへ言った。


「はい」


アイラはヨハネスに手招きされ応えると慌ててヨハネスの元へと向かった。


「ヨハネス様どうされました?」


アイラがヨハネスへ尋ねた。


「ねぇ。アイラは殿下とは顔見知りなの?やけに親しげの様に見えるけど」


ヨハネスはチラリとレオンの方を見ながらアイラへ尋ねた。


「いえ。親しい訳ではないのですが。少し前に学園で偶然お会いしまして私にもよく分からないのですがその後、王宮へ招待されたのです。王宮へ伺い少しお話をしました。ですので別に親しい訳ではありません」


アイラは困った表情を浮かべてヨハネスへ説明した。


「へぇ〜そんな事が。知らなかったよ。カイルからもそんな話聞いていなかったから」


ヨハネスはアイラの話を聞いて何かを考える様な表情で言った。


(殿下がアイラを王宮へ招待しただと?!それも個人的に。一体殿下が何を考えているのかは知らないが気に食わないな)


ヨハネスはアイラに言いながらそんな事を考えていた。


「お兄様が話さなかったのは別に重要な事でも何でもないからではないですか?」


アイラはヨハネスの言葉に不思議そうな表情を浮かべて言った。


「私には重要な事だけどね」


ヨハネスがボソリと呟いた。


「はい?何か言われましたか?」


アイラがヨハネスへ尋ねた。


「ん?いいや何でもないよ。話してくれてありがとう」


ヨハネスは真剣な表情からすぐに笑みを浮かべてアイラへ言った。


「そうですか」


アイラは不思議そうな表情を浮かべて言った。


「アイラ!私に何か手伝える事はないかな?」


そこへレオンがやってきてアイラへ言った。


「え?あ、そうですね。そう言われましても。殿下に手伝って頂くわけには」


アイラは困った表情で小声でレオンへ言った。


「どうして小声なの?」


レオンがアイラへ尋ねた。


「殿下などと普通の声では簡単には呼べませんので」


アイラは更に困った表情で応えた。


「では今日は私の事はレオンと呼んでくれればいいさ」


レオンは笑顔でアイラへ言った。


「そ、そんな風に呼べるわけがありません!」


アイラは慌てて応えた。


「私がいいと言っているのだから問題ない」


レオンは平然と言った。


「問題ないと言われましても」


アイラは困りながらモゴモゴと言った。


「ではこれは命令だ!今日は私をレオンと呼ぶように!」


レオンはニヤリとした表情でアイラへ言った。


「なっ。分かりました。レ、レオン様」


アイラはプゥっと頬を膨らませながら言った。


「はは。それでよし!」


レオンは頬を膨らますアイラを見て笑いながら言った。


(まったくこんな事で王太子の権限って使うもの?!はぁ。ヨハネス様に殿下にと今日の先が思いやられるわ)


アイラは笑っているレオンを見て思っていた。


「レオン様、こちらはヨハネス様の妹のニーナです。本日は私のお手伝いをしてくれるのです」


アイラがハッとなりレオンへニーナの事を話した。


「ヨハネスの妹か。私はレオンだ。よろしく頼む」


レオンがニーナへにこりと微笑みながら言った。


「えっと、はい。よろしくお願いします」


ニーナは少し緊張気味に応えた。


「ニーナと呼んでも?私の事はレオンと呼んでくれたらいい」


レオンがニーナへ言った。


「はい。構いません。よろしくお願いしますレオン様」


ニーナは緊張したまま応えた。


「レオン様。ニーナにはまだ社交会に出る歳ではありませんのでレオン様が王太子殿下というのは恐らく知らないと思いますので一先ず今日は殿下の正体は知られない様にお願いします。ニーナは人見知りなところがありますのでレオン様が殿下だと知ると混乱させてしまうと思いますので。殿下にお願いするのも何なのですがよろしくお願いします」


アイラがニーナに聞こえない程の小声でレオンへお願いした。


「わかった。アイラのお願いなら聞くよ」


レオンもアイラに合わせて小声で応えた。


「ありがとうございます。感謝致します」


アイラはホッとした表情でレオンへお礼を言った。


二人が小声で話していると、、


「レオン様。本日は私がアイラと妹のニーナの護衛役を務めますのでレオン様はどうぞあちらの椅子に座り休んでおいて下さい」


ヨハネスがレオンへにこりと笑みを浮かべて言った。


「ヨハネス。何故ヨハネスまで私の名を呼ぶのだ?」


レオンが目を細めながらヨハネスへ言った。


「私もアイラ同様レオン様と呼ばなければアイラがまた焦ってしまうでしょう?」


そんなレオンを気にする事なくヨハネスはにこりとしながら言った。


「それもそうだな。わかった。アイラに免じて名前を呼ぶことを許すとしよう」


レオンは痛いところを突かれたという表情を浮かべて言った。


「ありがとうございます」


ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。


「しかし、学園でも女子生徒へ特別扱いしない事を徹底しているヨハネスが一人の女子生徒の護衛役を請け負うとはな」


レオンがまた目を細めながらヨハネスへ言った。


「それはレオン様には関係のない事ですので。それよりもあちらの椅子に座り休んでおいで下さいませ。私は二人の護衛をしてまいりますので」


ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。


「お前!まぁいい。それより私は座っているつもりはない。今日はアイラの手伝いをする為に来たのだ。ヨハネスは護衛をしているといいさ。私はアイラの横に立ちアイラの手伝いをするからな」


レオンはヨハネスの言葉に一瞬ムッとするもすぐに笑顔を浮かべて言った。


「いえいえ。レオン様に立ち仕事をさせるなど恐れ多いですので」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「いやいやその様な事を気にする必要はない。まったく問題ない事だ。アイラの手伝いをする上でこの国の国民の様子を伺う事もできるからな。ヨハネスの方こそ後ろの方に立っていればよい」


レオンも微笑みながらヨハネスへ言った。


二人共微笑みながら会話をしているのに目がまったく笑っていなかった。


「ねぇねぇおねえさま。あの二人何を話してるの?」


「さぁ、何か話してるんでしょうけどよく分からないわ」




「ふ〜ん」


「さぁ、お二人の事は気にせず早速お客さんを迎えましょう。小さな店員さんお手伝いよろしくね」


「うん。任せておいて」


「ふふ。ありがとう」


アイラとニーナはヨハネスとレオンの会話を不思議そうに見ながら小声で話していた。


アイラとニーナは会話をしているヨハネスとレオンの事は一先ず置いといて早速お店をオープンさせたのだった。


すると、、


早速お客さんがアイラの店に集まってきた。


「いらっしゃいませ!」


アイラがにこりと微笑みながらお客に向けて言った。


「これは髪飾りかしら?同じデザインで大きいのと小さいのがあるけれど」


ニーナくらいの歳の娘を連れた親子が髪飾りを指差してアイラへ尋ねた。


「はい。こちらは親子で着ける事の出来るお揃いの髪飾りなんですよ。大きい方はお母さんに、小さい方は娘さんにと」


アイラは笑顔で説明した。


「親子お揃いで着ける事ができる髪飾り。いいわね」


「お母さん!お母さんとお揃いで着けれる髪飾り欲しいな〜」


「そうね!これもらえるかしら?」


アイラの説明を聞いた親子が嬉しそうに笑いながら話した後にアイラへ購入する事を伝えた。


「はい。ありがとうございます。お包みするので少々お待ち下さい」


「えぇ」


アイラは嬉しそうに微笑みながら言うと母親が頷きながら応えた。


「ニーナ、この髪飾りをお渡しする袋に入れてくれる?」


「分かったわ。任せて!」


アイラがニーナへ笑顔でお願いするとニーナも笑顔で応えた。


「よし出来たわ。はい。どうぞ」


ニーナは髪飾りを袋へ丁寧に入れるとそれを髪飾りを購入した親子へ差し出した。


人見知りのニーナは若干緊張気味に言った。


「ありがとう。とても可愛らしいお手伝いさんね」


母親が商品をニーナから受け取るとニーナへ優しく微笑みながら言った。


「あ、ありがとうございます」


ニーナは母親にそう言われると嬉しくなり少し恥ずかしそうに笑いながらお礼を言った。


(この出店のお手伝いがきっかけでニーナの人見知りが少しでも治ればと思っていたけど今の感じを見ていると少しは人見知りが治りそうだわ。良かったわ)


アイラは恥ずかしそうに笑いながらも対応するニーナを微笑ましく見ながらそんな事を考えていた。


バチバチな会話をしていたヨハネスとレオンはいつの間にか会話を終え嬉しそうに楽しそうに接客をしているアイラの事を愛おしそうな目で見ていた。


その後もアイラの店には沢山のお客が足を止めていた。


髪飾り、鞄、つけ襟、帽子、人形、フェルトおままごとなどこの国では物珍しい物が並ぶアイラの商品は次々に売れていったのだった。


(やっぱり自分が手を込めて作った物を手にとってもらえて購入してもらえるのは前世でも現世でも関係なく嬉しいわ。お客さんの嬉しい表情を見るのが嬉しいからハンドメイドは余計にやめられないのよね)


アイラは自分の商品が売れていくのを見て嬉しそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。


時には常に笑顔でにこにこして店番をしているアイラ目当てに声をかけてくる男性客もちらほらいたがアイラの後ろに立つヨハネスとレオンの圧に顔を真っ青にして驚き逃げる様にその場を立ち去っていたのだった。


そんな立ち去っていく男性客達をアイラとニーナは首を傾げて不思議に思っていた。


二人は男性客をヨハネスとレオンが圧をかけて追い返しているなど知る由もなかった。



アイラとニーナが並べている商品の在庫が少なくなってきたので後ろにある箱の中から新たに商品を出して店前に補充した。


少しでもアイラの手伝いをしたいヨハネスとレオンはお互い手伝える事の取り合いをしていた。


「あの、お二人とも何か喧嘩でもされたのですか?」


アイラがそんなヨハネスとレオンを見て心配そうな表情を浮かべて言った。


「え?いやそんな事ないよ。どうしてだい?」


ヨハネスがすぐに笑みを浮かべてアイラへ言った。


「そうですか?何だかお二人がギスギスしている様に見えましたので。でもそんな事ないのでしたら良かったです」


アイラはヨハネスの言葉を聞き少し首を傾げながらもホッとした表情で言った。


「あぁ。アイラの思い違いだよ。ねぇ?レオン様?」


ヨハネスはにこりと微笑みながらレオンへ話を振った。


「ん?あぁ。ヨハネスの言うとおりさ。我々は喧嘩などしていないから安心するといいよ」


レオンはヨハネスに言われると笑みを浮かべてアイラへ言った。


「それならばいいのです。変なことを聞いてしまい申し訳ありません」


アイラはレオンの言葉を聞いて二人へ謝った。


「いや、謝らなくていいよ」


「そうさ。アイラが謝る必要はないよ」


ヨハネスとレオンは微笑みながらアイラへ言った。


「はい」


アイラはそう言うと作業に戻った。


アイラが作業へ戻るとヨハネスとレオンは先程までの笑顔とは打って変わり表情を歪ませた。


「ヨハネス。お前が表情に出しすぎなのだ」


「いえいえ私ではなくレオン様が表情に出しすぎなのですよ。そのせいでアイラに心配させてしまったではありませんか」


「いいや!私ではなくヨハネスお前だ。お前はいつも無愛想にしているからな」


「レオン様。少し言葉が過ぎますよ?私は別に無愛想などではございませんから」


「はっ!どの口が言うのやら」


ヨハネスとレオンはアイラとニーナに聞こえない様に小声でバチバチな火花が散っているかの様な会話をしていた。


その時だった、、


「アイラ!」


アイラとニーナが在庫補充をしていると誰かがアイラの名前を呼んだ。


「あ!カミラ!」


アイラを呼んだのはカミラだった。


「カミラ!来てくれたのね!」


アイラはカミラを見て嬉しそうに言った。


「えぇ。顔を見せる約束してたもの」


カミラも嬉しそうに言った。


「えっと、こちらは王室騎士団の副団長の」


アイラがカミラの横にいた人物を見てカミラへ尋ねた。


「え、えぇ。こちらはランド公爵家のロジャー様」


カミラは少し照れた様にアイラへ言った。


「やっぱり。初めまして。カミラの友達でガルバドール侯爵家のアイラ・プ・ガルバドールと申します」


アイラがロジャーへ挨拶をした。


「初めまして。私はランド公爵家のロジャー・ランドと申します。先日はカミラを助けて頂きありがとうございました。もう二度とカミラがあの様な目に遭わぬ様に私がカミラを守りますので」


ロジャーはアイラに挨拶をするとアイラへ先日の件のお礼を言った。


そして、カミラを守る決意もアイラへ伝えた。


「いえ。カミラは大切な友達ですので」


アイラは笑顔でロジャーへ言った。


「カミラ。こんなにカミラの事を大切にして想ってくれる方で」


アイラは笑みを浮かべながらカミラへ言った。


「えぇ。ありがとうアイラ」


カミラははにかんだ様にアイラへ言った。


「あっ!そうだわ!カミラとロジャー様へ渡したい物があったの!ちょっと待っていて!」


アイラはハッと思い出した様にカミラとロジャーへ言うと荷物の中から何かを探し出した。


「これなんだけど」


アイラは荷物から包装された袋を出してカミラ達のところへ戻るとカミラとロジャーへ袋を差し出しながら言った。


「これは?」


「開けてみて!」


カミラが不思議に思いながら言うとアイラは笑顔で応えた。


アイラに言われたカミラは袋の中から中身を取り出した。


「これは」


カミラが取り出した中身を見て言った。


「それはねペアネックレスなの。」


アイラは微笑みながらカミラへ言った。


「ペアネックレス?」


カミラが不思議そうな表情で言った。


「えぇ。この二つのネックレスをこうして合わせるとほら!ハートの形になったでしょ?二つのネックレスが揃わないとハートにはならないの。だからハートになる様にお互いが片方づつ着けている事でお互いの愛がいつまでも繋がってい続けるという願いを込めてこれを二人へプレゼントしたいと思ったの。私の手作りなんだけどね」


アイラはネックレスでハートを作りながらカミラとロジャーへペアネックレスの説明をした。


「わぁ〜二つで一つのハート。素敵ね」


カミラがネックレスを見て微笑みながら言った。


「あぁ。素敵だね」


ロジャーもネックレスを見て言った。


「貰ってもらえる?」


アイラはドキドキしながらカミラへ言った。


「ええ!もちろんよ!大切に着けさせてもらうわ!ありがとうアイラ」


カミラは嬉しそうにアイラへ言うとお礼を言った。


「アイラ様、こんなに素敵な物を贈って頂きありがとうございます。大切に着けさせて頂きます」


ロジャーも嬉しそうにアイラへお礼を言った。


「良かった。喜んで貰えて!」


アイラは嬉しそうにカミラとロジャーへ言った。


「カミラ達はもう少し街を歩いて回るの?」


「ええ。せっかく来たんだから少し見て回ろうってなったのよ」


「そうなのね!それならしっかり楽しんで行ってね」


「えぇ。ありがとう」


アイラがカミラへ尋ねるとカミラが応えた。


そして、カミラとロジャーはその場でアイラから贈られたネックレスを着けていると二人はアイラの店を後にしたのだった。


ヨハネスとレオンはカミラとロジャーが店に訪れた事すら気づかずブツブツと言い合っていたのだった。


商品の補充をするとまたお客がアイラの店へやって来てアイラの店は大繁盛だった。


お昼頃にはアイラが持ってきた商品は全て完売したのだった。


アイラが完売をニーナと共に喜んでいるところへカイルとローズがやってきた。


「アイラ!」


カイルがアイラへ言った。


「あ!お兄様!」


アイラがカイルに気づき言った。


「ニーナ先程ぶりだね」


カイルがニーナの方を見て言った。


「はい」


ニーナが応えた。


「あ!ローズさんもこんにちは!」


アイラがカイルの横にいたローズへ挨拶をした。


「こんにちはアイラ!」


ローズもアイラへ挨拶をした。


「ニーナもこんにちは」


ローズがニーナの方を見て挨拶した。


「ローズ様こんにちは」


ニーナは少し緊張気味にローズへ挨拶をした。


「え?もうアイラが作った商品…完売したの?」


カイルはアイラの店の商品がない事に気づき驚き言った。


「そうなんですよ。嬉しくありがたいことです」


アイラは嬉しそうに応えた。


「凄いね。でもアイラの店番をしている姿見たかったから見れないのは残念だな」


カイルは残念そうな表情でアイラへ言った。


「ふふ、お兄様ったら」


アイラはそんなカイルを見てクスクスと笑いながら言った。


「お兄様達が顔を出してくれて良かったです。この後はどこかへ行かれるんですよね?」


アイラがカイルへ尋ねた。


「あぁ。ローズのお気に入りのカフェがあるみたいだからそこへ行ってお茶でもしようと思ってね」


カイルは嬉しそうに応えた。


「そうなんですね。それは楽しそうですね」


アイラは笑顔でカイルへ言った。


「あぁ」


カイルが笑顔で応えた。


「今日はお兄様がローズさんと一緒にいると知っていたからローズさんと会ったらこれを渡そうと思っていたんです」


アイラはローズの方を見てローズに言うと洋服のポケットから包み紙を取り出してローズへ手渡した。


「私に?何かしら。開けてもいい?」


ローズは少し驚いた表情をしながらアイラへ尋ねた。


「はい」


アイラは頷きながら応えた。


ローズは包み紙をそっと開けて中の物を取り出した。


横にいたカイルも覗き込んでローズが取り出した物を見ていた。


「これは」


ローズが取り出した物を見て言った。


「以前、学園の花壇で少し私がお話した押し花です。これは押し花をしおりにしたものですけど。ローズさんがどの様な花が好きなのかをお兄様から聞くのを忘れてしまっていたので《幸福》という花言葉のあるカスミソウを選んで押し花にしてしおりを作ってみました。良ければ本を読むときなどにお使い下さい」


アイラはローズへ笑顔で説明しながら言った。


「これが押し花というものなのね。凄いわ。お花が形を残したままこの様に手元に置いておくことが出来るだなんて。ありがとう。とても嬉しいわ。大切に使わせてもらうわね」


ローズは嬉しそうに笑いながら言うとアイラへお礼を言った。


「はい。喜んで頂けて良かったです」


アイラは笑顔で応えた。


(良かった。ローズさん喜んでくれてるみたいで。これから攻略者達を攻略する為に色々とあるとは思うけど自分が選んだ幸福をしっかりと手にして欲しいという願いも込めて作ったんだもんね)


アイラはローズに言いながらもそんな事を考えていた。


そこへ、、


「カイル!」


アイラとニーナの後ろからヨハネスがカイルに気づき声をかけた。


「ヨハネス!!!ん?!で、殿下?」


カイルがヨハネスへ手を挙げて言うとヨハネスの横にいる人物を見て驚いた表情を浮かべて言った。


「やぁカイル!」


そんなカイルへレオンが言った。


「え?えぇ?何故殿下がこのような所へいらっしゃるのですか?!」


カイルは思わず小声になり言った。


「カイルからアイラが街の市に出店すると聞いたからアイラの様子を見に来たんだ」


レオンは驚くカイルを気にすることなく淡々と応えた。


「はい?わざわざアイラの様子を見に来られたのですか?!」


カイルは更に驚き言った。


「あぁ。そうだが?何か問題でも?」


レオンが言った。


「いえ問題はありませんが」


カイルは困った表情で言った。


「そうか。それより横の君は」


レオンがカイルにそう言うとカイルの横にいたローズへ言った。


「あ、はい。以前学園の花壇でお会いしました者です。殿下にご挨拶申しあげます」


ローズも何故か思わず小声になりレオンへ応えた。


「やはりそうであったか。その説は助かった。君はカイルの恋人なのか?」


レオンが頷きながら言うとストレートな質問をローズへぶつけた。


「はい。そうです」


ローズは少し戸惑いながら照れた様に応えた。


「そうか」


レオンが言った。


(ちょ、ちょっと。何この状況は。ヒロインに攻略対象がまとめて三人集結って。漫画やゲームの世界じゃあるまいし。って、ゲームの世界なのか。いやでもこんな展開なんてプリラブMにはなかったから!まずいわ、、まずすぎるわ。しかもよりにもよって殿下ったら単刀直入にローズさんに聞くなんて)


アイラはローズ、カイル、ヨハネス、レオンを見て一人焦りながらそんな事を考えていた。


「カイルも隅に置けないな。学園では女子生徒に特別扱いなどしないお前がまさかな。まぁ学園内には色々な者がいるから気をつけてやるんだぞ」


レオンがローズの話を聞きカイルへ言った。


「は、はい」


カイルは慌てて応えた。


「ヨハネス。アイラとニーナの護衛の方は特に問題なかったか?」


カイルが気になっていた事をヨハネスへ小声で聞いた。


「あぁ、問題ない。アイラ目当ての男性客がちらほら居たが私と殿下が少し圧をかけたら逃げ出していくものばかりだったからな」


ヨハネスはフンッという表情を浮かべて言った。


「そうか。さすがだな。ありがとう。助かるよ」


カイルはホッとした表情でヨハネスへお礼を言った。


「あぁ。それより何故アイラが殿下に王宮へ呼び出された事を私へ教えてくれなかったのだ?先程殿下から聞いて驚いたとこだ」


ヨハネスは少し不満気な表情でカイルへ言った。


「え?あぁ特に言う事でもないと思ったのでな。別に殿下とアイラに何かあった訳でもないし翌日にはそんな事を気にもしていなかったからな」


カイルはヨハネスの言葉に少し戸惑うも応えた。


(やはりそんなとこだったか)


ヨハネスはカイルの話を聞きそんな事を考えていた。


「まぁいい。次からもしもアイラが殿下に招待されたりなどしたら私に話してくれ!いいな?」


ヨハネスがカイルへ言った。


「え?あぁ。分かったよ」


カイルはヨハネスの言葉に??という表情を浮かべるも応えた。


(お兄様とヨハネス様何を話しているのかしら。ヨハネス様何だか表情が強張っているしもしかしてローズさんの事かしら。お兄様がローズ様と二人で出かける事を不満に思ってるんだわ。自分はニーナと私の護衛をしてるからここに居ないといけないしできっとヨハネスはそれがもどかしいんだわ。どうしよう何だか護衛をしてもらうのも悪く感じるわ)


アイラは何やら話しているカイルとヨハネスを見てヒヤヒヤしながらそんな事を考えていた。


その時、、


「ねぇアイラおねえさま」


ニーナがアイラの服をちょんちょんと引っ張り言った。


「ん?ニーナどうしたの?」


アイラがニーナへ言った。


「私、少しお腹が空いたのだけど」


ニーナはもじもじしながら言いにくそうに言った。


「本当に?あ、そうか。もうお昼だものね。ごめんね気づかなくて」


アイラは申し訳なさそうにニーナに言った。


「ちょうど商品も完売したからお店をたたんで市を回りながら何か食べましょうか?ニーナはそれでもいいかしら?」


アイラはにこりと笑いながら優しくニーナへ言った。


「うん!それでいいわ!」


ニーナは笑顔で頷きながら応えた。


「よし!そうしましょう!」


アイラが笑顔でニーナへ言った。


「あのレオン様」


アイラが側にいたレオンへ声をかけた。


「ん?どうした?」


レオンが応えた。


「はい。ニーナがお腹が空いた様なのでお店の商品も完売しましたし店をたたんでニーナを連れて市を回りながら何か食べようと思うのですがレオン様はどうされますか?このままお帰りになられますか?」


アイラがレオンへ言った。


「いや、私も君たちに同行するよ」


レオンはにこりと微笑みながら言った。


「え?そうですか?ですが他にもご予定があるのではないですか?その何といいますか」


アイラは驚いた表情を浮かべて言った。


(王宮での執務とかもあったりするわよね?いつまでもこんな場所で時間を使ってる時間などないんじゃないかしら)


アイラはレオンの予定を心配しながら考えていた。


「問題ないよ。今日は休暇の様なものだと考えてくれたらいい」


レオンは驚いた表情のアイラに笑顔で言った。


「そうなのですか。分かりました」


アイラはへぇ〜という表情を浮かべて言った。


「それなら私も同行しよう!」


そこへ先程までカイルと話をしていたヨハネスが会話に入ってきた。


「え?」


「ヨハネスもだと?!」


ヨハネスの言葉にアイラとレオンが言った。


「お兄様とのお話はもうよいのですか?てっきりヨハネス様はお兄様達と一緒にカフェに行くのだとばかり」


アイラは少し驚いた表情でヨハネスへ言った。


「私が?カイル達と?何故そうなるんだい?私が一緒に行ったら二人の邪魔になるだけだろう?それに今日はアイラとニーナの護衛役なのだから最後まで二人を護衛するに決まってるじゃないか」


ヨハネスはアイラの言葉に??という表情を浮かべて言った。


(そうなの?ヨハネス様はお兄様とローズさんが二人きりになるのが嫌なんじゃないの?先程のお兄様と会話している時のヨハネス様の表情を見たらそうだと思ったんだけど)


アイラはヨハネスの話を聞いて??と不思議そうにそんな事を考えていた。


「そうなのですね。分かりました」


アイラが応えた。


「護衛役なら私一人で十分だがな」


レオンがボソリとヨハネスをチラリと見て言った。


「いえ。ニーナは私の大切な妹ですしアイラはカイルの大切な妹ですので護衛役は私が適任ですので逆に私一人で十分かと」


レオンはそんなレオンへにこりと笑みを浮かべて言った。


「では、私はアイラとニーナが欲しいもの食べたいものを買ってやるとするかな」


レオンはニヤリと笑みを浮かべてヨハネスへ言った。


「それは私でも買うことができますので」


ヨハネスはにこりと笑みを浮かべたままレオンへ言った。


「ヨハネスは護衛役だけをしていたらいいんだよ。護衛役なのだから」


レオンは負けじと笑みを浮かべてヨハネスへ言った。


相変わらず二人は笑みを浮かべているのに目はまったく笑っていなかった。


「あのお話中のところ申し訳ありませんがニーナもお腹を空かせてますしお兄様とローズさんも次の場所へ行かせてあげたいのでそろそろ市を回るために店をたたむ作業をしてもよろしいですか?」


アイラは気まずそうな表情を浮かべながらヨハネスとレオンへ言った。


「すまない。そうだな。そうしよう!」


「ごめんね。早速作業に取りかかろう」


アイラの言葉にハッとなったヨハネスとレオンはにこりと優しい笑みを浮かべてアイラへ言った。


「分かりました。ありがとうございます」


アイラはホッとした表情で二人へ言った。


「アイラ。そろそろ私達は行くね」


カイルがアイラへ言った。


「ええ。分かりました。気をつけて行ってきてくださいね」


アイラはにこりと微笑みながらカイルへ言った。


「あぁ、ありがとう」


カイルもにこりと微笑みながらアイラへ言った。


「アイラ、今日は本当にこんなに素敵なものをありがとう。またお家にお邪魔する時に押し花のやり方を教えてちょうだいね」


ローズが笑みを浮かべてアイラへ言った。




「はい。分かりました。ぜひとも」


アイラは笑顔で言った。


(あぁ相変わらずローズさんの笑顔は癒やされるわ。本当にプリラブMのヒロインて癒やしだわ)


アイラはローズを見ながらそんな事を思っていた。


「ではレオン様、ヨハネス、私達はここで失礼します」


「失礼致します」


カイルとローズがヨハネスとレオンへ挨拶をした。


「あぁ。気をつけて」


「あぁ。また学園で」


レオンとヨハネスが応えた。


そして、カイルとローズはぺこりと頭を下げて礼をしてニーナとアイラへ手を振るとカフェへと向かったのだった。


アイラ達も店をたたむ作業に取り掛かった。


相変わらずヨハネスとレオンは荷物片付ける作業時もアイラの気づかぬところでどちらがどの荷物を片付けるかで火花を散らしていた。


荷物をまとめて一度馬車まで荷物を運んだ後に四人は市を回り始めたのだった。


市には色々な店が出店しており食べ物や飲み物も種類が豊富でニーナは始めて見るものも多いのか目を輝かせながら色々と見ていた。


そんなニーナをアイラは可愛いな〜と思いながら微笑ましく見ていた。


そんなアイラを愛おしそうにヨハネスとレオンは見ていた。


アイラとニーナが食べるものをヨハネスとレオンも食べていた。


アイラとレオンの護衛は王太子であるレオンが毒味もなしに市の物を食べているのでヒヤヒヤした表情を浮かべていた。


腹ごしらえをしながら更に店を見て回っているとアイラの目にあるものが目に入った。


(あれはまさか)


アイラは目を輝かせながら思っていた。


アイラは目に入ったものが置いてある店へと足が勝手に向かった。


「あのこれは家庭でも使えるミシンですか?」


アイラが店の店主に尋ねた。


「あぁ。ここにあるミシンはすべて家庭で使えるものばかりだよ。近隣国の商人から買い付けたばかりのミシンなのさ!」


店主が応えた。


「そうなのですね!ちなみにこれとこれの二台だといくらになりますか?」


アイラは店主の話を聞き胸をおどろせながら店主へ尋ねた。


「各ミシンの前に値札が置いてあるからそこを見てくれたらいいよ」


店主が応えた。


「分かりました。えっと値札値札。あったわ!って、え?!」


アイラは応えるとミシンの前に置いてある値札を見て驚いた表情で言った。


(うわっ高いわ。前世である日本での金額にすると一台六十万。二台で百二十万。これはさすがに買えないわ。いやお父様にお願いしたら買ってくれるでしょうけどさすがにお願いしにくいわ。形は昔の物だけどせっかく家庭用ミシンを見つけたというのに)


アイラは値札の値段を見てあ然としながらそんな事を考えていた。


「アイラおねえさまどうしたの?」


アイラがあ然とした表情を浮かべているとニーナが横からアイラへ声をかけた。


「あぁ。これはミシンというもので私が前々から欲しいと思っていたものなんだけれど二台購入しようと思ったらとても高値になってしまうのよ。だから欲しいけど諦めるしかないかなって思ったの」


アイラは残念そうな表情を浮かべてニーナへ説明した。


「そうなの?わぁ本当ね」


ニーナはアイラの説明を聞くと値札の値段を見て驚いた表情で言った。


「仕方ないわね。でもまたミシンを購入出来る時が来るかもしれないから今回は諦めるわ」


アイラは残念そうな表情のままニーナへ言った。


「そっか」


ニーナも残念そうに応えた。


「おじさんありがとうございます。またの機会にしますね」


アイラは店主へ言った。


「そうかい?また出店する予定があるからまた覗いてくれよな!」


店主が言った。


「はい。そうしますね」


アイラは笑みを浮かべて店主へ言った。


そんなアイラを見てヨハネスとレオンは何かを考えている表情を浮かべていた。


「ニーナ、そろそろ馬車へと戻り自宅へ戻りましょうか?」


アイラがニーナへ言った。


「う〜ん。そうだね。沢山お店を回れたしね」


ニーナは頷きながら応えた。


「レオン様、ヨハネス様、そろそろ馬車へ戻ろうと思うのですがよろしいですか?」


アイラがヨハネスとレオンにも尋ねた。


「あぁ。構わない!」


「私も構わないよ」


レオンとヨハネスが応えた。


「そうですか。では馬車へ戻りましょう」


アイラが言った。


そして、四人は馬車へと向かった。


「あ、そうだ。先程少し気になるものがあったのだが買うのを忘れてしまった。すまないがアイラとニーナは先に馬車へ戻っておいてくれないか?買うものを買ったらすぐに戻るから。馬車までは私の護衛を二人につけておくから」


レオンが馬車へ向かっている時に急に言い出した。


「え?買い忘れたものですか?分かりました。ですが護衛なしに行かれるのはよくないと思いますので」


アイラがレオンへ言った。


「いや私一人でも問題はない」


レオンが応えた。


「しかし」


アイラは戸惑いながら言った。


「アイラ、実は私も買い忘れたものがあるんだよ。だから私がレオン様に同行するからアイラとニーナはレオン様のお言葉に甘えて護衛をつけてもらうといいよ。ね?」


ヨハネスがアイラへ言った。


「え?ヨハネス様もですか?分かりました。ヨハネス様がついているのでしたら安心ですね」


アイラはヨハネスまで買い忘れたものがあるというので驚き言った。


「あぁ。だから、二人は先に馬車へ乗っていて!すぐに戻るから」


ヨハネスはアイラとニーナへ言うとレオンと共に市の方へと戻っていった。


(二人共買い忘れたものって何かしら。そんなに魅力的なものがあったのかしら)


アイラは市へ戻る二人を見ながらそんな事を考えていた。


市へと戻ったヨハネスとレオンはミシンが置いてある店へと到着した。


「まさかヨハネスも同じ事を考えていたとはな」


「こちらのセリフですよ」


レオンとヨハネスがお互いを見ながら言った。


「店主!こちらのミシンをもらう!」


「私はこちらのミシンをもらう!」


レオンとヨハネスが店主へ言った。


「え?はいはい。お買い上げありがとうございます。えっと…今持ち帰られますか?それともお届けに?」


店主はミシンには縁のなさそうな二人がミシンを買うということに少し驚くも二人へ尋ねた。


「ガルバドール侯爵邸へ届けてくれ。ガルバドール侯爵家の娘のアイラ・プ・ガルバドール宛だ」


「私の方も同じところへ届けてくれ!」


レオンとヨハネスが店主へ言った。


「は、はい。分かりました」


店主はやたらと対抗意識を燃やしている二人に戸惑いながらも言った。


こうして、ヨハネスとレオンはアイラの為にミシンを購入したのだった。



そんな二人の姿を遠くから見つめる人物がいたのだった。



二人がミシンを購入している頃、、


馬車へ到着したらアイラとニーナとレオンの護衛はヨハネスとレオンを待っていた。


「あ!そうだ!ニーナ!今日手伝ってくれたお礼にこれを作ってきたの!」


アイラが思い出した様に荷物の中からラッピングをした袋を取り出してニーナに渡しながら言った。


「私に?開けてもいい?」


ニーナは嬉しそうに言った。


「ええ!」


アイラは笑みを浮かべて言った。


「わぁ〜!可愛い!」


ニーナは袋の中から出した中身を見て目を輝かせて言った。


「私が作ったエプロンよ!また、今日みたいにお店を出店しようと思っているからそのエプロンを着けてまたお手伝いに来てくれる?」


アイラはにこにこしながらニーナへ言った。


「うん!もちろんよ!こんなに可愛いエプロンを作ってくれてありがとう。とても可愛いくて気に入ったわ!」


ニーナは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて言った。


「ふふ。気に入ってくれて良かったわ!手作りクッキーも入れておいたから良かったら自宅に帰って食べてね!疲れた時は甘い物に限るから!」


アイラは笑顔でニーナへ言った。


「クッキーまで?!アイラおねえさま本当にありがとう!」


ニーナは嬉しそうに笑ってアイラへお礼を言った。


「どういたしまして!」


アイラは笑顔で言った。




「あっ!あの、クッキーがまだあるのでよろしければどうぞ。まだお昼を食べてないですよね?護衛をして下さったお礼です。よろしかったら食べて下さい。少しはお腹のたしになるかと思いますので。手作りの物で申し訳ないのですが」


アイラは荷物からクッキーの入った袋を取り出してレオンの護衛へ差し出しながら言った。


「ありがとうございます。実をいうとお腹がすいていたんです。でん、、レオン様の護衛が終わりましたら頂きたいと思います」


護衛が少し驚きながらもアイラの柔らかい表情を見てほっこりした気持ちになりながらアイラへ言うとクッキーを受け取った。


「はい。そうして下さい」


アイラは笑みを浮かべて言った。


その後、少しするとヨハネスとレオンが戻ってきた。


レオンは王宮へ戻る為、レオンとアイラ達はその場で別れた。


ヨハネスとニーナは一度アイラと共にグランバード侯爵邸へ戻り自分のところの馬車に乗り換えて帰っていった。


アイラは疲れたものの前世ぶりのハンドメイド商品の出店に大満足して余韻に浸っていた。


ミシンを買えなかった事だけを悔やんでいたのだった。


ヨハネスはニーナがアイラから手作りクッキーを貰った事を知りニーナから一枚クッキーを貰い満足気な表情を浮かべていた。


王宮に着いたレオンは護衛がポケットから落としたクッキーを見て護衛を問いただしてアイラから手作りクッキーをもらったことを知ると護衛をキッと睨んだが護衛からクッキーを分けてもらうと一気に上機嫌になったのだった。


そして、、


翌日。

ガルバドール侯爵邸にアイラ宛の二台のミシンが届きアイラが驚愕したのは言うまでもなかった、、

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