第10話悪役令嬢登場
アイラは王宮から帰宅すると街の市で販売する為の物を作り始めた。
最初に髪飾りを作り始めた。
「街で見かけた女性や子供達が着けていた髪飾りを参考にしてアレンジを加えたらより可愛いものが出来そうね」
アイラはそう言って自分の作りたいものをイメージしながら手を動かした。
「大人用と子供用の大きさは分けた方が良さそうね。親子でお揃いで着けれるものもあったら喜ばれるからお揃いのものも作ろう!」
アイラは色々とイメージの想像を膨らませながら髪飾りを作っていった。
「よし、土台はこんな感じでいいわね」
アイラは髪飾りの土台となるものを完全させるとそれを見て納得した様に頷きながら言った。
「あぁそれにしても今日は王宮では緊張したな〜。終盤は緊張も解けたけれどやっぱり相手が王太子殿下じゃね。いくらプリラブMをやってて殿下を何度も見て攻略する為に色んな話をしたとはいえあくまでゲームの中での事だもんね。いざ本人目の前にしたら色んな意味で緊張したわ」
アイラはいつもの癖でハンドメイドをやりながら考え事をしていた。
「でもどうして殿下はローズさんと出会ったにも関わらず進展がなかったのかな」
アイラは手元を動かしながら悩む様な表情で言った。
「私がやってたプリラブMとは少し違えどローズさんが殿下を攻略して最終的に王太子妃→王妃になるっていうのは決まってるんだからどんな形であれ出会った事に変わりないんだから二人が恋に落ちるのは決まってるんだけな」
アイラは更に考えながら呟いた。
「出会ったという事はローズさんの殿下への攻略が始まるはずなんだけどな」
アイラは呟いた。
「でもヨハネス様の攻略も何となくすっ飛ばしてる気がするんのよね。きっとローズさんがお兄様と過ごす機会が増えたはずだからヨハネス様もローズ様とこの家で出会った以降も会う機会があったはずなのにローズさんは変わらずお兄様と良い仲みたいだしな」
アイラは更に悩む様に考えながら呟いた。
「それに一番気になるのが悪役令嬢のジェシカがローズさんに対して特に何かをしてる様子もないのよね。でも、プリラブMでのジェシカはローズがカイル攻略時から出てくる主要キャラの一人なのよね…。でも現状はまだローズさんに接触してない様子だしな。う〜ん本当に一体どういう流れなんだろう」
アイラは髪飾りの土台の上にレースを縫い付け始めつつ悩み考えながら呟いた。
「悪役令嬢ジェシカ。貴族の中でも特に位の高い公爵令嬢であるジェシカ。父親であるバーレン公爵がとことん甘やかしたせいもありかなりの傲慢令嬢。プリラブMの主要キャラである意味一番強烈で印象に残る存在のジェシカ。カイル、ヨハネス、レオンとどんなに女性から言い寄られても心動かなかった三人の男性の心を手にしたローズに嫉妬してあるゆる意地悪を続けたTHE・悪役令嬢なのよね。とにかく攻略の邪魔をしてくるばかりでなかなかストーリーが進まなくて大変だったもんね」
アイラは前世でのプリラブMの内容を思い出しながら悪役令嬢令嬢についてを考えていた。
「でも既にヒロインの攻略対象である三人がローズさんに出会っているのにジェシカが現れる気配はないし一体ジェシカはいつローズさんの前に現れるんだろうか
アイラは疑問に思いながらそんな事を考えていた。
「一先ずジェシカが出現したらローズさんが意地悪されない様にしないとな。あ、でもそれを私が阻止するとストーリーが訳分からない方向へ進んだりするのかな。ん〜今の状況だとローズさんにはお兄様が近くにいるからジェシカはあからさまな意地悪は出来ないわよね。でもジェシカってとにかく攻略者達にバレないところでローズに意地悪をしまくるのよね」
アイラはん〜と頭を悩ませながら考えていた。
「とりあえず今考えても仕方ないか。ジェシカが現れたらまた考えたらいいか」
アイラの中でそういう結論になった。
そして、アイラは一旦悪役令嬢・ジェシカの事を考えるのをやめてハンドメイドを進めたのだった。
この日アイラは短時間で数種類の髪飾りを完成させたのだった。
※
翌日。
学園内でアイラはカミラを探していた。
(カミラったらどこ行ったのかしら)
アイラは歩きながら周りをきょろきょろ見渡しつつ考えていた。
アイラがカミラと昼食を食べるために中庭に向かう途中にトイレ寄った際、アイラがトイレから出たらカミラの姿がなかったのだった。
その後もアイラはカミラを探し歩いた。
すると、食堂へ向かう階段下の人目につきにくい場所に数人の女子生徒がいた。
今の時間はほとんどの生徒は食堂へいる事もあり周りに人が居なかった。
(あの人達あんな場所で何してるのかしら。何か内緒話でもしてるのかしら)
アイラはその女子生徒達を横目に見ながら考えていた。
そして、その場を通り過ぎようとした時だった。
女子生徒達が誰かを囲んでいる様だった。
女子生徒達に囲まれている人物を見てアイラは驚いた。
その囲まれていた人物はカミラだったのだ。
(カミラ?!何でカミラが女子生徒達にこんな所で囲まれてるの?!)
アイラはその光景を見て驚いた表情で考えていた。
そしてアイラが驚きそんな事を考えていた次の瞬間だった。
女子生徒達の中の一人が思い切り手挙げてその手をカミラに向かって振り下ろしたのだった。
その光景を見たアイラは咄嗟に体が動いた。
バチーーーン!!
その場に大きな音が響いた。
カミラは叩かれると思い咄嗟に目を瞑ったが大きな音はしたのに頬が痛くない事に気づきゆっくりと目を開けた。
カミラは目を開けて目の前の光景に驚いた。
「ア、アイラ?」
カミラは自分の目の前にアイラが立っているのを見て言った。
「カミラ!大丈夫?!何もされてない?!怪我はない?!」
カミラの声を聞いたアイラはバッと後ろを振り返り焦って表情を浮かべてカミラへ言った。
「え、えぇ。私は大丈夫。何ともないわ。だけどアイラ頬が」
カミラは焦るアイラに応えるもアイラの頬が真っ赤になり少し腫れているのを見て泣きそうな声でアイラへ言った。
「そう良かったわ。私なら大丈夫だから気にしないで。あぁカミラに怪我がなくて良かったわ」
アイラはカミラの言葉にホッとした様な表情を浮かべると泣きそうなカミラへにこりと微笑みながら言った。
「アイラ」
カミラはそんなアイラを見て泣くのを必死に堪えながら言った。
「ちょっとあなた一体何なの?急に割り込んできて。私はあなたに用はないの。さっさとどこかへ行ってくれないかしら?」
アイラとカミラを見て女子生徒の一人が声のトーンを低くして苛ついた様にアイラへ言った。
アイラは一言言ってやろうと思い女子生徒達の方へ振り返った。
アイラは振り返った瞬間自分の事を冷たい表情で睨んでいる人物を見て驚きのあまり固まった。
なんと、、
アイラの目の前にいる人物…そしてカミラの頬を叩こうとしてアイラの頬を叩いた人物、、
それは、、
紛れもなくプリラブMの悪役令嬢・ジェシカだったのだ。
(え?ジェシカ?この人悪役令嬢のジェシカだよね?私が見間違える訳ないもんね。顔は文句なしの美しさなのにこのいかにも性格が悪そうな表情。前世でゲーム中に何度も見たキャラだもんね)
アイラは目の前のジェシカを見たままそんな事を考えていた。
(でもどうしてジェシカがカミラを?ジェシカが他の取り巻き令嬢と一緒になって囲み意地悪をする相手ってローズさんだよね?)
アイラはふと状況を考え頭を混乱させつつ考えていた。
「ちょっとあなた聞いてるの?!何故黙っているの?私の話を無視なさる気?!」
ジェシカを見て驚きのあまり固まっていたアイラにジェシカが更に苛ついた様に言った。
「あ、いえ。そういうわけでありません」
アイラはハッとなり慌てて応えた。
「そう。でしたら早くどこかへ行って下さる?私はあなたの後ろにいる人に話があるから」
ジェシカは冷たい表情を浮かべながら言ったアイラへ言った。
「あの何故カミラに話があるのですか?」
アイラはカミラの事を思うとその場を離れる気はなく言った。
「あなたに関係ないでしょう?」
ジェシカは吐き捨てる様にアイラへ言った。
「関係はあります。カミラは私の大切なお友達ですので」
アイラはジェシカに怯むことなく言い返した。
「はっ。こんな泥棒猫がお友達ですの?」
ジェシカはアイラの言葉を聞き馬鹿にする様な笑みを浮かべながら言った。
「カミラが泥棒猫?!」
アイラはジェシカの言葉に少し苛つきを覚えて言った。
「えぇ。その通り。その人はここにいるシルシの婚約者であるランド公爵家のロジャー様をシルシの婚約者だと知っているにも関わらずロジャー様に近づきロジャー様と会っているのよ。これを泥棒猫と言わず何と言うのかしらね」
ジェシカは冷たい表情でチラリとカミラを睨みつけながら言った。
「はい?その話何かの間違いではないですか?だってカミラとロジャー様はお互い想い合っておられる様ですけど?」
アイラは首を傾げながらジェシカに言った。
「な、何を言ってるの?!ロジャー様と想い合っているのはこの私よ?!それをこんな爵位の低い家の者が恥ずかしくもなくロジャー様に近づくだけでは物足りなず想い合っているだなんて!!」
アイラの話を聞いたシルシが顔を真っ赤にして怒りに狂った様に言った。
「でもロジャー様は誰とも婚約はしていないと仰っておられました」
カミラがシルシの話を聞き泣きそうな声でぼそりと呟いた。
「あなた!何てデタラメを言うの?!ロジャー様はれっきとした私の婚約者よ!!」
シルシは更に怒りをあらわにしてカミラへ言った。
そんなシルシにカミラは萎縮していた。
「まぁまぁシルシ落ち着きなさいよ。令嬢がそんなに取り乱すなんてはしたないわよ」
ジェシカは怒るシルシに淡々と言った。
「はい。申し訳ありませんジェシカ様」
シルシはハッとなりジェシカへ慌てて謝った。
「とにかくそこにいる彼女が嘘をついているという事は一目瞭然。位の低い者が位の高い者を欺こうなどという考えを持ってるのであればその考えを正す必要があるの。だからこうしてわざわざ時間を割いて正してさしあげてるよ。だからあなたはさっさとどこかへ行ってくださる?目障りだから」
ジェシカは物凄く冷たい表情でアイラの事を睨む様に冷たく言い放った。
(悪役令嬢・ジェシカ。プリラブMでのキャラの中でも強烈な悪役キャラだけあるわ。本当に悪役令嬢そのものだもんね)
アイラはジェシカに言われそんな事を考えていた。
「先程から位が高い低いの話をされてますけど位が低いから嘘をついてると決めつけるのは良くないと思うのですけど」
アイラはジェシカに冷たく言われても動じず言った。
(前世のプリラブMで幾度となくジェシカには攻略の邪魔をされたのよ?この程度でジェシカ相手に私が怯む訳ないわ!だてに前世でプリラブMに時間を費やしてないわよ!)
アイラはジェシカに言いながらそんな事を考えていた。
「は?」
ジェシカはアイラの言葉を聞いて更に冷たい表情を浮かべて眉をひそめながら言った。
「こんな風にカミラを呼び出してカミラ一人に対して数人で囲んでよく分からない話をするくらいならばロジャー様に直接お聞きすればよいのではないですか?そちらの方はロジャー様と婚約されているのでしょう?」
アイラは負けてたまるかという勢いで更に言った。
「なっ!」
アイラの話にシルシは怒りを浮かべて言った。
「あなたは私が誰だか分かっていてその様な事を言っているの?」
ジェシカが口元をピクピクと動かしながら静かに怒りを露わにしながら冷たい視線を向けてアイラへ言った。
(知ってるなんてもんじゃないわ。そこにいる取り巻き令嬢達よりはるかにジェシカの事を知っているとも。でも、たとえ相手が悪役令嬢であってもカミラが嫌な思いをしてるというのにそれを見過ごすなんて事は私には出来ないわ)
アイラはジェシカに言われてそんな事を考えていた。
「はい。存じております」
アイラはじっとジェシカを見つめて応えた。
「知っているのに私にそんな事を言うのね。あなたもそこの彼女と同じく位の低い者はどの様に振る舞わないといけないかという事を教えて差し上げないといけないかしらね」
ジェシカはアイラに更にサァッと冷たい視線を向けながら言った。
「ア、アイラ!私は大丈夫だからアイラはもう行ってちょうだい!」
カミラがアイラをとても冷たい視線で見ながら言うジェシカを見て怖くなり慌てて言った。
「いいえ!行かないわ!だって私たちは何も間違った事なんてしてないんだから」
アイラがカミラへ真剣な表情で言った。
「アイラ」
カミラはそんなアイラを見て泣きそうになりながら言った。
「言葉で言っても分からないなら」
ジェシカはアイラに静かに怒りを露わにして低い声で言った。
そして、ジェシカは再び手を大きく振り上げてその手を思い切りアイラに向けて振り下ろした。
アイラは目を開けたまま叩かれるのを覚悟して構えた。
その時だった、、
「そこで何をしている!」
突然、男性がジェシカ達に向けて言った。
ジェシカは声を聞き咄嗟にアイラへ振り下ろそうとした手を引っ込めた。
そして、ジェシカと取り巻き令嬢達は声のする方を見た。
声をかけてきたのはヨハネスだった。
ヨハネスを見たジェシカ達は一瞬で先程とはまるで別人かの様な表情をした。
「ヨハネス様」
ジェシカはヨハネスへ声のトーンをあげてにこりと微笑みながら言った。
「ジェシカ嬢?その様なところで何を?」
ヨハネスはジェシカの笑みと声に嫌悪を感じながら言った。
「いえ。何でもありませんのでお気に入りなさらず。それよりもヨハネス様は今から食堂へ行かれるのですか?でしたら是非私共も一緒に」
ジェシカは笑みを浮かべながら涼しい顔で状況を誤魔化す様に言うとヨハネスと共に食堂へ行くと言い出したのだった。
「そうか。いや、私は今人を探しているから食堂へは、、」
ヨハネスがジェシカの誤魔化す様な物言いが気になるも早くその場を去りたいのでジェシカへ言うとした時だった。
ジェシカ達の後ろに隠れて見えづらかった人物がチラリと見えたヨハネスはとても驚いた表情をした。
「アイラ!」
ヨハネスはアイラの名前を呼ぶと同時に自然と体が動きジェシカを押しのけアイラの元へと駆け寄った。
「ヨハネス様?どうしてこちらに」
アイラは急に駆け寄って来たヨハネスに驚きながら言った。
「アイラの事を探していたんだよ」
「え?私をですか?」
「あぁ。ニーナからアイラ宛に手紙を預かってきていてね。昼食の時間だと渡せると思って中庭に行ってみたけど居ないから探してたんだよ」
「そうだったのですね。中庭にまで足を運んで頂いたのにお手間をかけさせてしまって申し訳ありません」
ヨハネスは驚くアイラに心配そうな表情を浮かべて言った。
アイラはヨハネスの言葉を聞き更に驚いたが理由を聞き納得するとヨハネスに自分を探させてしまった事を謝った。
「それは全然構わないから気にしなくていいから。私が事前に伝えた訳ではなかったのだから。それよりもどうしてアイラの頬が赤く腫れているの?」
ヨハネスは気にするアイラに優しく言うとアイラを見た時から気になっていた頬の事を尋ねた。
「あ、えっとですね。これは」
アイラはヨハネスに聞かれて気まずそうに言った。
(まさかヨハネス様が通りかかるだなんて予想外だわね。この場はどうにかジェシカの怒りを鎮める為にもう一発くらいビンタを食らってジェシカの気が済むのを見計らってカミラを連れてこの場を離れようとしてたのな。う〜ん。これはどう応えればいいんだろうか)
アイラはヨハネスに応えながら頭の中では頬の事をどう説明しようか考えていた。
「ジェシカ嬢。この子の頬がどうして赤く腫れてるか知らないかな?」
ヨハネスは、アイラが話しそうにもないと悟ったのかアイラに聞くのを諦めてあえてジェシカへと尋ねた。
ヨハネスのジェシカを見る目はとても冷たい目をしていた。
「え?それは」
ジェシカはヨハネスの冷たい視線にビクっ…となり戸惑いながら言うとその先はだんまりになった。
「アイラ、一先ず保健室へ行こう。頬を手当てしないと」
ヨハネスはだんまりなジェシカを冷たい視線で見た後すぐに心配そうな表情でアイラへ言った。
「い、いえ。この程度は少し冷やしておけば大丈夫ですのでお気遣いなく」
アイラはヨハネスへ慌てて言った。
(そんな事してもらわなくても大丈夫なのにな。本当に。それにジェシカの私を見る視線が痛いわね。どういう気持ちの視線なのだか。ジェシカに叩かれた事をヨハネス様へは言うなの目?それともヨハネス様に何気安く喋ってるのの目?とにかく許せないという目?はぁ…本当に色々な事が重なり過ぎて混乱するわ)
アイラはヨハネスに言いながらも自分をあからさまに睨んでいるジェシカの視線を感じながらそんな事を考えていた。
「ダメだよ!さぁ行くよ」
ヨハネスは慌てるアイラに有無を言わせないという勢いで言った。
「あ、ですが」
アイラは戸惑いながら言った。
「君はアイラの友達だよね?君も一緒に保健室へ行こう」
ヨハネスはアイラの横にいてアイラの事を心配そうに見ているカミラへ言った。
「あ、はい。そうです。分かりました。ご一緒致します」
カミラはヨハネスに言われると少し驚くも頷きながら応えた。
「あ、あの。ヨハネス様、その子をご存知なのですか?」
ジェシカがやたらとアイラを心配するヨハネスを見て不思議に思い尋ねた。
「あぁ。彼女はガルバドール侯爵家のご令嬢でカイルの妹だよ」
ヨハネスはスーっと冷たい目をしてジェシカを見ながら言った。
「え?カ、カイル様の妹さんでって?」
ジェシカはヨハネスの言葉に驚き言った。
「あぁ」
ヨハネスが応えた。
「そんな。まさかカイル様の妹だったなんて」
ジェシカはアイラが爵位の低い家の者だと思っていたのもあったがカイルの妹だということに衝撃を受けた表情で呟いた。
「さあ行こう」
ヨハネスはチラリと衝撃を受けているジェシカを横目に見るとアイラへ優しい表情を浮かべながら言った。
「はい」
アイラはこれはもういう事を聞いた方が早いと思い頷きながら応えた。
カミラが保健室までアイラの体を支えてあげた。
アイラとカミラはジェシカ達の方へと軽く会釈をしてその場から保健室へと向かったのだった。
その場を離れるアイラはとてもじゃないけれどジェシカの表情など見れたものではなかった。
(はぁ絶対ジェシカは私を敵認定したわよね。ヨハネス様は普段は女子生徒へ優しくする事などない様だからそんな人が私に気を使ってるところなんて見たら。まあ、ジェシカの心境は穏やかではないわよね。はぁ、ヨハネス様ったら私がお兄様の妹だからって気を使って下さってるのは分かるんだけどよりにもよってそれをジェシカの前でするとは。先が思いやられるわ。でも、まぁカミラやローズさんに意地悪の矛先が向かわないならいいか)
アイラは保健室へ向かい歩きながらドッと疲れた表情を浮かべてそんな事を考えていたのだった。
アイラはこの日思わぬ形で悪役令嬢・ジェシカと遭遇したのだった、、
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