5.排便姿勢

第9話

5.排便姿勢


寝た姿勢や立った姿勢では、便は出ませんね。これは、直腸肛門角という恥骨直腸筋によって形成される直腸と、肛門の角度が直角だからです。だからこそ、寝ているときや立っているときは、通常は便が出ないしくみになっています。一方、座位になり前かがみになると、直腸肛門角が120度以上に広がり、便が出やすくなります。ロダンの「考える人」のポーズをすると出やすくなります(図10~13)。


便意を感じない高齢者や寝たきりの方でも、便の性状を普通便に整え、直腸まで便が降りてきていれば、トイレに座って前かがみになることで便が出ます。座位姿勢が取れない場合は、左側臥位になって膝を曲げるなど工夫してみましょう。


図10 気持ちよく排便できる姿勢


「くの字」 ロダンで前かがみ


出やすい姿勢で、長くいきまないように心がけましょう


●洋式の便器に座り、片方のひじを太ももにのせ、こぶしであごを支えて「ウーン」。まるで、ロダンの「考える人」のように上半身と下半身が「くの字」に曲がった前かがみの姿勢が排便には理想的なのです。

●直腸から肛門までは通常、便が漏れないように直角となっていますが、前傾姿勢になると、この直腸肛門角が開き、スムーズに排便することができます。かかとを上げて腹筋に力を入れたり、脇腹を押さえたりするのも効果的です。

●「考える人」は詩作にふけり、やや苦悶の表情を浮かべています。しかし、トイレで長くいきむのは禁物。深呼吸するなどして便意の訪れを待ちましょう。

文献1より引用


図11 直腸肛門角



図12 静止時と排便時の直腸肛門角



図13 Flap Valve Mechanism


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