「第6話」アンラッキースケベナイトメア②
(まずい、このままじゃ……!)
股間を隠すようにしゃがみ込む。
その瞬間俺は体勢を崩した。片足をずらしてしまったのだ。
「きゃー、へんたーい」
手を口元に当て、高笑いをしながら……アポロちゃんは地面に跪いている俺を見下していた。
悔しいし、屈辱。しかし今はそんな事を気にしている場合では……!
「私の勝ちだね」
「あ、ああ……そうだな、お前の勝ちだ」
「じゃあ命令するね。うーんなににしよっかなぁ〜?」
ビクンビクンと小刻みに震えるそれを、股の間に挟んで隠そうとする。バレるな、察されてはいけない……負けようが殴られようが煽られようが、これだけはこいつに見られてはならない……!
「じゃあ、D◯O様のポーズやってよ」
「でぃっ……D◯O様!?」
「あるじゃん、ほら。ガニ股でWRYYYYYって仰け反りながらのやつ」
不味い。
あのポーズは、股間を前に突き出すため今の俺の状態でアレをやるのは非常に不味い。
「……べっ、別のポーズにしないか? 例えばそうだな、うん……ア◯ラ100パーセントさんのとかさぁ!」
「隠してどうすんだよ。ほぉら……自分からやらないなら……こうだっ!」
「!?」
こいつ、俺の両脇に手を回してきやがった!
なんて力だ、いつものこいつならこんな力はでないはず! 何が、何がこいつに底までの力を与えるんだ!?
「テメェのそのおっ勃った汚ねぇポ◯チン山を晒し上げてやらァ!」
「最低だぁアアアアアアアアあやめろおおおおおWRYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」
馬鹿な、このあんコペが! そう言いたくなるほど見事に羽交い締めにされた俺の上体は反り返り、そして股間を突き出すような形になってしまった。
「うっわ、なんだあれ」
「チ◯コでっけぇ!」
「あいつらほんと仲いいよな」
「きも」
テントを張った股間の存在は廊下において異質、既に数十人の注目を浴びてしまった。
もう泣きそうだ、っていうか泣いてる。
「てめーの敗因は…たったひとつだぜ……あんコペ…たったひとつのシンプルな答えだ………」
抵抗すら考えることも出来ず、俺は……耳元で囁くような外道の声を聞いた。
首だけ動かし、振り返り。
「てめーはおれを怒らせた」
俺なんもしてねぇよ。
一言心のなかで恨み言を呟いたのち、死にたくても死ねないので俺は……考えるのを、やめた。
『作者からのお願い』
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