第13話 大調査&告白からの即返事(その5)
「はーい」
俺がそう返事すると、部屋の扉が開けて入ってきた
「蘭、何?用?」
俺が質問をすると一瞬躊躇した顔になったが、深呼吸をして俺の方を見て口を開いた。
「ッ、、、、スゥ〜、ハァ〜、、その、
「?、、、、これ、、?」
そう言って俺に手渡して来たのは持っていたノート2冊だった。1つ目のノートには【結人君日記ノート】、2つ目のノートには【蘭夜君日記ノート】とマーカーで書かれていた。
「?これ誰の?」
「それは読んでから、、言うから、」
と、蘭が言うので、俺は仕方なく、俺の名前が書かれたのノートのページを適当に開く。開かれたページに目を通すと、そこには、、、、
[5月8日晴れ 今日大学の放課後、部室に行こうと歩いていたら、書類とか本を持った子、高校生がこけて落としてて困ってた。俺はすかさず助けて、たまたま持ってた絆創膏を高校生に渡した。顔立ちが蘭君に似ていて、ちょっとビックリした。]
「、、、、ぇ」
最初に書かれていた日記に俺は驚いて言葉を失ってしまった。それと同時に、これを書いたのが
俺は次のページを開く。
[5月11日晴れ 今日放課後の時に金曜日に助けた子が俺の前に現れた。お礼のパンと言ってメロンパンやカレーパンを作って俺にくれた。その子の名前を聞いて俺は一瞬戸惑ってしまった。蘭君の弟だと、知って蘭君に言おうか悩んだりもした。俺は悪戯心でナナシと名乗った。]
そう書かれていて、完全にナナシさん=湊斗さんと言う式は合っていたと、心の中で喜んだ。俺は続けてページを開く。
[5月14日晴れ 今日はフルーツサンドを作って持って来てくれた。写真を撮る時のこだわりを話したらちゃんと聞いてくれて結構嬉しかった。名前を聞いて来たので、まだまだ応えるつもりはないと言ったら何だか頑張ろうって言って来た。]
[5月15日曇り 今日はシフォンケーキとガトーショコラを作って来たが言うつもりはないので改善を求めた。謙虚になってるかな。どっちも美味しい]
[5月18日晴れ 今日はショートケーキを作って来た。謙虚っちゃ謙虚だけど、ニュアンスを変えてみてと言った。苺甘くて美味しい。また作って貰お]
[5月20日晴れ 今日はまさかのスープを作って来て流石に驚いて却下と言った。別にこれでも良いけど甘い物好きだからスイーツの方が良いと思った。次に期待]
[5月25日曇り 今日は3種のチーズケーキを作って来た。あともう一押しと言ったら喜んでた。次は何を作ってくれるのかな。、、、、蘭君にも結人君にも黙ったままのこんな関係、ダメかな〜]
そう次々と書かれていて、俺はちょっとビックリした。俺の想像とは違った文字の書き方や表し方。俺はそんな事を思いながら次のページを開く。
[5月27日晴れ 生チョコ苺タルトを作って来てくれた結人君。いつも通り名前を聞いて来なくて変だなぁ〜って思ったら、結人君が【
名前以外を知ってから、名前を知っても良いって言ってくれて、俺はやっぱり蘭君の弟だな〜って思いながら書いてるよ!]
「、、、、(こんな風に思ってくれてたんだ笑良かった、やっぱり迷惑じゃなかったんだ笑)」
嬉しいな、何て感じながら読み進めるとあるページが目に入った。
[5月30日曇りのち晴れ 3種のマフィンを食べながら紹介ノートを読んでいたら、蘭君達の事が書かれてて、ちょっと嬉しくて会話に入れてみた。すると、結人君とっても嬉しそうに話してて、蘭君が結人君の事好きって事知ってたから、もしかしてと思って鎌かけたら、まさか当たってて驚いた。
アワアワしてる結人君可愛いな〜、何て思いながら「告白しないの?」って聞いてみたら、めちゃくちゃ戸惑った後、「蘭が幸せになれる訳ない」って言って、俺ちょっと怒っちゃった。だって、蘭君の気持ちを知ってたからもだけど、そんな悲しい事を言って欲しくなかったから、俺は怒りを抑えながら諭す様に話したら、途端に泣き出しちゃって俺めっちゃオロオロしちゃったけど、結人君に感謝されたから、結果オーライだったかな?
早く2人が両想いになれると良いな、笑]
「ふふっ、、、、(知ってるからちゃんと言葉にしてくれて、、、、俺はあの時は助かったな)」
「???」
俺はそのまま結構ページを飛ばしめてみると、俺が知りたかった答えが載ったページに辿り着いた。俺はそのページに食らいついた。
[8月24日晴れ 夏休もそろそろ終わりな今日も、フルーツサンドを作って来た結人君に質問をされた。「ナナシさん、!あの、その、何で俺に名前教えてくれないんですか??」って言われて、「、、、、ぇ?」って間の空いた返事をしちゃったけど、少し考えて話した。「やっぱり気になる?教えて貰いたい?」って俺が言ったら、少し考えて返事をして来た。
「う〜ん、今は知りたいって言う感情はないですね。寧ろ、今の俺にとってナナシさんの名前はナナシですし、無理に教えて貰うなんておこがましいじゃないですか!いつか、自然に教えてくれれば、俺は嬉しいし、、、、それに、」と言葉が詰まったのか、黙って俺は聞き返してみた。「それに、、、、?」と言うと、少し間が空いてから返事が返って来た。
「この3ヶ月で沢山、ナナシさんを知れたんですもん!友達の事を知れて嬉しいし、今更名前を気にする様な関係じゃないですか!俺はナナシさんと仲良くなれただけで嬉しいし、優しく色んな事教えてくれるナナシさんは大好きです!」
と笑顔で俺に言われて、俺は一瞬の硬直のうちに顔が真っ赤になったんだろう。結人君はビックリして「ぇ?!ナナシさん熱ですか!?大丈夫ですか!?」って言われたから大丈夫、大丈夫って言った。
だけど、次の瞬間、(何このワンコ系イケメン!!可愛い!!天使!好き!大好き!、、ん?好き?、、、、ちょっと待て、ちょーと待て、俺、蘭君の事好きだよね??、、、、でも、いや、!これは蘭君と同じで恋愛的に好きだって言う想いだ!何だって?俺の乙女の部分がそう言ってるんだもん!!)何て心の中で叫んでたと、同時に同時ではないけど2人を恋愛的に好きになってしまったと言う罪悪感に苛まれていた]
と長文で書かれていて、俺はちょっと驚いてしまったと同時に、この日に俺の事が好きになったと分かった。
確かに、こんな会話をしたと記憶してたけど、まさかこの時とは思わなかった。
この6日後が、、、、あの日なのか、、、、
そう思いながらも次のページを開く。
[8月30日曇り 6日間、色々考えた結果、結人君と離れる覚悟を決めた。何でって?だって2人の事を好きになって、それも叶わない恋だから苦しいからとかじゃなかった。最初に出て来たのは、この2人が幸せになれる道を俺も作りたいと、思ったからだ。2人が幸せになれるなら何でもやる。2人を戸惑わさせたくないから告白はしない。したところで叶うはずもないし、俺自身は2人のどっちかと付き合う気がさらさらない。2人を傷つけるなんて俺には出来ない。
だから今日結人君に別れを告げた。悲しそうな顔をしていたが、ダメだ。目を見てはいけない、見たら決意が揺らぎそうだから、この2つの恋は終わらせないといけない]
そう書かれていてその後には何も書かれていなかった。
俺は8月30日の事を思い出した。
『ナナシさ〜ん!おはようございま〜す!』
『おはよう、今日は何作ったの?』
『ふっふっふっ!アップルパイです!どうぞ!!』
『ありがとう、、、、』
あんまり元気そうになかったナナシさんに何かあったのかな〜って、最初はそう思っていた。アップルパイを美味しそうに食べてたし、それに安心していたのが、いけなかったのかな。帰りの時間になった時、ナナシさんに告げられた言葉で俺は思考停止してしまった。
『じゃ、俺そろそろ帰りますね!夕ご飯の準備しないと、!』
『じゃ、また今度!』
『あぁ、、、、いや、それは無理かな』
『、、、、ぇ?それって』
『今日で会うのは最後にしよう、結人君』
そう言われて俺は体がピシリと硬直する感覚に襲われた。俺はナナシさんに大きな声で聞く。
『ど、、どー言う意味ですか?!ぇ、俺の事嫌いになったんですか!?!それなら、改善します。何がいけなかったのか!何d 「そうじゃない!!!」 ビクッ ‼︎ 』
『そうじゃない。君の事を嫌いになった事何て一度もない。寧ろ、好きだ。だからだ』
『分からない、ナナシさんの言ってる事が分からない。好きなら、全然会ったって良いじゃないです!』
『俺が無理なんだ、、、、だから、バイバイ、さようなら』
そう言って俺の前から居なくなっていくナナシさんの手を掴もうと体を動かそうとしたが上手く動かせなかった。ただただ目から涙が流れるだけだった。
それから、次の日もその次の日も、次の次の日も大学に行ったけど、ナナシさんは居なかった。俺は絶望をした。
「はぁ〜、忘れ様と思ってても、絶対に思い出すんだなぁ〜、、、、ナナシさんの事、良い意味で許せないわ笑」
「、、、、結、大丈夫か?」
「蘭、うん、大丈夫、ちょっとまだ頭の中で整理出来てないだけ」
「ちょっと、飲み物取ってくる わっ」
俺はそう言って立ち上がったら膝にあったノートが落ちて最後のページが見える様に開かれた。
「やっちゃった〜、、、、!これって」
最後のページには最近書かれたであろう日記があった。
それは、
[7月18日晴れ まさか、今日結人君に再会出来るとは思わなかった。結人君は俺の顔を見てもナナシだって気付かなかったから、だから俺も結人君じゃなくてゆいゆいと呼ぶ事した。やっぱりこれは運命なのかな〜、はぁ〜、、、、せっかく気持ちの整理が落ち着いたのになぁ〜、あぁ、やっぱり好きだなぁ〜、、結人君、いやゆいゆいこれから俺の暴走に付き合って貰うからね!]
そう書かれていて、俺は色んな感情が頭の中を駆け巡って、混乱したが最初に来た感情は、
「ナナシさん、、、、いや、湊斗さんめ、人の幸せ願ってる暇があんだったら、自分の幸せ願えやー!!!!!!」
「ビクッ 、、ゅ、結?ど、どうしたん!?」
突然大きな声出した俺にアワアワしてる蘭。俺は蘭の方を見て、両肩を掴んで、一言。
「蘭にちょっと協力足し貰いたいんだけど良い??」
「、、、、へっ?」
湊斗さん、俺と蘭の事好きになったなら、素直に言え!と言うか!何も言わず、そして名前を言わずに俺の前から消えた事の説明をキッチリとして貰うからね!!!!!!
そう意気込んだ俺。
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