【番外晴樹編】晴樹は湊斗に片想い真っ只中



ゆい、おはよう」


「!晴樹はるき!おはよう!」


いつも通りの可愛い笑顔を俺に向ける結は本当に愛おしい。

俺こと、大野晴樹おおのはるき双野結人そうのゆいとに叶うはずがない片想いをしている。


「晴樹、!聞いて!今日のらんね!朝から本当にカッコよかったんだよ!」


「はいはい、蘭君先輩がカッコいいのは分かったから、賢治けんじ菜月なつきが来てから話してよ(そんな可愛い笑顔を他の人に向けないで欲しい)」


「えぇ〜、あの2人より晴樹の方が俺の話をちゃんと聞いてくれるじゃん、」


「結の甘々惚気聞きたくないから、(そーやって無自覚に褒めてきたり信頼してます。って言う感じを他にの人は出さないで欲しい)」


結を他の人に見せたくない、誰にもその可愛い顔を見せたくない、蘭君先輩と話して欲しくない、何て人には言えない汚い感情を持ったまま早6年以上片想いをしている。


結と蘭君先輩は双子だから、付き合う事はない。そう安心していたのが、迂闊だった。まさか、


「実は俺と蘭、双子じゃなくて従兄弟だった」


そう言われるまでは、、、、


「ただいま」


ガチャッ ドサッ


「嘘だろ?結と蘭君先輩が双子じゃない?従兄弟?何それ、絶対付き合うじゃん。どーするんだよ。俺のこれまでの努力はなんだ?」


結を悪い輩から守ったり、結を狙う奴を葬ったり(警察に突き出す)、結に好意を抱く奴を脅したりしてきた努力が全部無駄になる。


俺はそんな事を思いながら、壁一面を覆ってある布を剥がすと、結の7歳から17歳までの写真が大量に貼ってある。今まで結や賢治、菜月にバレない様に撮って来た写真達。


結が俺に向ける笑顔は友人、幼馴染に向ける感情で、蘭君先輩に向ける笑顔は好き好き好き、大好きって言う恋愛的に好きな人に向ける感情なのに、俺はそれを分かろうと、理解しようとしなかった。

この恋は叶わないって最初から分かってたのに。


「あぁ〜、こんな辛い思いするんなら結に恋するんじゃなかった(泣)」





幼馴染3人の中で俺は1番最後に皆んなと出会った。小1の秋にこの街に引っ越してきて、元々は引っ込み思案で人見知りだった俺は中々友達が出来なかった。だけどそんな時に、


『えっと、晴樹君だっけ?』


『?そうだけど、君は?』


『僕は双野結人!結で良いよ!』

『あのね、!良かっただけど、僕の絵のモデルになってくれない??』


優しく俺に声をかけてきてくれたのが、結だった。


『、、、、良いけど、なんで俺?他にもモデルになってくれる人は居るでしょ?』


何てツン満載な感じで答えた俺にも明るく優しく。


『晴樹君だから、良いんだよ!それに、僕晴樹君と仲良くなりたいから!ニコッ 』


『!! 』


その時の笑顔のおかげで、俺は素直になって結と仲良くなって、次第に周りに友達も出来て家が近かった賢治や菜月と結の次に仲良くなって幼馴染と言う関係になった。


結の後を付いて行って、結と同じクラブや部活をして結が料理得意だったから俺も料理始めて、学校も休みの日も出来るだけ結や賢治、菜月達と一緒に居る事が増えた。いや増やした。

この時、あの笑顔に惚れたんだと思う。授業中も家に居る時も遊んで居る時も結の事を考えて、いつしか夢にも結が出てきた。それぐらい、結が好きだと言う自覚があった。


「、、、、朝か」


気付いたら朝になっていた。

結の事は大好きだし、付き合いたいと言う感情を多分これからもずっと持ち続けているだろう。


そんな俺に転機とも言えるある事が起きた。



まさか、本当の恋をこの人でするなんて、思う訳もなかった。

















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