第4話 復活完了手続き

担当医は

「なんか不具合あったらまたきてくださーい」と言いすて

俺を追い出すと、さっさと閉院した。


役場での復活完了手続きについては割愛させていただく。


組合の労災保険申請と、身分証、保険証 通行許可、開拓許可、ダンジョン内取得拾得物の売買など、ライセンス書類の再発行手続き、エトセトラエトセトラ。

紙の再発行のおおいことよ。

死ぬものではないな、とうくづく反省した。


それよりも衝撃的だったのは荷物の紛失だ。

「これだけ?」

壊滅当時の荷物はほぼ残っておらず、防具は半分損失、武器もメインの1本しか残っていない。財布もリュックもない。


「一応、盗難届だします?、武具は流されて溶かされてる可能性もあるので見つかる可能性は低いですが。」


落ちてましたよ、なんて届けてくれるような奇特な人間は迷宮には居ない。

治安は最悪。

発見時に無かったということはつまりそういうことだ。


「あの、短剣とか、薬とか」

「そこになければないですねぇ」


正直自分が、ダンジョン内で貴金属や武器を拾ったとしても 売る一択なのでこれに関しては何とも言えない、安い武器に関しては所持ID登録(登録料がいい値段すぎて全部は登録できなかった)もしていないから追跡できない。


頭をかかえた。


組合の死亡保険で宿屋に泊まれるので、取り急ぎ困ってはないが、じり貧には変わりない。


「大変ご愁傷さまなのですが」


事務員の女性が声をかけてきた


「ご一緒に復活されたかたがいらしたら…」


ショック過ぎて忘れていた。もう一人復活できてたんだった。


「こっちに来るように」

「あ、はい言っておきます!じゃ!」


あおられている。


早く窓口に来させろ、という圧を掛けられている。


踵をかえして再度診療所に向かった。

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