縁その?? 血のツガイ

縁その?? 血のツガイ


 「ツナグ聞いたらあの噂?」


 「なんだよ木堂藪から棒に流石に中身の分からない噂なんて知らないぞ」


 「わりいわりい実は最近街はずれ洋館に吸血鬼の霊がてるらしい」


 「まて吸血鬼って人の姿に近いから見た目じゃ人間の霊か吸血鬼かわからんだろ」


 「その通りなんだがなんでも見たやつの情報によると、長いぱつきんの大きな胸にくびれた細い腰のぼんっきゅぽんのナイスバディで一目で人間じゃないと感じ取れる美人らしい」


 「ふーん想像つかないが、相当な美人なのはわかった」


 「そうなんだよ見たやつ全員男女も含めて骨抜きで、ひそかにファンクラブまであるらしい」


 「いわゆる魔性の魅力ってやつか」


 「あとそういう系の力があるやつによると、その美人吸血鬼の霊はえーにしやーとかいうのを探しているらしい。だからお前そのえーにしやーってやつ知っているか? 俺たちが学校中て聞いてるんだがさっぱりわからなくてな。親兄弟に聞いても鼻て笑われておしまいだから聞いてくれる奴らに聞いてんだ」


 ◇

 「ここか噂の洋館」


 「全く酔狂な奴め西洋の妖怪である吸血鬼と人の縁でも結ぶ気か、まあ上の者も楽しみにしている以上半端な縁では許さんぞ小僧」


 「そりゃ相手次第だよ流石に」


 そうついて俺は目の前のぼろぼろの洋館に視線を飛ばす。

 その洋館は明治あたりに建てられ二十年前までは人が住んでいたそうだが、主人が死に売りに出された直後に大地震で洋館の一部が倒壊して洋館の撤去費と新たな建て替えの費用の問題から買い手が長いこと付かず。

 今ではもの好きの肝試しの場と化し洋館の中はごみと落書きだらけらしいと木堂は言っていた。

 今では見る影はないが当時はさぞ立派てあったことはうかがえる。


 「じゃあ開けるぞ」


 『「さあ踊ろう今宵は僕と君だけけのダンスパーティだ」


 「よくこんなフロアをまあ魔法か何かだろうけど」


 「僕と踊るのは嫌かい? アレン」


 「滅相もございません。夜の美しき姫君私アレン・レンガードと一曲踊りましょう」


 「ふふ楽しもう僕の王子様夜はまだ――」』


 次に光が走る。

 目を俺が開けると


 「なんでこんなきれいなはずが」


 俺の目の前には豪奢な装飾のついた椅子やテーブル天井につるされた豪華なシャンデリア。

 そこかしこに建てられたろうそくがたくさん見える。


「惑わされるなこれは幻術の一つ西洋では魔法というな。妖霊になってもこれほどの力も持つ西洋妖下手に機嫌を損なうなよ。儂でも小僧を守り抜けるかわからん」


 「そんなことはしないよ! 僕は君と会うためにはるばるこの地に来たんだからね!」


 その言葉を追い視線補を飛ばすと階段からコツコツと足音が響き始め――

 その足はシミ一つすらない美脚チャイドレスのように大胆に切り込みの入れられたスカートのスリットから覗く足はそれだけで芸術品のように美しく――

 腰はくびれて細く――

 それに合わせて揺れる大きな胸は谷間が見えなくで男なら誰しも目で追ってしまうようなほど女性としての魅力の最高値のように見え――

 その上の顔と髪は女神というイメージの顔と髪を具現化してような絶景の美女――

 その金髪はまるで光を発っているように輝いている――

 なんて美人なんだだもう何も考えられない――


 「おい! 小僧おい! さっそく魅了の術にかかりよって! おい西洋の妖の小娘魅了を切れ話にならんぞ!」


 「すまないけど僕の魅了チャームは生まれつきの常時発動しているから、僕でも止められないないんだ」


 「仕方ない小娘。この小僧の持つ鏡に入れ小僧の家で話をきいてやる」


 「そんな鏡を持たせてどうするんだい?」


 「入ればわかる」


 「わかったよ。まあそれはいいげと魅了はどうするんだい?」


 「このまま術で寝かせて、さらに術をかけることで魅了の耐性を強制的に付ける」


 その晩夢を見た。

 『「あれ君は僕を見て何も思わないのかい?」

 「姉さんが吸血鬼だから? 僕お姉さんは怖くないよ本当に怖い人たくさん知っているから……」

 「そうじゃなくて……これ嘘ついていないな……君気にいったよ! 君は僕が追い求めてきた存在かもしれない! 僕はスカーレド・ブラット吸血鬼の祖の孫であり真祖にもっとも近い吸血鬼さ」

 「僕はアレン・レンガードよろしくね! スカーレドお姉さん」

 「ああよろしくアレン」』


 「起きたか小僧すでにお主に魅了は耐性をつけたさっさと解決するぞ」


 俺が意識を取りもどすと縁の鏡から先ほどの吸血鬼が飛び出してきた。

 確かに言われてみれは先ほどと違い見ただけで恍惚になる様子はない。

 これなら話が聞けそうだ。


 「話を聞いてくれるんだね。僕はスカーレッド・レンガードかつて真祖にもっとも近い吸血鬼だったものさ」


 「でその真祖吸血鬼がどんなようなんだ?」


 「それは僕のツガイとあいたい」


 「当然もう死んでいるんだろ? なんで会いたいんた」


 「最後にあいつの血を吸ってこの世から消えたい。その思いだけで僕はこの百年世界中を旅してきた」


 「なあ妖神様吸血鬼は魂になっても血が吸えるのか?」


 「普通は不可能だが死してなお下級の神に匹敵する力を持っている以上可能だろう。流石に眷属とやらは難しいだろうがな」


 「わかった協力はしてやるただしそれに至る経緯を教えてくれ」


 「ああわかった僕とアレンの出会いは美しい満月の夜だった。僕は色濃く真祖の力を受けついたせいで、男も女も同族でさえも魅了してしまう力を生まれついて持っていた。父と母がいたときは僕は魅了の力なしに愛してくれる相手はいたが二人ともヴァンパイアハンターに殺されてしまった」


 『「スカーレッドお姉さんなんで僕をスラムから連れ出してこんなお屋敷に住まわせてくれるの?」

 「僕は君と同じ一人ぼっちでアレン君だげがありままの僕を見てくれるからだよ」

 「ふーん。よくわからないけど僕スカーレッドお姉さんとずっと一緒にいたい」

 「じゃあ少しだけ血をくれるかい? 野鳥の血は飽きてきたからね。お肉は僕が料理してあげるよ」

 「わーい! やった僕スカーレッドお姉さんの料理大好き!」

 「ふふそれはよかった暇つぶしに百年人間の料理の勉強して良かったよ。僕の体は血しか受け付けなくても料理の味は感じられるからね」

 「スカーレットお姉さん僕が大きなったらお嫁さんになってよ!」

 「大きくなっても同じ気持ちならね」』


 「僕はアレンと共に過ごした日々が一番幸せたっだ。長い間ずっと僕を一目見て虜になったもの達に追い回され、薄っぺらい愛の言葉を浴びせられどれだけ拒否しても誰も諦めない。そんな地獄に死さえ選ぼうとしたけど。僕の真祖の血がそれを許さない。そんな時アレンと出会ったんだ」


 『スカーレッド姉どうしたんだいきなり泣き出したけど」

 「この生活が幸せ過ぎてつい涙が……」

 「スカーレッド姉俺は死ぬまで一緒にいるよ。たとえ俺が吸血鬼になれなくても魂は常にスカーレッド姉と一緒にいるよ」

 「ああ、頼む早く私ともに悠久の時を生きてほしい。そしてもっと大きなったらアレンとの約束をかなえよう」

 「なあスカーレッド姉俺小さいころどんな約束したんだ? いろいろあってどれがわからないんだが」

 「ふふ、それはお楽しみだよ。僕が一番うれしかった約束さ」』


 「そして僕たちは森の奥の屋敷で二人で幸せな時を過ごした。アレンが十八になる数日前」


 『「アレンあと一回君の血を吸えば君は僕と同じ真祖の力を継ぐ吸血鬼になる。もう二度と太陽の下の世界には戻れないそれでも僕と一緒に生きてくれるかい?」

 「当たり前だよ。スカーレド姉俺はスラムで一人のたれ死ぬところを助けてくれたのはスカーレド姉だよ。俺の唯一の家族で未来のお嫁さんと一緒に生きることはことわらないよ」

 「ふふ嬉しいこといってくれるね。今すぐそうしたいげとこれは満月の日にしかできない。あと数日だよ」

 「ああわかったよ。スカーレド姉が寂しくないように沢山子供を作ろう」

 「うん! 一杯産んで幸せ家族というのもいいね! とても楽しそうだ!」

 「だろ! 絶対そうしよう! スカーレッド姉」』


 「そしてアレンを眷属する日。僕を追い求める吸血鬼一族とヴァンパイヤハンターに屋敷を襲撃されて、僕はアレンを遠くに転移させ、全ての力で奴らを吹き飛ばしてこの身になった。ここに至るまでアレンを探し回り世界を旅をした。いつしか百年二百年時は過ぎせめてアレンの痕跡を求め旅をした。それは見つからなかったが世界は美しかった。生きている頃は肌と肉を焼く太陽の輝き地平に沈む夕日美しさ地平から登る太陽にてらされる朝露をまとい宝石のような新緑の木々、砂の海に、町すら飲み込む大滝。太陽の下の世界とはアレンに聞くよりも何倍も美しかった。そしてここ百年で芽生えた気持ちが、最後にアレンの血を吸いこの世界から消えたいという気持ちだ。常にアレンの魂に見守られてていると感じても僕はもうこの世界か消えてアレンも元に行きたい。でも僕の力が普通の方法で天に上ることを許してはくれない。それができるとしたら僕と最も近しいアレンの血だけなんだ」


 「なるほどところでそのアレンさんの遺品か何か持っているのか」


 「それは――」


 「馬鹿たれ妖霊が人の遺物など持っておるわけがあるまい」


 「確かにならどうする妖神様?」


 「こういう時にうってつけの奴がいるしかし供物が必要た」


 「供物の内容によっては無理だぞ」


 「何お前がよく食う芋の薄揚げ数袋でもくれてやればよい。さっさと買ってこい」


 「わかった」


 ◇

 「ほら買ってきたぞ。ポテトチップストリプルコンソメ味とミートミートチーズ味と旨海苔塩味」


 「よし戻ったな。今からやつを呼ぶ読んだらさっさとそれを渡せはぁ!」

 

 妖神様が気合を入れると。


 「なんだこりゃ光の玉?」


 白い光の玉が現れた


 「こいつは対価と引き換えに願いを叶る天界の便利屋の窓口のようなものだ。こいつの中にそれを入れろ生き物以外の物しか入らんから触っても問題はない」


 「まあそいうなら」


 俺は買ってきたポテトチップス全て入れたすると


 「なんだ? 光りだしたぞ?」


 白い光の玉が光りだした。


 「願いをかなえてくれるようだな」


 「えっ? まだ願い言ってなくないか?」


 「まあ心配することはない仮にも神の眷属だ。対価にふさわしい働きはする今回の件程度ならこれで十分なはずだ」


 「中々雑な便利屋だな」


 「ほう今回はこう来るか、西洋の妖の小娘今回は直接アレンとやらに会える手筈となった。しかし通常永遠に戻れるわけではないと心にとどめておけ」


 「それってどういう」


 俺が言い終わる前に次に光が走った。


 「なんだこりゃ体透明に」


 「小僧黙っておれ今回の結末だ」


 『「ついにこの日が来たね僕もドキドキしてきたよ」

 「俺もだよスカーレッド姉。吸血鬼か一体どんなことになるのか想像もできないよ」

 「まあ慣れれは悪くないものさ。じゃあいくよ」

 何かが破壊される轟音が響いた。

 「何の音だ? 玄関のほうだ」

 「くそ!? こんな時に同族の襲撃とか嫌味なのかな僕がお仕置きしてなっ!?」

 「どうしたのスカーレッド姉!」

 「まさかヴァンパイヤハンターと同族が組むなんてありえない……アレンは僕が転移させる。僕と一緒ではきっと見つかる。今気づいたけどどうやら僕を探し出す大規模な術が広範囲にかけられているようだ。まさかここまで巧妙に気づかれる事もなく完全予想外だった。君は安全などこかにいてくれ僕が生きていたら絶対に見つけるから」!

 「スカーレッド姉俺も戦うよ」

 「ふふダメだよ。僕は君を失ったら正気を保てなくなって、関係ない人たちまで襲う悪い吸血鬼になってしまう。君と過ごしたときを嘘にはしたくないんだ」

 「それでも俺はスカーレッド姉が大好きなんだ一緒にいたい!」

 「お姉さんを困らせないでその気持ちは最高にうれしいよ。そして最後の我がままだ僕に君の姓を名乗らせてほしい。僕は今日からスカーレッド・レンガード君のお嫁さんさ。どこかで幸せでいてくれそれだけで僕は――」

 「スカーレッド姉――」

 「さあ来い僕の全てを使っても君たち全て吹き飛ばす。せめてアレンだけには手を出させない」』


 「どうした小僧呆けて」


 「いやなんでもない」


 「アレン? アレンなのか?」


 スカーレッドは目の前の銀髪の青年にそう語りかける。

 すでに日が昇り始めていた。


 「その声はスカーレッド姉どこにいるんだ?」


 「ここだよ」


 その言葉に辺りを見回すアレンの前にスカーレッドが透けた体を現した。


 「スカーレッド姉その姿は……」


 「ごめんね……そういうことなんだ……僕は最後の別れを言いに来たんだ……」


 「そんなスカーレッド姉……」


 「最後に君の血を吸わせてほしい……それで僕は解放される……」


 「わかったよ……スカーレッド姉……」

 

 アレンは首を晒した。

 次にスカーレッドはそれにかみつく。


 「これが最後の君の血の味か……なっ!? 何をしているんだアレン!」


 「俺はスカーレッド姉の眷属になるそして一緒に天に上る」


 「馬鹿なことをするなアレン! 僕たち人の命を吸ってでしか生きられない生き物が天国になんて行けるわけが!」


 「それでも俺はずっとスカーレッド姉さんが大好きなんだ! 大好きな人と一緒なら地獄にでも俺は喜んでいける!」


 「はは……馬鹿な子だね……全く……大好きだよアレン! いけるかわからないけど共に行こう……」


 「ああ……一緒に行こう姉さん……生まれ変わったら今度こそ結婚しよう……」


 「ありがとう縁屋さん……」


 「姉さん縁屋って……それはいつでも聞けるね……ずっと一緒だよ姉さん……」


 二人は最後に口づけをして太陽に照らされると砂となり砕け散り――

 その欠片は突然吹いた風に全て吹き飛ばされてしまった――

 それは砂というよりも宝石――

 二人の愛で構成された愛の砂という宝石――

 その砂が光り輝かなくとも俺の目には光り輝いて見えた――

 これほど美しい宝石という砂ならばきっと天も受け入れてくれるただそう思えた――

 こうしてスカーレッドとアレンは天に旅立った――


 「それにしても妖神様なんで二人は共に行けたんだ? ずっと過去にはいられないじゃないのか?」


 「それはあの小娘が強い力があったからだその力を対価に天に共に昇ったのだろう。西洋の妖も侮れん真祖とやらは興味深いな」


 「そうか」


 「これだけでいいのか?」


 「これ以上は野暮ってもんだろ」


 「まあその通りだな今回は部屋の中で全て終わって楽だったな。今度もこれで頼むぞ」


 「俺に言われてもな」


 そうして日常に戻りつつある意識でこれからの二人の生末を想い絵描きかけたがすぐにやめた――

 これだけ思いあう二人を無下にするほどなら天界は俺に縁屋などやらせはしない――

 これまで結んだ縁がその程度ならなら俺は縁屋をやめるべきだろう――

 そう思い次の縁に俺は想いをはせた――

 まだまだ縁は続いていく――

 次の縁がどのようなものかわからないけどよい縁だといいただそう思えた――


裏話

真祖の吸血鬼とは吸血姫に生まれた突然変異し強大な力をもつ吸血鬼

その強大な力は山を削り海を割る天敵である太陽の下でも普通の吸血鬼では灰になる時間の倍以上活動できる

そして強い肉体再生能力を有しその身は同族含む肉親以外の高い知性ある生き物の男と女を魅了する力が常時放たれている

そのため幼いころ両親を亡くしたスカーレッドは同族と人間に追い回され続けていた

幸いなことに両親はその時を見越し生きる素手をなくなる前にスカーレッドに全て叩き込んたダメ何とか逃げ回ることができた

何度も死のうとしたが強い再生能力により続く痛みに耐えきれず自殺はやめた

その時アレンと出会う

アレンは生まれつき魅了に耐性がある人間でスカーレッドはアレンこそが求め続けた存在と悟り彼を育て眷属にしようとともに生活をしていた

そして運命の日

アレン転移させて彼女を狙うヴァンパイヤハンターと同族を全ての力で吹き飛ばした

あたりには何も残らず現代でその理由を知る者はほとんどいない

そしてアレンを探すスカーレッドの日の下での旅が始まりこの話に繋がる

そして転生した二人が出会う学生生活の物語はここでは語らないとしよう


次回予告本編最終回

縁その?? 永久の愛の燃える花びら

友人の知人が目撃例を頼りに山に訪れた縁屋

そこで不死鳥と出会い

一人の男の顛末を知りたいと依頼される縁屋

そして語られる男とのいきさつ

そして少しづつ明かされる真実

男を思うがゆえ男と別れた不死鳥

そんな彼女を愛した男

壮大な二人の愛の顛末は?

そして二人の結末はいかに相も変わらずの濃厚なドラマが君たちを待っている

君の君たちの心へ感動を――

ただそれだけだ――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る