縁その?? 永久の愛の燃える花びら
.縁その?? 永久の愛の燃える花びら
「おいツナグ聞いたか?」
「何がだよ。木堂」
「フェニックスだよ! フェニックスだよ!」
「なんだそりゃ海外の有名バンドか?」
「違う違う本物の不死鳥! フェニックスだよ! 。死んでも炎から何度でも蘇る伝説の鳥!」
「それがなんなんだ?」
「じつはこの町に出たらしい」
「ふーん! 凄いのかそれ?」
「すげーなんてもんじゃねーよ! 世界各国で目撃例と数枚の写真と動画があるんだが、それが最近創作でないと判明してな。とある国に金持ちが羽一枚日本円で一億の値をつけて探しているらしい。サイトはここな」
といってスマホを見せてきた。
そこにはやけに詳細に書かれた不死鳥の情報と現在伝承などで判明している生態などが事細かに書かれていた。
「なんだこの本気度。その手の詐欺サイトなら細かいところは手を抜いて細かいところみようとするとトップページに戻されるもんだか、これは今のところなら繋がっているリンクのページも本気度も高いし」
「だろ? だから俺の先輩がこの町でフェニックス見かけて、スマホで取った写真の証拠つけてそのサイトに送ったら数日後連絡来て先輩の情報提供料に数十万くれたらしい。このサイトによると捕まえたら日本円で一千億出すとか書いてあるしな。くう! 男のロマンだぜ!」
「なんでまたこのサイトはそんなにフェニックスが欲しいんだ?」
「さあなサイトには書かれていないし、まあ羽一つでもどんな人間の難病奇病を一発で癒し、その血を飲めば不老不死になれるとかいわれているからじゃね」
「羽は分からんが、血は絶対嘘だろ。常に火が体ついて平気な生き物の体内の血なんて飲めば腹壊す以前に胃が焼かれちまうだろ。不老不死の前にお陀仏じゃん」
「まあ確かにそんな常に火が体ついたとんでもない生き物の血がそう簡単に冷めるとは思えないし、冷めたとしてもそんな得体のしれない生き物の血がいつ飲める程度に冷めるかわからんし冷めても固まって飲めなくなるかもな。まあそれでもそんなとんでもない生き物の血を飲めば不老不死なれるかも、というワンチャンかけたいもの好きに売るのかもな。というわけで今日不死鳥ハントに行こうぜ!」
そして放課後俺は近くの山にいた。
木堂が不死鳥を目撃したという場所が、海外の妖やそれに近い存在が縁屋にコンタクトを取るために訪れるという場所周辺だったからだ。
俺はその話を聞いたピンと来て木堂の話を断りその山に向かっていた。
「さてここらへんだと思うが……」
俺は妖神様の言葉を頼りに山の中腹にある一本だけ群を抜いて高い松の木の下に来ていた。
「おーい! 不死鳥! 俺に話があるんじゃないか?」
静寂に包まれる。
しかし不思議なことに秋の山だというのに虫や鳥の声一つさえ聞こえない。
「ビンゴ……確実に何かいて俺の様子見ているな……俺は縁屋! 人と人ならざる者の縁をつなぐものだ!」
「お前が縁屋か私は不死鳥の
と不死鳥が現れたが予想外に神々しい見かけの鳥だ。
全身についた炎は赤よりも金の割合が多く太陽の化身という伝承もうなづける。
「すまないが山の木々が炙られて煙だしているから、山火事なる前にもう少し話しやすい姿になれないか?」
「分かった。久しぶりの人間との会話で失念していてな」
と不死鳥は赤い炎に包まれるとぽとりと下に落ちると、そこには真紅の髪と瞳のドレスのスタイルのいい女性がいた。
その顔はとても整っていて凛としている。
「声で何となく察していたが女性か……とりあえずこの鏡に入ってくれ、お前を探している奴らがこの近辺に集まっているからな。俺の家で話を聞こう」
「奴らの子孫か……まだあきらめていないようだな」
俺は意味深な言葉を言う焔を縁の鏡に入れ家に帰った。
「妖神様! いる?」
「来たか待っていたぞ。新たな縁だな?」
「そうだけど。妖神様毎回縁の話のいつも家にいるけどどうしてんの? 流石にタイミング不自然にドンピシャすぎるんだが」
「何簡単だ。儂は縁屋の補佐役を申し付かったとき縁の気配を感じられる力を賜っておる。その時家かお主の近くにいればいいだけだ。見逃したら厳重注意と最悪神位の降格もありうるしな」
「なるほど焔縁の鏡から出てきてくれ依頼を聞きたい」
「分かった」
「ほう不死鳥かしかも本来ないはずの名前付きか」
「その通りだ。私に本来名前はない。この世界が存在する限り何度でも炎からよみがえるが、個別の名前は必要としていない。私の名を呼ぶものがいたとしてもこの世界の終わりまで持つ存在ではないからな」
「じゅあその名前を付けられた経緯と依頼を頼む」
「私はあと数日で消滅する。当然私は不死鳥この世界が存在する限り何度でも炎から転生し続ける存在。しかし、人格は定期的に消滅と再生を繰り返している。つまり私の人格の消滅が近いのだ。私の依頼とは私に名をつけた男の顛末を知りたい」
「不死鳥なのになんで人格は永遠じゃないんだ?」
「この世に永遠など存在しない。人からすれば私の命の終わり世界の終わりの時は果てしない永遠に見える長い時だが、有限の時間だ。その長い旅路は例え不死鳥たる私の精神でも同一の人格で耐えきれるときの長さではない。故に定期的人格は肉体共に消滅と再生を繰り返している」
「なるほど確かにそんな途方もない時間どんな存在も耐えられないな。それが地上に生きる生き物ならもっともだ」
「儂ら神よりも不死鳥のほうが長く生きるのはままあることだ。多くの神はその前にこの世に飽いてしまう。飽いた神はこの世を去りそれまでの功績を使い次の生の道にゆくのがほとんどだ。だからこそ儂ら縁屋は退屈しのぎの現世から生み出される新鮮な娯楽として長年神々に愛されておる」
「なるほどじゃあ焔頼む」
「あれはつい最近だ。いや人間の時間でいえば長い時か……人間の時間でいうところで数百年前くらいだな。その時の私はお気に入りの巣を見つけ暫く留まって生活していた時だ――」
『「おい! 不死鳥羽よこせ!」
「なんだ騒々しい。うるさいガキめ」
「鳥がしゃべった!?」
「何をおかしなことを言ってている? 世界の始まりから生物の生き死にを見続けた私の魂には、ありとあらゆる生き物の言葉が染みついている人間の言葉を話すなど造作もない」
「不死鳥すげー……じゃなったいいから羽よこせ!」
「また私の羽に病気を治す力があるとかいうほら話を信じた馬鹿かか? 私が前の私から炎の中から転生して数万年以上たつが一度たりとも私の羽は抜けたことはない。よって真偽もわからないほら話だ。私の羽に病をいやす癒しの力があるかは知らんが、確かめたことも一度もないしこれから確かめるつもりもない帰れ」
「それでも羽よこせ!」
「まあいいだろう。私を捕まえて羽をむしれたらいくらでもくれてやる」』
「最初は私は戯れに暫く付き合ってやればすぐ諦めるだろうと思っていた」
『「不死鳥羽よこせ!」
「またきたか飽きないなお前」
「飽きるもんか! 僕は絶対お前の羽を手に入れるんだ!」
「全く人間とは愚かだ。私の羽が大金に代わると聞けばすぐ欲に溺れる」
「あえて否定はしないけど今日はこれだ!」
「ほう弓矢は諦めたか」
「まああんな簡単に焼き尽くされるばね……じゃないくらえ!」
「ふむ! 竹の中に何か詰めたか面白い食らってやろう」
「やった当たった! どうだ不死鳥の炎を消す月の夜に集めた朝露の味は!」
「お前な……そんなもんで私の炎が消えるわけがないだろう……失望を通り越して逆に面白いくらいだ」
「くそ-また明日来るからな!」』
「奴はそれから毎日のようにありとあらゆる手を使いり私の羽を取ろうとした。投網投石弓矢泥団子縄水全て私の炎で焼き尽くしても一向に諦めない。その無様さに私はそいつに興味がわいた」
『「小僧なんで私の羽を欲しがる?」
「家族の病気を治すためだ!」
「そうかだがそれは本来天命だ。私と何の関係がある?」
「それでも―― 」
「なら一つ教えてやるかつて私は戯れに人間に血を与え飲ませたことがある。確かどこかの国の王と名乗っていたか」
「その人はどうなったんだ?」
「当然のごとく死んだ。私はそうなるからと何度か止めたのだがな。あまりにしつこく言うのでくれてやったらその場で飲み干し火柱を上げた。羽も似たようなことになるだろうな」
「それでもよこせ! 後僕の名前はリークだ!」
「ふーんそうかガキ」
「どうせ私に名は名前がないとか言いそうだからお前にも名前を付けてやる!
「またどうでもいいことを……私に名など必要はない勝手にしろ」』
「それからリークとの奇妙な関係が続いた。何を言っても羽を欲しがり、くれたところで灰になることは分かりきっていたのでくれてやりはしなかったが、リークが青年になったときあることを思いついた。それは私が人の形をとりからかったら面白いのではないかということだ」
「おい! 落ちが読めたぞ!」
「しっ! 妖神様!」
「なんだぼそぼそと……話を続けるぞ。そう思いついた私は、リークの体に私の炎の切れ端をつけ家に帰ったところを見計らい奴の家を訪ねた」
「炎の切れ端なんて付けて大丈夫なのか? 羽だけでもやばい感じなのに……」
「話の腰を折るな未熟者。不死鳥ともなれば一時自身の炎の熱を下げることなど造作もない。体温も同じだが灼熱の血は無理だがな」
「奴の家に着いた私は炎の切れ端を極小の粒にして回収し昔見た姫と名乗る人間の容姿と服を参考にし、人の形と服を形どりとりあえず戸をたたいた」
『「リークはいるか?」
「はーいどちら様ですか?」
「私は焔という」
「誰ですか?」
「貴方が兄の友達の焔さんですか? 綺麗な方ですね。私はリークの妹のリナです」
「そ……そうだね。リナに紹介するよ! 僕の友達の焔さん!」
「お噂はかねがね。兄より聞いています。ともも美しい方とは聞いていましたが、まるで伝説の不死鳥様の化身ような方ですね。きれいな赤髪と真紅の目兄にはもったいない美人さんです。
「ちょっ……リナ」
「何言っていですか兄さんやっと来た春なんですよ」』
「私はリークが気づいたと感じでいつ言われるかと思っていた。しかし、奴は最後まで私の正体について何も言わなかった」
「それからどうしたんだ?」
「それから数年奴の家に定期的に尋ね最後は私から別れを告げた」
「おい! それではわからんぞ!」
「これは言いたくない私にそんな資格はないのだからな……」
「まあまあ妖神様、で具体的に焔はどうしたいんだ?」
「それは私にもわからないこんなこと私も初めてだからな」
「またこの流れか毎回毎回話が長い! 小僧は飯食って寝ておれ! 儂はこやつと酒を飲みに行く! 酒の席なら口も軽くなろうよ!」
「私は酒は飲まん」
「なにをいっとる不死鳥も飲食はできるだろ?」
「飲食は可能だが、そもそもの話私が酒を飲むことは禁じられている」
「つまらん奴だ。縁の鏡に戻っておれ! は寝ている間に火事にされても困る! 儂だけで酒は飲んでくる! 明日になったらさっさと解決するぞ!」
「分かった」
と縁の鏡に焔が戻ると俺は恒例となった遅めの夕食を取り床についた。
縁屋の話が来るたびにこのパターンだが母は一切疑問にすら思わない。
流石妖神様の神術といったところだ。
『「焔さん本当にクールできれいですね」
「そうか」
「そうですよ。焔さんみたいな人が本当のお姉さんになってくれれば、足の不自由な私も安心できるのですが……」
「こらリナ焔さんを困らせないで」
「ごめん兄さん。あら誰か来たようですよ?」
「はーい」
「誰だったんですか?」
「またあいつらだよ」
「あの噂の不死鳥様を捕まえようしている悪党たちですか?」
「うん。そうみたいだ。不死鳥が長らく巣に帰らないからこの近辺に潜伏していると思って探しているらしい」
「この地域は何百年も不死鳥様に守られてきたのになんて罰当たりな」
「守った覚えはないがな」
「不死鳥様について詳しいんですね。焔さん」
「まあな」
「なんでも奴らは不死鳥を捕まえるために近々軍隊を派遣するらしい。何もなければいいが」
「不死鳥よ! この二人の命が惜しいなら血と羽をよこせ!」
「いいだろうくれてやる! まずは羽だ!」
「やったぞ! 不死鳥の羽をこの手に! これで我れらが王たる始祖から続く一族の悲願が――か……体が燃え――ぎゃ~~~~~~~~!?」
「あんな大群の兵隊が一瞬で焔さん……やっばり……」
「リーク……リナ……お別れだ……」
「焔いかないでくれ! 僕は君のことが!」
「焔さんの羽から涙が……」
「私がいてはまた同じ輩はいくらでも現れよう……さらばだ……」』
「ツナグ朝よ」
「うーい! 帰ったぞ!」
「妖神様朝帰りかどうするんだ。この様子じゃ焔はリークさんの持ち物なんか持っていないだろうし、縁の鏡じゃさがせないぞ」
「だから飲み友達からこいつを譲り受けてきた! こいつは痕跡石といって手にしたものの力の痕跡の残滓を辿れる優れものだ! ついでに占ってもらったが、その不死鳥の炎の痕跡は現在この日の本に来ているらしいぞ!」
「焔起きているか出てきてくれ」
「話は聞いていたその痕跡石を貸してくれ」
「あまり力を籠めるなよ握るだけでよい」
「こうか?」
と焔が痕跡石という緑の石を握ると緑の光が放たれた。
「ではいくぞ! 儂に乗れ! 小僧と不死鳥よ!」
「わかった。うっ――」
妖神様に二人で乗ると頭に映像と音声が走った。
『「また人間か懲りないものだ。だが立った一匹のガキ万の軍勢の矢の雨よりは簡単か、ここは久しぶりに見つけた心地の良い巣。何人たりともこの巣を壊すことは許さない」
「全く不思議なガキだ。私に敬意を払うわけでもなく敵意を向けることもなく、純粋に私の羽が欲しいその欲だけで私を狙い続ける。中々いい暇つぶしになりそうだ」
「今日は私の血を欲し飲み干した男のことを教えてやった。羽も同じといったのに羽をよこせとか言い出す。ますます面白いやつだ」
「今日はやつリークに名前を付けられた焔という名前だ。なぜかしっくりきて、思わず羽でもくれてやろうかと思ったが、リークがその場で灰になる光景を考えると何故なくれてやる気がなえたのいつも通りの対応で追い払った。その日のまた来るというリークの言葉になぜか私は安堵した」
「何かがおかしい。リークとの会話が楽しすぎる人間との会話とはこれほど面白いものなのか? 今までの人間との言葉のやり取りは羽と血をよこせか、信仰の対象として守護を懇願するものばかりだが、これが人間の友恋人の感じる気持ちなのだろうか? そもそも子孫を作れず共に私と同じ時を滅せず生きる存在のいない私にはわからないな」
「そんなやり取りを繰り返しているいつの間にかリークは大人になっていた。その時私は思いついた。この姿でのリークとの会話が面白いなら、人の姿ならさらに面白いのではないかということだ。そう思った私は人の姿を取ったどうやら私は雌だったらしい。昔見た姫とかいう人間の雌のひらひらした服を炎で形成し体温も人並みに落とした。そして奴の家に押しかけ奴のつけた焔と名乗った」
「拍子抜けだったリークは明らかに気づいたようだが、妹のリナはすんなり私を受け入れリークが家で私のことを何と語っていたか教えてくれた。その言葉に何故は私は嬉しくなった。太陽の化身としてあがめられ多くの人間に褒めたたえられた言葉よりもリークがリナに語った言葉が嬉しい」
「おかしいやつの家入り浸り始めて数年一向にリークは私の正体について何も言ってこない。それどころか私と目が合うと顔を真っ赤にして顔をそむける。なぜかそのたび可愛いと庇護欲が芽生えるなんだこの感情は」
「ついに終わりが来たようだ。私の居場所をどこかで聞きつけた軍隊がこの町に攻め入り占拠し、二人を人質に取り私の血と羽を要求してきた。どうやらかつて血をくれてやり火柱となり灰となった人間の王の血族らしい。その行為に怒りが爆発した私は私の羽を一本くれてやった。それを掴んだ男は炎に包まれその仲間たちの同じく火柱を上げた。本来の私の炎の熱は私以外すべて燃やし尽くす業火。だからこそ私はリナに私の羽をくれることは今までなかったのだ。別れを告げ飛び立とうする私にリークの言った言葉の続きは手に取るように分かった。認めよう私もリークと同じ気持ちだ。だがその思いを受け入れてもリークは私の生についてこられない。目の前でリークをなくしたら私はどうすればいいのだ……そう思うと涙があふれてでしまう私はそのまま天に羽ばたいた。涙はとめどなく流れ涙のかけらの落ちた下の荒地は緑豊かな森に代わった」
「私は次の転生の時までマグマの中で眠りにつくことにした。そしていつか目覚めたときリークとリナの顛末を知れればそれでいい。夢の微睡の中で見て二人との穏やかな日々は、この人格として転生し数万年の時の中で一番価値のあり濃厚な時間だった」』
「ついたようだぞ」
という妖神様の声で正気に戻るとそこは何かの展示をしている会場のようだ。
「リークホムラ展……これって」
「そのようだな覚悟はしておけよ。不死鳥よ」
「ああ」
そして俺たちは監視カメラの映像に映らないように術をかけられ中に入った。
その展示会場はまだ準備中で人の影はなかった。
「何々リークホムラとは恋愛小説の先駆者であり、作品発表から数百年たつ現在でも根強い人気を誇る小説家である。大きな特徴として不死鳥をテーマにした作品を多く世に残している。そのペンネームの由来は現在も判明していない。だって」
「リーク……」
「まて! とうやらこの先が一番強く反応しておるぞ!」
その妖神様についていくと。
「日記かなボロボロだけど……何々リークホムラの日記といわれているが発見時の保存状態がよくなく。未だ中身はなぞに包まれている」
「間違いない! リークのものだ!」
「落ち着け騒ぎになるのは困る。小僧縁の鏡をかざしこう唱えよ【縁の鏡よ縁を収納せよ】だ。これで縁の情報は縁の鏡に入り自動的に再生される」
「縁の鏡よ! 縁を収納せよ!」
と唱えると日記から光が飛び出し縁の鏡はいり映像が投影され始めた。
『「今日長らくこの地域を守護している不死鳥の住まう岩山にいった目的は全ての病をいやすという不死鳥の羽だ」
「とりあえず威勢よく羽をよこせというと鳥が喋りだしたなにそれ凄い」
「そして不死鳥を追い回しているうちにこの神々しくきれいな姿をもっと見たくなり連日通い詰めた。当然手にいられるとは思ってはいなかった。だから妹の病気のことは言わず不死鳥を追い回してなぜかよく分からないがとても楽しい」
「それから暫くして不死鳥の血を飲んだ王様の話を聞いて僕は青くなった。これが本当なら不死鳥の羽を手にした瞬間僕は消し炭だ。足の不自由な妹の家族は僕だけしかいない。僕が成人したら町からの援助がなくなりご飯が食べられなる。その時妹一人残れれば考えたくない未来しかない。僕はそれでも不死鳥を追い回すことにした。だって楽しいし、どんな宝石よりきれいだから」
「僕が成人して仕事が決まり不死鳥のところに通う頻度が少なくなると、なぜか不死鳥から話しかけられることが多くなった。寂しいのかなまさかね」
「ある日僕が名付けた不死鳥と同じ名前焔と名乗る肌以外全身真紅の美女が僕を訪ね家を訪れた。混乱する僕に対し妹がすんなり受け入れこの美女が不死鳥だと気づいて話を合わせた二人は楽しそうに語り合っていた。不死鳥の表情はほとんど変わらないがなぜか楽しそうと感じた」
「それから毎日のように不死鳥は僕たちの家を訪れ、時折木のマキより長持ちする黒い炭という物をくれた。そのおかげて煮炊きの牧代が浮いて、生活が楽になり仕事で留守にしている間も妹は寂しくしないで済んでいるようだ」
「駄目だ完全に焔を好きになってしまった。僕の料理を絶賛する姿も妹と語り合う横顔もきれいで魅力的だ。妹もなついているしこんな幸せが続くといいな」
「この国もきな臭くなってきたようだ。噂の不死鳥を狙う遠い国の軍隊が迫っているらしい」
「ついにその時が来てしまった。自国の兵隊の何十倍もの軍隊に囲まれこの国の国王は戦わず降伏した。僕たち二人は焔をおびき寄せるえさとして町のはずれにある荒野に連れてこられた。どうやら荒野に連れてきた軍隊の全軍を集めているらしい。そして現れた焔は一本の羽をその軍隊の将軍に与えた。すると将軍と仲間の軍隊の人たちが火柱を上げ灰となった。僕たちのもとから去ろうとする焔を止めようと気持ちを打ちあける前に彼女は飛び去ってしまった。すると彼女羽から涙があふれれだし草木の生えない荒野は花畑に代わった。僕はその羽を掴み優しく抱き妹も共に抱きしめた。すると彼女の羽は光を放ち光の粉となり消えると妹は動かないはずのその足で立ち上がった。僕はその時気づいた彼女の羽が人を癒せる条件を」
「それから彼女の飛び立った方向の荒れ地は緑あふれる一本線に続く森となり、僕は物語を書く仕事をはじめた。最初は上手くいかなかったけど彼女との楽しい生活を思いながら作品を書き続けた。いつの間にか僕は国一番の物語を作れるようになり、外の国からも製作の依頼が来るようになった。僕は焔とのできないかった事柄を物語にしてきたけどそれが多くの人の心をつかんだらしい」
「僕は僕の中の彼女への想いが尽きるまで作品を書き続けようと決めた」
「それから数十年たった。妹が結婚しこともができ成長し孫ができても僕は書き続ける」
「さらに十年の時が過ぎ妹が愛する家族に手厚く葬られても僕は書き続けた」
「そしてこれが最後の日記の言葉になる予感がする。まだ一つ作品を書き上げていないのは心残りだけど。焔ありがとう。僕たちに幸せをくれて、僕は君をずっと愛している。また会おう世界で一番大好きな女性焔――」』
「リーク!」
焔の目から大粒の涙があふれ出す。
「なんだ光り始めたぞ?」
「どうやら不死鳥が不死鳥であることを拒絶しているようだ」
「どうすればいい?」
「そんなものは縁屋なら決まっておろう力を与え手助けすればよい」
「そうか妖怪石か! 汝らの縁に力を分け与える!」
すると焔光に包まれ球体の卵らしきもと分離した。
「ありがとう縁屋。これで私はリークの元へ行ける。礼だもらってくれ私の羽だ。私の熱の力は抜けているこれを使えばいかなる病をも癒すだろう」
俺の手に真紅の羽が一枚降りた。
「またリークさんと出会えればいいな」
「ああさらばだ」
そういうと焔は炎のような光に包まれ光の火の粉を残して消えてしまった――
その火の粉はきらきらと光りまるで炎の燃える花びらに見えた――
その花びらは宙を鮮やから飾り立て儚く消えてしまった――
きっと彼女の残した火の粉は彼女のリークへの愛の炎――
不死鳥という永遠を生きる彼女への最後の 手向け――
不死鳥が永遠のように二人の愛も永遠――
彼女の最後を飾る光の火の粉の花びらは二人を祝福し再び巡り合うための二人の永遠のかがり火――
ここまで綺麗なかがり火ならきっと二人は迷わず出会えるそんな気がした――
「それにしても不死鳥が卵に戻るとは前代未聞だ」
「そういや結局妖怪石で焔に何が起きたんだ?」
「奴の人格だけが昇天して輪廻の輪に乗り残った体が卵となり再び新たな不死鳥になるだけだ」
「そうかじゃあこの卵はどうするんだ?」
「儂が後で火山の噴火口に投げ入れておくそれで暫くすれば孵化するだろうよ。前ほどの知能を得るに来長い時が必要だが、そもそも地上にあるもので不死鳥をとらえることなどは不可能だ。特に問題はないだろうよ」
「新しい不死鳥にも焔のようないい出会いがあるといいな」
「何を言っとる不死鳥の命とこの世界の命は繋がっておる。仮に先に不死鳥が完全に死ねば道づれでこの世界の命も尽きる。まあありえんがな。また変なことが起きれば最悪世界は滅ぶぞ」
「きっと大丈夫だよ」
「また甘いことを! 未熟者め!」
俺はそう確信めいたものがあった――
あんなにリークを愛していた焔と同じ存在なのだ――
そんな彼女ならきっと存在のどこかでこの出会いを覚えている――
そんな彼女が再びいい出会いをしないなんてありえないのだから――
裏話??
不死鳥の血はものすごい高熱なので体外から流れ落ちると暫くして高温を発し地面をとかしマグマに流れて落ちてしまう
不死鳥の血を飲めば永遠に命を得らるのは嘘ではないとが現実的に不可能
不死鳥の血が冷めるまでは数億年を要し地上でその血をその時間保存する方法は存在しない
また羽は同じように体から離れると高温をはっするのでそのまま触れば人間なんぞ簡単に灰にしてしまう
そしてその炎は不死鳥が操れるので特定の人物を除き焼き尽くすことが可能
だが羽と血は不死鳥本人が操れるのは熱を与える対象の選択と熱を上げることのみ温度を下げることはできない
内側はともかく肌や表皮の温度は人肌から灼熱のマグマまで自由に上げ下げできる
作中登場した軍隊とはそれを知らず祖先と同じく羽と血を欲しあの顛末となった
現代でもあきらめておらず高額の懸賞金もかけているが結果はあまりよろしくない
流石に血は高温すぎて人に飲ませるのは事実上不可能であるが抜け落ちた羽を使う方法は二つだけ存在する
一つは不死鳥に家族と認識されること
そもそも不死鳥が自身の熱で燃えないのは自分自身を燃やす対象にしていないからで
家族と認識されれはその対象のみ不死鳥の羽は自由に使うことはできるが不死鳥本人も知らないことだ
もう一つは羽の力が抜けること
完全に不死鳥の力が抜けたことで程よい熱が残り病をいやす力が残る
そして作中リークの妹リナは歩けるようになり幼馴染と結婚して幸せな人生を送り
リークは作家として大成して生涯独身で焔への愛を突き通した
この話終了後何十年後に真紅の髪に生れ落ちた女性焔 えん と女の子とリークスというその国と外国人の親から生まれたハーフの男の児が出合いのちに結婚するのだがそれが何者か言うまでもないだろう
最後のおまけでこの作品の物語はいったん終了です――
この作品の新たな物語に君たちが出会えるか否かは君たちの応援次第としておこう――
まだ見ぬ感動の物語はまだまだあるのですが――
それが見られるかは君たちとカクヨム次第です――
ここまで付き合ってもらい感謝します――
~作家の勉強から多くの奥義会得に至った人~
~到達者師失人~
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