【縁屋~妖泣談~人と妖の絆と愛と切なさに幸せな結末を~一度も泣いたことのない俺が号泣して終わる物語】」
到達者師失人
0002縁その二 夫婦(めおと)
0002縁その二 夫婦(めおと)
「――うお!?」
「どうした騒々しいぞ!」
「だって妖神様そこに――」
「なんだただの人骨ではないか」
「とりあえず警察に――」
「あなたが今代の縁屋ですね! 妖怪石を約束通り分けてもらいたい!」
「ほう! 珍しい人子の骨に憑依しているのか」
「私の名は
頭蓋骨のなかから現れる骨羽
「とりあえず話を聞こう。二階に上がってくれ」
「ほう! 暫く見ないうちに人子の住処も様変わりしたものだな」
「っで! 骨羽妖怪石を分けてやればいいのか」
「ああそうだが今ではない」
「どういうことだ」
「とある妖と共に譲って頂きたい」
「ところでせんとかいうのはその骨のことか?」
「ああ、私の妻だ先立たれたな」
「全く愚かなことだ妖と人子の命の長さなどお前も知っていよう」
「ああいたいほどな……だからこそ、その妖と共に妖力を返してほしいのだ。私の探す妖の名は黄泉という死と生を一時裏返す妖だ」
「それでせんさんを蘇らしたいのか?」
「そんなことは不可能なことは私がよくわかっている、私はせんとの約束を果たしたいのだ」
「わかった協力してやる嘘じゃないんだよな?」
「そうだ忘れていた土産の酒だ上等のな奴だ」
「それはいい! 丁度飲みたかっのだ! 旨い酒だろうな!」
「妖神様今から飲むきか」
「満腹の腹に酒はいい具合浸みるものだ! お前は飯でも食っておれ! 詳しい話を聞くか否かは酒の味次第だ!」
暫くたって
「ふたりそろって酔いつぶれてる話は明日か」
「「ぐごー」」
その日夢見た
「骨羽お兄ちゃん私たちだけになっちゃたね……」
「せんは私が守る主の最後の願いだからな安心してくれせん!」
「よろしくね! 骨羽お兄ちゃん!」
「骨羽お兄ちゃん綺麗だね! 花火」
「そうだな人子の作る花火とはとても美しい」
「もう骨羽お兄ちゃん! そこは私のほうがきれいって言いうところだよ!」
「はは! そうだな!」
「骨羽お兄ちゃん! 私が大きくなったら私と夫婦になってくれる?」
「せんが15歳になってから同じことを思うなら考えよう」
「骨羽お兄ちゃん約束だよ!」
「むふふふ今年で私10だよ! あと五年かあ早く来ないかな」
「そんなのはあっという間だ! 人子の命ならな本当に私でいいのかせん?」
「お兄ちゃんじゃなきゃ私はいやだよ! 私のこと嫌い?」
「せん泣くな! そういう意味じゃない! 当然私はせんが大好きだ!」
「大好きな骨羽お兄ちゃん! 私15になったよ! 私と夫婦になってくれるよね?」
「せん私は――」』
「ツナグ朝よ」
「ほら朝だぞ! 妖神様骨羽」
「よし! 小僧こいつの願い聞いてやれ! あれほど旨い酒をもらってはそう言わざるおえまい!」
「恩に着る黄泉は数十年に一度目覚める妖居場所はわっかている頼む」
「ところで骨羽せんさんてどういう人だったんだ?」
「せんは人と思えないほど美しく武家や天帝家でさえ嫁に欲しいと来るものが後を絶たなかった。だがせんはすべて断り私を選んでくれた。妖魔使いで主であるせんの父君に仕える一妖に過ぎない私をな。幼いころから気が利く子でさぞ立派な家にと嫁ぐものと思っていたがな」
妖魔使いこの前きいた妖怪を従えているとかいう連中か。
「そうか骨羽はせんさんを愛していたんだな」
「ああ先だたれた数百年ずっとな」
「また妖の癖に甘っちょろいことを……まあいい! うまい酒に免じて許してやろう! 約束忘れるなよ!」
「どんな約束したんだ妖神様」
「なにこ奴の秘蔵の酒の隠し場所だ! 味は保証できるのだな!」
「あの酒は寝かせる時間が長いほど豊潤でうまくなる。もう私には必要ないものだからなすべて持っていっていい」
「そうかじゃあ行くか妖神様頼めるか?」
「いつもなら断るところだが……あれだけうまい酒のためだ乗れガキども!」
俺たちは黄色の雲に乗った妖神様の背に乗った。
「ひとつ言っておくツナグどの黄泉の住処は特殊な霧でおおわれている何が見えても黄泉に私がすることを止めないでくれ」
「わかっただが度を越していたら止めるかもしれないそこは覚えておいてくれ」
暫くするとやけに毒々しい霧に囲まれた森が見えてきた。
「ここが黄泉の住む森かあれ妖神様骨羽どこに行ったなにか見えて
『「ごめ……ん……ね……骨羽……お兄……ちゃ……ん……祝言……の……前に……病……に……かかっ……ちゃっ…………
「このままで構わない! 白無垢も必要ない私と夫婦になってくれるか! せん!」
「うん……これで……私……たち……は……夫婦……だね……」
「いかないでくれせん! 私を一人にしないでくれ!」
「ごめん……ね……大……好き……な……骨……お兄……ちゃん……私……たち…………ずっと……一緒……だよ……」
「死が二人をわかとうとも私たちはずっと一緒だ!」
「ご……めんね……骨羽……お……兄ちゃ……ん……お兄……ちゃん……の……子供……産め……なくて――」
「せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええん!」
「あれから数百年主を失い妖力は衰え体は縮みせんの遺骨も頭がいのみ目的の黄泉の居場所はわかった……だがどうやっていうことを聞かせるか……噂の縁屋を頼ってみるか』
「どうした小僧? この霧の毒に当てられたか未熟者め」
「悪い妖神様」
「この先にいるはずだ! 黄泉と共に私の妖怪石をこれで私の願いは果たされる」
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううう
「何の音だ」
「まるで腹の音だ気を付けろ小僧」
「貴様たちが先代縁屋のよこした者たちか! 中々いいのう! さあ! 妖怪石を分けてもらおう! 約束を守れば私も約束を守ろう!」
舌なめずりをする黄泉という妖怪は真っ黒で姿はうかがい知れないが、真紅の口と目の眼光がこちらをなめまわすようなとても嫌な感じだ。
「汝らの縁に力を分け与える」
そういうと妖怪石が光り輝き光が黄泉と骨羽に飛んで行った。
『「へーあなたそんなことできるの」
「ああできる対価としてを――もらうがな」
「私はちょっと無理ね。でもこれから先次の世代の縁屋がつれてきた妖が必要としていたらその子にやってあげて対価は当然その子持ちで」
「了解した。そいつは確実に現れる。その時その妖怪とともに妖怪石を分けてくれればくれれば約束は守ろう私はもう一度眠りにつく」
「まるで確定しているみたいね未来でも読めるの?」
「自身の未来ならある程度な」
「貴方が縁屋どのか私の妖怪石を分けてほしい」
「理由を聞こうかしら」
「とある妖と取引したいのだ」
「もしかして黄泉という妖怪かしらでもわかっているの黄泉と取引するには――が必要よ。まあいいわ黄泉が次目覚めるその時になったらその時代の縁屋に妖怪石を分けてもらいなさい」』
なんだこりゃ先代の記憶か、しかし俺が深く考える前に黄泉が声を発した。
「願いはかなえよう! さあ! 肉をよこせ人でも妖でも肉なら何でもいい!」
「やはりな少し離れていろ小僧」
「黄泉どの事が済み次第私の肉全てを差し上げよう」
「骨羽!」
「これは先代と約束したときに了解したことだ! 私はせんともにいかなくてはいけないこの骨だ! この骨の持ち主蘇らせいてくれ!」
「せんさんの骨は頭蓋骨しかのこってないといっていたがその骨は誰の骨だ」
「主の骨だ」
「それでいいのだな! はあ!」
すると骨から光があふれ人の形になった。
骨羽の主は容姿が整っていて優しげな印象を受ける。
「骨羽が何故私をというのは野暮であるな……骨羽今までありがとうお前を解放する!」
現れた骨羽の主はそう告げると手もとから光の鎖のようなものちぎれ落ちた。
「ああ……これで私もせんのもとへ行ける!」
「骨羽お兄ちゃんこれでやっと夫婦になれるね!」
いつのまにか現れた一つの光はそう骨羽に語りかける。
「ああ! そうだなせん!」
「ではいこう! 自慢の息子よ!」
「主様いえ父上!」
「あなた行きましょう」
「ツナグ殿ありが――」
バク骨羽が言葉を言い切る前に黄泉は骨羽にかぶりつき一のみにしてしまった。
「これは旨い! 約束は守ったぞ! 私はまた寝りにつく!」
骨羽が黄泉に食われる瞬間三つ光の塊が寄り添うように天に光に導かれるように昇っていく光景が見えた気がした――
それが本当の光景かはわからないけど――
そうであってほしいと俺は思った――
「それにしても一時蘇らせる必要もない小娘をわざわざ蘇らせるとは酔狂にやつよ!」
「まあ黄泉も骨羽も満足していたからいいんじゃないか」
「だとしても死んだ人子を追いかけるためにこんなことを考えるとは意味の分からん奴だったな」
「妖魔使いと契約した妖怪は自らの意思で死ねないのか妖神様」
「妖魔使いにもよるが大概の妖魔使いにとって妖はただ道具にすぎんからな。勝手に死なれても困るからなそうしておく妖魔使いは少なくない」
「なんとか晩飯前に帰れたな」
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」
「どうした妖神様」
「あ奴に酒の隠し場所聞き忘れた!」
「なんだそんなことか」
「そんなこととはなんだ! 貴様はあの酒の味を知らんから言えるのだ! これではただ働きではないか!」
「ツナグどの蛙丸吉です! 託を預かっております! 報酬は私か目的を果たした場所から一番近い滝つぼの中とのことです! 確かに伝えましたぞ!」
「いってくる! 今日は旨い酒を朝まで飲み明かすぞ!」
「妖神様ほどほどにはしておけよ」
その日夢を見た見ず知らずの白無垢の花嫁と紋付き袴の花婿が結婚式を上げる夢――
それはただただ幸せでなぜか夢の中で涙が出た――
とても幸せなはずなのになぜか涙が出てしまったんだ――
そして俺はその二人の笑顔を見て次の日目覚め――
そのぼんやりした意識のまま目を確認したが水分はなっかた――
そして二人のその幸せがずっと続きますように俺はそう呟いた――
裏話002
せんのいた郷は敵対する妖魔使いの襲撃で滅び。
せんと骨羽だけ生き残った。
その敵対する妖魔使いは違う勢力に滅ぼされ生き残ったせんと骨羽は狙われなかった。
せんは小さいころから骨羽になついていて小さいころから骨羽と夫婦になるのが夢だった。
そのことを骨羽の主は知りながら黙認していた。
骨羽の主はせんも時が来れば有力な妖魔使いの家に嫁に出す予定であったためそれまでの間と思っていたがそのまえに郷を滅ぼされ主も死んでしまった。
死んだ主は成仏できずせんにとりついていたが郷では見ることができなかったせんの幸せな姿とせんに献身的に尽くす骨羽の姿にいつしか骨羽に感謝の念を持つようになる。
せんは残念ながら死んでしまったが、それでもせんの後を追えずとも片時も忘れず愛し続ける骨羽を心を痛めていたが、黄泉の力により一時的に黄泉がえり彼を息子と認めてせんとともに天に旅立った。
粋な神様は先の世でこの三人を再びめぐりあわせ子宝にも恵まれた幸せな夫婦家族になる未来が確定している
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