縁屋~妖泣談~人と妖の絆と愛と切なさに幸せな結末を~
到達者師失人
0001縁その一 宝石の髪の母と子
0001縁その一 宝石の髪の母と子
ある日のこと夢の中話。
俺絶賛男子高校生ライフ中の高校二年虹村ツナグはなぜか森の奥にいて気づくとおかしな声が聞こえてきた。
「おーい出してくれ」
「なんだこの声?」
俺はその怪しげな声の誘われるままに茂みをかき分けるとそこには汚い紙の張られた小瓶があった。
「なんだこりゃ?」
「その札をはがしてくれ礼はする」
「まあどうせゆめか」
と汚い何か書かれた紙を破ると。
「助かったぞ人子よ。礼をしてやるただしわしの仕事に少しばかり付き合ってもらうからな。お主はこれより人子と妖の縁をつなぐ縁屋になってもらう」
と姿なき声が聞こえそこで目が覚めた。
「なんだこの夢……意味が分からない……」
「ツナグ朝よ」
「わかったよ母さん!」
そのまま俺は部屋を出て階段を下りた俺の部屋は二階の角部屋にある丁度真下がリビングになっている。
先ほどの声は俺の母親
そのまま階段を下りてリビングへすると。
「ツナグ早く食べちゃいなさい」
「そうだぞ母君の言う通りだ」
えっ?
なんで?
カエルの置物がしゃべって?
何故はテーブルにだるま体系のちょび髭の生えた緑のカエルのような存在が目玉焼きを食べながらコーンスープをすすっていた。
『失礼なやつだな。ワシは妖神先ほどのツボに封じられし神の一柱。あと言っておくがワシは人子のこころは読めん。知りたくもないらな。その表情を見れば察しが付くわい』
「ちょっと母さんどこでこんなもの拾ってきたの?」
「何言ってるの? 妖神さんはあなたが小さいころからいる大事なお客様じゃない」
どういう――
『どうもこうもワシの力を使えばありもしないことを本当にすることはたやすい。これはワシがこの家で動きやすくするめの処置だ。認識と記憶を少し干渉してあるだけだ人体に大きな影響はない』
「あったしかに夢の中の声か……じゃあさっきの夢って……」
『本当に決まっとるだろこれから大変なことになる気を抜くなよ小僧よ』
◇
「マジかよ」
俺は家から出た目の前に広がる世界に愕然としていた。
あたり一帯にはよくわからない生き物妖怪? であふれかえっていた。
その姿は黒い影のようだったりデカい蚊のような虫だったり、ヤドカリのように空き缶を巣にしていたりと漫画で見るようなものはほとんどいない。
「気を引き締めろ小僧! 中には人子を食うものもいるからな!」
「妖神様でいいのか……なんで俺がこんなもの見ないといけないんだ?」
「それは貴様が今代の人と妖怪の縁をつなぐ縁屋に選ばれたからだ。今朝を渡したものはなくすなよ。なくせば最悪命の危機だ」
そういわれ今朝渡された謎の石と古びた鏡を入れたカバンをぎゅっとして妖神と名乗るカエルに。
「縁を結ぶのはなんの目的で?」
「簡単に言えば本来交わることのない人子と妖怪の縁は天界にとって貴重な力を生むのだ。その力は量が集まれば神にさらなる力を与えもこともあるほどにな。ワシはその任務の途中酒を飲んで寝ている間に悪い妖と間違えられて寄りにもよって夢のうつろに封印されてしまった……天界への縁の提供期限も期限もぎりぎりだだから小僧に資格を与えた。報酬は記憶力の増強と悪事さえしなければこれから先の人生の確実なる成功だと先ほど言ったなそしておぬしのる秘めた願いをかなえてやる」
「まあ貴重な体験だしてか願いってなんた特に思い当たらんが? なかなか面白そうだからいいけどでっ! 問題の人と妖怪の縁はどうやって結べばいんだ?」
「前任者は妖怪の悩みを聞いてやって縁を結んだらしい。そしておぬし一度たりとも感涙の涙流したことはなかろうそして心の奥であこがれているな? それをかなえてやる」
「そんなこと俺は望――」
「妖怪と人子の声頼むここから出してくれ!」
「どこから声が」
「そこだな! そこの手入れされることもなく劣化で壊れた祠の中からだ。よかっではないか初仕事かもしれんぞ!」
と言われてみてみると壊れた祠らしきものがあった。
その中にある小瓶から声が聞こえる。
「これは大丈夫なのか? 後学校は?」
「邪気は感じん悪い妖ではないようだ。学校は今から術をかければたとえ数日でも問題はない」
「お前何をして封じられたかによっては助けられないぞ!」
「私は娘に会いたいのだ! たった一人の娘に!」
「わかった」
そう聞いたら流石に助けないといかんだろう。
仕方ないこれが縁屋初仕事かもしれないし。
「邪気はないとは言ったが二つ返事で了承するな! 嘘かもしれん! 縁をつなぐ妖は選別といかんのだぞ!」
「だとしてもほっとけないだろ。もしもの時は妖神様頼むよ」
「仕方ない次のエビフライ二本で手を打とう!」
俺は謎の妖怪を封じていた札をやぷった。
「助かった私の名は|緑(リョク)という」
緑の外見は顔とスタイルの整った外国人モデルのような見た目だが、緑の光を放つ宝石のような緑の髪が人ではないと感じさせる。
人間で言えば二十代前半くらいに見える。
「その名前聞き覚えがある。女妖の中でもっとも美しい髪を持つといわれた妖怪と聞いている」
「確かに宝石のような綺麗な緑の髪だ。太陽に一本一本が反射してキラキラ光っていてきれいだな。それでお前はなんで封じられたんだ?」
「力を使って妖力と髪の輝きが消えた時に封印師崩れに封じられてしまったのだ」
「封印師?」
「簡単に言えば妖怪を封じることを生業とする連中だ。緑聞いたことがある。その美しい髪の妖怪は力を使うと一時的に妖力と共に髪の輝きが消えると、しかし相当な力を使わなければそうならないと聞くが……」
「私は元福の神その力を私の娘のために使ったんだ」
「妖怪に福の神は福など授けないはず」
「ああその通り私の娘は人子だ血はつながってないがな。
私と花子が出会ったのは焼けた山の中だった。
空から落ちてきた鉄の塊が破裂してあたりを焼き払いその火に家と家族を焼き払われた花子は山に入って食い物を探していた。
最初に会ったときはがりがりに痩せて今にも死にそうだった。
最初は見捨てようとしたが可哀そうになって食い物を恵んでやろうと近寄ると話しかけてきてな。
私の髪を見て一言綺麗と何故だかわからないがとてもうれしくてな私も言葉を返してしまったんだ。
そんな言葉なんて聞き飽きていたはずなのにな。
話してみると私は花子を気に入って暫く一緒にいてやることにしたんだそれから数年一緒に過ごした」
「でっ! 緑は何がしたいんだ!」
「花子に会いたい! 命が短い人子だからもう死んでしまっているかもしれないが……どうか協力してくれないだろうか?」
「仕方ない手伝ってやるよ! これも俺の縁屋としての仕事!」
「よし決まったな初仕事だな! だが。その前に晩飯を食ってからだ! そのあとは酒飲んでくる!」
その日夢を見た。
『「みどりお姉ちゃんお魚焼けたよ!」
「ああおいしそうだね。うん花子が焼く魚は旨いねえ。いちいち魚に火を通すとか意味が分からなかったけどこれはいい」
「えへへ! そうかな!」
「みどりお姉ちゃん見たいに綺麗な髪になるにしどうしたらいいの?」
「わからないけど花子の髪もさらさらで私に負けてないよ」
「ずっと一緒にいてね! みどりお姉ちゃん!」』」
次の日。
「とりあえずワシの飲み友に声をかけてきた。そいつ知り合いは人探しが得意らしいからな。川辺で待っているように言っておいた」
「花子は寂しがり屋だったんだ。両親を亡くして私か一緒じゃないと夜眠れないくらい。そんなあの子がどうなったのか私は知らないといけない……血はつながってないとはいえ最愛の娘だからね」
「もう一度ちゃんと会えるといいな」
「人間の命でもう六十年まえのこともう生きていないだろうがな!」
「妖神様!」
「いいんだ。覚悟はしている。これからどうするんだ」
「ここいら辺にいるはず! あっいた! お前が妖神様の友達か」
「そうです私は
こいつは妖神様の仲間の妖怪らしい。
見かけは妖神様と同じだるま体形の緑のカエルだが頭に三本の線がある。
なんでも妖神様元妖怪で妖怪とのつながりが深いため俺の補佐として派遣されたとか。
そして連れている妖怪は人探しかとくいな奴か。
外見は人型の体に胴体に大きな犬の顔がある犬のような感じだ。
「ワフ」
「緑こいつに花子さんの持ち物の臭いを嗅がせてくれ!」
「ここに花子の髪をとかしてやって時に抜けた髪があるこれで大丈夫か?」
臭いを嗅ぐ犬顔妖怪。
「ワフフフ」
北東の方角を指す。
「具体的にはどこなんだ」
「そこまではわかりません。こいつの鼻では正確な方角しかわからないので」
マジかよ……
仕えね……。
まあないよりはましか……
「とりあえずありがとう! 行ってみるよ!」
「まて、方角だけわかっても見つかるわけがなかろう。仕方ない私かもう一度協力してやるハンバーグ一つと引き換えにな」
そういう雲の乗った妖神様の背に乗り移動すること三十分ほど。
膨らんで十数倍になった妖神様の体はカエル特有のぬめりはなくほのかに暖かくてぷにぷにして柔らかく中々乗り心地はよかった。
できれば雲に乗りたかったが俺の功績ではまだ無理だが功績次第で乗れるらしい。
厄介な相手と会うというので緑は置いてきた。
「で? ここはどこなんだ?」
「とある妖怪の住処だ名をハクというそいつは人探しが得意でな」
「だったら最初に教えてくれよ妖神様」
「だがんかなり偏屈な奴でな。普通に頼んでもまず話さえ聞いてくれん。そこでお前の出番だ。奴はお前の先代に縁屋家業に協力する約束が交わされているはず。まあそれでも話を聞いてもらえるか微妙なところだがな」
降りた先には包帯姿の青い肌の人型の妖怪がいた。
「お待ちしていました。今代の縁屋の方ですね」
「妖神様話が違うぞ」
「私が知るかこんなの予想外だ」
「人探しの前に約束の品を」
「これか謎の石ころ」
なんでも今朝渡されたこの石ころは妖怪石といわれる妖怪にとって価値のある天界からしか採掘できない鉱物で縁屋が妖怪に分け与えると妖怪の力を増す効果があるらしい。
しかしそのまま奪って食ったとしても力は増えず縁屋の意志で与えたときにのみ効果を発揮するそうだ。
「確か汝らの縁に力を分け与える」
そういうと妖怪石が光り輝き光がハクに飛んで行った。
『「へーあなた人探しが得意なの」
「――がだれか探したくなったら来るといい」
「今の私にはそんな人いないからつきの世代の縁屋が尋ねて来てくれたらその子にしてあげて」
「わかったその時は妖怪石をわけてくれ」
「ええいいわよ」』
なんだこれ変な光景が……
「どうした小僧?」
「何でもないよ」
「ならよいが」
「確かに妖力が大きく増えた約束は守るだれを探せばいい」
◇
「緑花子さんの居場所ががわかってぞ! 今日は遅いから明日行こう! 心の準備をしといてくれ!」
「そうかやっと花子に会えるんだな!」
その日再び夢を見た
『「みどりお姉ちゃん私のもう一人のお母さんになってくれる?」
「花子が嫌じゃないなら」
「やった! ずっと一緒にいてねみどりお母さん!」
「花子の熱が下がらない人間のところに連れいかないと……死ぬんじゃないよ花子」
「なんとか人里に花子を連れてこれたでも、このままじゃ花子の命が持たない花子のためなら髪の毛の輝きくらい花子待っていてくれこれを私だと思って持っていてくれ」
緑は赤いお守りを花子に渡した。
「みどりお母さんいかないで――」
花子は緑に力なく腕を伸ばすが。
「安心してくれ私は絶対に戻ってくる私は花子のお母さんだから」
「ここなら術が使える私の髪に宿る力よ花子の手の中に」
「妖怪め怪しげな術を使いおって退治してくれる」
「待ってくれ封印師私は娘のために――」
「問答無用」
「花子せめて幸せに生きて――」』」
「ツナグ朝よ」
「緑あの家だ! ハクが教えてくれた家は」
「初仕事だ。お前がどんな縁が結べた見させてもらうぞ」
「わかったよ妖神様」
「ではいってくる」
緑がその家の玄関に行くと。
「もしかしてみどりお母さん?」
「私を知っているのか?」
「この前死んじゃったおばあちゃんが最後に私に言ったの! いつかもどってくる綺麗な緑の髪のお姉さんに出会ったらそう言ってほしいって! おばあちゃんは幸せだったんだって! みどりお母さんのこのお守りにいつも見守られていたから! みどりお母さんをずっと感じていたんだって! 本当のお母さんと同じくらい大っ好きなもう一人のお母さんの温もりをずっとずっとずーと! おばあちゃのために私がんばって覚えたんだよ! すごいでしょ!」
「どうしたの誰かいるの?」
「あっ! お母さん! おばあちゃんの言ってった緑のお姉さん!」
「あらそんな人いないじゃない。まあいいわ。それならきっとおばあちゃんは天国で大喜びね!」
「うん! 見えなくなっちゃたけど! 緑のお姉さんすごく喜んでた!」
「これでよかったのか緑」
「ああ気は済んだ。花子は幸せだったんだな」
緑の両目からボロボロ涙があふれだす。
「それにしても妙だったな。あの小娘には妖怪を見る力はなさそうだったが……」
「おそらく私の力の宿ったお守りのわずかに残った力と波長が合ったのだろう。もう力は残っていない私を見ることはかなわないだろうがな」
「馬鹿馬鹿しい! 人子の好きな奇跡ってやつだともいう気か!」
「俺は花子さんの想いが届いたんだと思いたいな」
「甘っちょろいやつめ! そんなのどうでもいいわ! エビフライとハンバーグの件忘れるなよ!」
「緑、お前はこれからどうするんだ」
「暫くあいつらを見守ってみようと思う。私の孫ともいえるからな。福の神としての力はほとんど使ってしまったが守ることぐらいはできるからな」
緑と別れる直前ふと振り返り緑の後姿を見ると――
おかっぱの小さな女の子がぺこりと頭を下げ母子のように緑の振りの袖をつかんて歩いていく光景が見えた気がした――
ああそうか親子はやっと再会したのかそう頭に言葉が浮かんだ――
頭に浮かんだ言葉が本当かはわからないけど――
本当なんだろう――
これはきっと――
「どうした小僧?」
「目頭が一瞬熱く――なんでもないよ」
結構いい仕事なのかもしれないな縁屋ってそう思い俺は家に向かって歩き出した――
裏話001
緑と別れた花子はそのあと親切な家族に引き取れ幸せに過ごした
その家の長男と結ばれ良縁に恵まれ夫に友に恵まれ何か大きな問題が起きても幸運が重なり解決
それが緑が残したお守りのおかげだと最初から知っていた花子は緑の愛としてそれを常に感じていた
子宝にも恵まれ良い息子娘孫にも恵まれた
流石に寿命まではどうにかできず死んでしまったが最後に孫と娘に緑に伝えてほしいと伝え亡くなる
ちなみに花子はうっすら妖怪が見える子で飢餓状態の極限の状態の命の危機に高ぶった精神で緑と波長が偶然あいみえるようになった波長の合った緑ははっきり見え声は聞こえるが他の妖怪はぼやけて見えぼやけて聞こえる
花子は幼いころに母を亡くし父と祖父夫婦に育てられずっと母という存在が現れる事を望んでいた
花子のために込めた力が孫娘に妖怪である緑の姿を見る力を与え最後の花子の願い緑に想いを伝えることをかなえお守りの力は役目を果たしすべて消えてしまった
そして宝石の髪の母が子との再会に気付くのは少し先の話
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