第34話 楽しい宴の終わり
「こんなに楽しいの初めてですわ。山にはお父様やお母様がいましたけれど、友と呼ばれる人はいませんでしたから」
チーズフォンデュで救いあげたパンをふーふーと息を吹きかけて食べたフローラはにっこりと微笑む。
雪の精霊とはいうものの話を聞いていれば、日本の雪女みたいなものだとわかった。
まぁ、なぜか幼女の姿なのは謎だが……。
シーナのいうとおり、瘴気が広がっているおかげで力が弱まった影響なのだろう。
「たまにはこの村へ遊びに来いよ。ドリーやシーナをはじめ、子供たちも喜ぶぞ」
「えー、フローラちゃん帰っちゃうのー?」
「雪でもっとあそびたーい!」
俺の言葉を聞きつけた村の子供たちがフローラの周りに集まってきた。
子供たちはフローラの作り出した雪で遊んでいたこともあって、すっかり仲良くなっている。
こういうコミュ力の高さは大人にはないものだ。
「嬉しいですわね。ですが、わたくしも山に雪を降らしてこの村を通る川の素になる水を作る役割がありますの。ですから、これを皆様へ」
そういうとフローラが手を振り、雪が子供たちの手の上に降り積もったかと思うとガラス細工の様な氷の動物の置物ができあがる。
「わーい、パパー。ドリーのうさぎさん!」
「よかったな、ドリー」
ドリーの手の上にも小さなウサギの置物が出来上がっており、喜んで俺に見せて来た。
頭を撫でてれば、ドリーはにぱーと笑顔を向けてくる。
子供たちもそれぞれが親に自分の貰った置物をみせにいき、親が俺達に向けて頭を下げた。
テーブルの料理も片付いてきたところで、宴が終わりをみせる。
「それじゃあ、わたくしはこれで失礼いたしますわ。お父様がお迎えに来たみたいですし……」
フローラが空に上がっていき、そこを俺達が見送ると立派なトナカイにまたがった白髭の生えた男がいた。
赤い服を着ていたら、まごうことなきサンタである。
「年齢と外見が違うとはいえ……これはなんとも……」
俺が言葉につまっているとフローラが白髭男の前に座り、手を小さく振ってくる。
「じゃあな、フローラ。またな」
「はい、キヨシ様。またお会いいたしましょう」
空飛ぶトナカイにまたがった二人は遠くの山の方へと飛んでいった。
不思議な出会いだったが、楽しいひとときではある。
「俺達も帰るか」
「はーい」
「そうね」
ドリーとシーナが俺の手をそれぞれ掴んで帰路に就くのだった。
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【あとがき】
お読みいただき誠にありがとうございます。
書き続けるのって大変ですよね。
話が浮かばないこともあったりなかったりで、筆のノリにばらつきがあります。
安定して面白い作品が書けるようになりたいですっ
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