第27話 じょうずに焼けましたー
■フィオレラ村 広場
バケモノ鹿を倒した後、野営をして翌日に鹿を解体して運んだ。
そして、村の広場では昼から鹿の肉を焼いて食べるバーべキュー会が行われている。
バーベキューをやろうと言い出したのは俺であり、バケモノ鹿の半分くらいは食べる予定だ。
「保存食にするための分も確保できましたし、キヨシ様には感謝しきりですじゃ」
「俺はやりたいようにやっているだけなんだがな……」
村長に褒められるとやっぱりこそばゆい。
俺は俺なりにやりたいことをやりたいようにやっているんだが、やっぱり現代の知識や感覚は異世界では珍しいことのようだ。
「キヨシ様ー! お肉美味しい! ありがとうなっ!」
「鹿肉おいしー!」
「ありがとー!」
直火であぶった鹿肉を食べて笑顔を向けるピーターをはじめとした村の子供たちを見ると、鹿を退治してきてよかったと思う。
「いい光景ですね。キヨシ様」
「ん? ホリィか」
村長が村人達の対応に向かって俺の傍から離れていったと思ったら、俺の隣にはホリィがいつの間にかでてきていた。
ホリィには一晩帰ってこなかったことで大変心配されて、宥めるのが大変だったが村人の前の為かいつもの通りの静かで慈愛にあふれるシスター然である。
「ゴンゾさんからもお話を聞きましたが、ゴブリンが来ていたことが気にはなりますね」
「そうなのか?」
「山の方の洞窟にいて、あまり動いてこなかったのですが……この辺付近に来たということは食べ物などを探してきたのかもしれません」
「それで鹿を狩ろうと思って返り討ちにあったというわけか……」
「今すぐにどうこうする必要はないかもしれませんが、もしかしたら何かの前触れかもしれません」
心配げに眉根を寄せてため息を漏らすホリィは気苦労の絶えないタイプなのだろう。
学のある教会の人だけに、いろいろ考えてしまうからこそのものがあるようだ。
「ま、何かあった時はその時だな」
俺は深く考えることが苦手だ。
目の前にあるやりたいこと、やるべきことをコツコツとやっていくだけで精いっぱいである。
「さすがです、キヨシ様。キヨシ様が村にいてくだされば村はきっと安定いたします。そのお知恵と力を今後とも私達に使ってくださいませ」
「マスター、私もご飯が欲しいのだけど」
「パパー、ドリーもご飯ー」
ホリィが微笑みを浮かべていると、シーナとドリーが俺の下へとやってくる。
「おう、今行くぞ」
今は難しいことを考えずに楽しい時間を過ごそうと思った。
その後、積年の恨みをはらすように鹿肉をたらふく食べ、ドリーとシーナに水を与える一時の安らぐ時間を過ごす。
たまにはバーベキューもいいものだ。
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【あとがき】
お読みいただき誠にありがとうございます。
メインの話は今回で終わりとなります。
閑話を1話入れて、章も終了となります。
PVが増えていってくれて大変嬉しいです。
本業が忙しいためにカクヨムコンのこの作品くらいしか更新できていないのですが、読んでいただけて感謝しております。
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