第24話 バケモノ現る

■フィオレラ村 森の水場


 あれから探してみたものの、足跡はあっても鹿は見当たらなかった。

 足跡からすれば俺よりも大きな存在のようだが、影も形もない。


「見つからねぇな……夜を見越して隠れてるのか、賢い奴かもしれねぇぞ……」

「日も沈みはじめてるが、どうする親父?」

「そうさなぁ、キヨシ様よぉ……ワシとしちゃあ一旦村に帰るのがいいと思うがどうするよ」


 ゴンじぃが息子と一緒に詳しく調べてから、俺に意見を求めたきた。

 狩りの素人の俺に聞かれも困るんだが、鹿の存在を確かめられることなく無視するのは危険だろう。


「最後に来た水場にも足跡のみか……一歩遅れた感じなら一度帰るしか……」


 俺がそう思っていたとき、水場となっている川の対岸の茂みがザワザワと揺れた。

 鹿かと思い、俺達は警戒して構える。

 ザワザワと揺れて出て来たのは傷ついた緑色の小人のような奴だった。


「ボンサイマン!?」


 思わず俺は昔アニメでやっていた、宇宙人が使う植物からできるザコ敵の名前を叫ぶ。


「マスター、あれはゴブリンよ。傷ついているということは何かから逃げて来たのかも……」


 地面から現れたシーナが俺の叫びに訂正を入れていると、それにこたえるようゴブリンの背後から3mは高さがあろうかというデカイ鹿が姿を見せた。

 体が太く大きく、体当たりされたらひとたまりもないだろう。

 その証拠に傷ついたゴブリンが転んだところを上から丸太のような足でゴブリンの背中を踏みつけた。

 それだけで、ゴブリンは沈黙して動かなくなる。


「あいつはでけぇなぁ……山の神と言われても納得しちまいそうだぜ」

「村にまであんなのを引っ張ってきたら村が終わっちまう!? どうする、親父!?」


 ふしゅーふしゅーと鼻息を荒くした鹿が俺達を見下してきた。

 よく見ればの体のいたるところに傷があり、ゴブリンに襲われたところを返り討ちにしたのが分かる。

 ガロのいうようにこんなバケモノを村にまで連れて行ったら大変だ。

 ガツガツと足音を立てて、鹿がこちらにやってくる。


「マスター、ここは私に任せて頂戴!」


 シーナが両手剣を召喚し、鹿に向かう。

 鹿の方も自分に害をなそうとする存在を理解したのかシーナの方へと駆けだした。

 早い、どちらも一瞬でお互いの距離が詰まって攻撃の間合いに入っている。


「せやぁぁぁ!」

「ギュォォォォ!」


 シーナと鹿が同時に叫び、両手剣と鹿の角がぶつかりあった。


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【あとがき】


お読みいただき誠にありがとうございます。

すこしバトルに移ります。

たまには戦闘をという感じですが、あんまりゴリゴリやるつもりはありません。

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