第22話 狩りの準備
■フィオレラ村 教会 食卓
「……ということで、午後からはシーナと狩りにでていく」
「そうですか。子供が危険にさらされるのであれば仕方のないことですね。ですが、キヨシ様は気を付けてください。貴方様大切な方ですから……」
パンとスープの食事のあと、薬草園で取れたハーブを使ったハーブティを味わいながら、俺はホリィに予定を伝えた。
ホリィは慈愛に満ちた微笑みというか、まさに聖母といった雰囲気で答えてくれる。
こういう会話って、夫婦みたいだなと思うが、おっさんである俺にそんな甘い話はないはずだ。
「ドリーはどうする?」
「ドリーは寒いの苦手。お昼寝するの」
「私がドリーちゃんの様子をみていますから、キヨシ様はいってきてくださいね。鹿といえば、このあたりの伝承で狂暴なイノシシの様な大きさの鹿がいるという話も聞きます」
「へぇ、それは面白そうね。相手にとって不足はないわ」
狂暴な鹿がいると聞いて、俺は一瞬怯みそうになったが、シーナがやる気に満ちていたので堪える。
ここで日和っては男が廃るというものだ。
大した男ではないかもしれないが、見栄だって張りたい。
「シーナがやる気なら大丈夫だろう」
「ええ、マスターは私が守るわ。安心なさい」
ふんと鼻を鳴らしてシーナが平らな胸を張った。
なだらかな平原だなぁと思わずマジマジとみてしまう。
「な、何よ! マスターのえっち!」
「え、えぇぇ……」
「キヨシ様は女性に興味がないわけでないのですね……でも、私には興味がないのでしょうか」
真っ赤になってシーナが両手で胸元を隠すようにして叫ぶと、ホリィが若干しょげた様子で自分のたわわな胸を見直した。
俺としてはホリィのような豊満な体の方が好きである。
いや、違う。今はそうじゃない。
「そ、そうだ! 一応、夜までには帰ってくる予定だが念のため明りとかの準備をしていきたい。鹿は夜の方が活発に動くこともあるからな」
「では、司祭様が使っていたカンテラを用意致しますね。外泊するならば、毛布もリュックに用意しておきますね」
俺が声をかけたことで、ホリィはハッとなり、パタパタと食卓を後にした。
うっつらうつらと眠そうにしているドリーがテーブルにのこっている。
「ドリーを寝室に寝かせてくる。シーナは武器とかそういうものの準備はいいのか?」
「精霊にそういう常識は不要よ。ほらね」
そういうとシーナが手をかざせば手元に立派な両手剣が姿を見せる。
なかなかにごつく、大人の男が使うような代物だ。
「狩りでは頼りにしてるぞ」
「頼りにしなさい、あたしは強いんだから!」
自信満々にツインテールドリルを揺らす彼女を見ると心配事がなくなる。
俺のほうも〈浄水〉スキルの使い方をもっといろいろ考えようと思った。
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【あとがき】
お読みいただき誠にありがとうございます。
つるペタ強気幼女でしか得られない何かがあると思います。
あと、幼女にでっかい剣っていいですよね?
そんな妄想を抱きつつ書かせていただきました。
次回山の中へ突入です!
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