第2編 喪失6

131


あてを失い途方に暮れて、一人寂しく下り坂。足音に合わせる音色は何もない。



132


コンビニで買ったお茶をラッパ飲み。気管が凍えて冬模様。おひとり様でよかったと思う心も冬景色。



133


平日の昼間の空気が新鮮で、どこか鋭く冷たくて。寒暖の波に気持ちが揺られて風が出るか邪が出るか。



134


何気なく街頭のモニターに顔向けて、足元の実感突然消えていく。映る隕石騒ぎのあの現場。



135


顔も声も覚えていない。今は存在だけが残るのみ。確かに同じ場所にいたあの人たちはもういない。



136


自然と足が早まって、歩きが走りに代わってく。振り返りたい衝動と戦いながら前を見る。



137


信号と車の流れにせき止められてあふれそうな感情が私の心をあの林へと連れていく。



138


数秒おきにスマホでニュースを更新してる。ほしいのは私の中の確信をひっくり返すフライ返し。



139


子供の頃におばあちゃんの眠りについたあの顔を間近で見たとき背中に一本這いずって感じた寒さを感じてる。



140


好奇心は猫を殺すと言うけれど、私は人を殺した。記憶に入るはずのなかった人たちを記憶の中で殺していた。



#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって

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