第2編 喪失5

121


身支度の合間に目にするニュース番組。画面の先は遠く離れた異世界で、空を焼く炎と煙に幻想の香り嗅ぐ。



122


朝の道、続く先に人の影。背中を伝う寒気に引かれ人のぬくもり探し出す。



123


何事も起こらずたどり着いた教室で、思い出すのはソラの言葉。私の喉はまだ開かない。



124


噂話をまた聞きし、どこかに落ちた星の話。気が付けばリングに入り込んでいる。



125


廊下で七恵とすれ違う。帰ると告げて、少し待つ。後悔はやっぱり先には立たないな。



126


電車を乗り継ぎ遠く離れて、一人目指すは星の旅先。どうしてそこに向かうのか、誰か心に聞いてほしい。



127


薄暗い林の中にトラ模様。勇気と理性の接戦を横からすり抜け、突っ走る、それを衝動と呼ぶべきか。



128


黒焦げた地面は何かにえぐられて。確かにここに星はあり、瞬くこともあったのか。



129


不意に腕を掴まれて制服姿に頭を下げて。私の言葉は誰も聞かず、黒色ばかり群がって、ここに夜空が生まれてく。



130


知りません、分かりません、を繰り返し、最後にごめんなさいと上乗せて、私は大地を踏み鳴らす。



#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって

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